『ごんぎつね』のあらすじを簡単に短く【読み聞かせOKの要約版】

キツネ

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名作 【『名作』一覧】童話や文学、戯曲など【海外と日本の有名作品集】

童話:『ごんぎつね』のご紹介です。

あらすじは読み聞かせができるようにまとめています。参考にして下さいませ。

このページでわかること
  1. ごんぎつねのあらすじ要約
  2. あらすじの意味と解釈、考察
  3. 学校教育にまつわる情報
  4. 参考文献

『ごんぎつね』のあらすじを簡単に短く【読み聞かせOKの要約版】

まずはあらすじと作者紹介です。

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物語:ある一匹の子ぎつねが見せた思いやり

キツネ

むかし人里ひとざとはなれたやまおくに、”ごんぎつね”というぎつねがいました。

ごんはいつもひとりぼっちです。

いつもはもりなかあなったところにんでいましたが、それ以外いがい時間じかんには、あたりのむらてきては、いたずらばかりする毎日まいにちでした。

ひるでもよるでも、いたずらばかりをして、いろんなひとこまらせていたといいます。

 

そんなあるあきのことです。

三日さんにちつづいたあめがようやくあがった、ごんはかわまでていきました。

そこでは、兵十ひょうじゅうという名前なまえひとが、こしまでみずにつかったじょうたいで、一生いっしょう懸命けんめいあみさかなをとっていました。

かごのなかには、そんな兵十ひょうじゅうがとったさかながたくさんはいっています。

 

そこでごんは、いつものように、いたずらをしてやろうとかんがえます。

兵十ひょうじゅうすこはなれたすきに、かごのなかはいっていたさかなを、ポンポンとかわててしまったのです。

かごのなかにはうなぎもはいっていました。

うなぎ

ごんはあたまをかごのなかにつっこみ、そのふというなぎのあたまくちにくわえます。

そのとき、「コラ!ドロボーぎつねめ!!」と兵十ひょうじゅう怒鳴どなごえこえてきました。

ごんはびっくりして、うなぎにくびかれたまましました。

 

それから十日とおかほどたったあるのことです。

むら兵十ひょうじゅう母親ははおや葬式そうしきがありました。

その様子ようすをたまたまていたごんは、どうやら自分じぶんのいたずらが、兵十ひょうじゅう母親ははおやなせてしまったのだとかんがえます。

 

んだのは兵十ひょうじゅう母親ははおやか…そうか、兵十ひょうじゅう病気びょうき寝込ねこんだ母親ははおやのために、かわでうなぎをとっていたんだ。それなのに自分じぶんがいたずらをしたから、母親ははおやはうなぎをべられず、んでしまったにちがいない…あんなこと、しなければかった…」

 

ある兵十ひょうじゅう物置ものおきうしろからていたごんは、「兵十ひょうじゅう自分じぶんおなじひとりぼっちか…」とおもいました。

ごんはつぐないに、入口いりぐちくりいてかえりました。

栗

つぎも、そのつぎも、またそのつぎも。

そののごんは、くりって、兵十ひょうじゅういえなかへこっそりはいりました。

 

そんなあるとき、そと物置ものおきにいた兵十ひょうじゅうがふとかおをあげると、一匹いっぴきのきつねがいえなかはいったことにづきます。

「あのごんぎつねめが…またいたずらをしにきたな…ようし…」

兵十ひょうじゅうがり、火縄銃ひなわじゅう火薬かやくをつめます。それからごんにづかれないようちかりました。

 

そして、いままさに戸口とぐちようとするごんを、『ドン!』と火縄銃ひなわじゅうでうちました。

 

『バタリ…』とごんがそのたおれます。

兵十ひょうじゅうちかづきいえなかてみると、そこにはくりいてあることにづきます。

兵十ひょうじゅうはびっくりしてごんをました。

 

「ごん、おまえだったのか…いつもくりをくれたのは…」

 

ごんはぐったりとをつぶったまま、うなずきました。

兵十ひょうじゅう火縄銃ひなわじゅうをそのでバタリととします。

火縄銃ひなわじゅうからは、あおけむりがまだ、筒口つつぐちからほそていました。

(おわり)

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作者:新美南吉

作者:新美にいみ南吉なんきち(1913~1943年)

現在の愛知県半田市に生まれた後、児童文学作家として活躍。

本作:『ごんぎつね』はそんな作者が18歳のとき(1932年(昭和7年))に発表された作品になります。

新美にいみ南吉なんきちの十八歳のときの作品であり、『赤い鳥』に掲載された。

(『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作』100ページ ごん狐 より)

子供の頃から創作活動に意欲的で、半田中学校に在学していた14歳の頃から、童話や童謡、小説、詩、俳句、劇作などの創作をしていました。

十四歳の頃から、童話や童謡を盛んに創作し始めた。

(『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作』20ページ 新美南吉 より)

その後、半田小学校の代用教員をしながら、復刊した児童雑誌:『赤い鳥』に投稿。童話4編、童謡23編が掲載されます。

上京して東京外国語学校を卒業してからは、安城高等女学校で教員などの仕事をしながら、数々の作品を発表し続けました。

作品:1,500を超える作品を残した

(前略)童話の他、童謡、小説、戯曲、詩、俳句、短歌など、千五百を超える作品を残した。

それは、創作を始めたのが早かったおかげといえよう。

(『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作』20ページ 新美南吉 より)

その他の代表作の一部

当サイトでご紹介させていただいたその他の代表作の一覧です。

>>手袋を買いに

>>でんでんむしのかなしみ

>>二匹のかえる

>>花のき村と盗人たち

>>おじいさんのランプ

>>牛をつないだ椿の木

>>赤いろうそく

作風:善意溢れる詩情を讃えた作

庶民の子どもの生活や喜び、悲しみを、物語のなかにたくみにとけこませて、ユーモアのある独特な語りくちで、清潔で善意あふれる詩情をたたえた作である。
(『学習人物事典』332ページ より)

評価:1960年代に評価され始めた

生前にはあまりみとめられなかったが、1960年代にいたって評価されはじめ、『新美南吉全集』全8巻が出版された。
(『学習人物事典』332ページ より)

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『ごんぎつね』のあらすじの意味と解釈、考察

童話:『ごんぎつね』のあらすじの意味と解釈、そして考察です。

物語への理解を深める参考にしていただければと思います。

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注:ここからの情報は自分の考察に過ぎません。

間違っていないとは言い切れませんので、あくまで一つの参考にして下さいませ。

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原文の結末でごんは「うれしくなりました」と話している

まず本作の原文の結末では、ごんは兵十にうたれた後、「うれしくなりました」と話しています。

これはおそらく、ごんが抱いていた償いの気持ちが、最後に兵十に伝わったことに対して、嬉しくなったのだと考えられます。

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『ひとりぼっち』の境遇に共感

またあらすじにあるように、普段のごんは、山奥にひとりぼっちで生活しています。

そのため、ごんには後に母親を亡くすこととなった兵十の辛い気持ちに、少なからず共感できる側面があったように考察します。

そしてもっというなら作者の新美南吉さんは4歳のとき、自身の母親を亡くされています。

よってもしかしたらそのことも、本作のあらすじに反映されている側面があったのかもしれません。

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『ごんぎつね』と学校教育

最後は童話:『ごんぎつね』の学校教育にまつわる情報です。

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小学4年生の教科書に掲載

まず本作は小学校4年生の教科書に掲載されたことがあるようです。

全ての教科書会社の、小学四年生の教科書に採録された。

その意味でも、「ごん狐」は国民的な童話といえる。

(『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作』100ページ ごん狐 より)

本作が小学4年生の教科書に掲載されていたことは、塾講師をしていた自分の経験上でも、そうだった気がしています(曖昧な記憶)。

とはいえ、”すべての”教科書会社が対象だったことには驚きでしたが。

実際に行われた指導例:『場面ごとに、ごんや兵十の気持ちを想像』

なお、実際の学校教育の現場では、本作は『ごんや兵十の気持ちを想像してもらう』といった指導に結び付けられていたようです。

授業では、それぞれの場面ごとに、ごんや兵十ひょうじゅうの気持ちを想像させるといった指導が行われた。

(『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作』100ページ ごん狐 より)

本作はごんや兵十の気持ちが場面ごとに刻々と変化していました。

よってそんなごんや兵十の気持ちを本作から想像することには、少なからず考えを巡らせることが求められそうです。

もっとも、いきなりごんや兵十の気持ちが思い浮かばない場合は、まずは”喜怒哀楽”のどれに当てはまりそうかを考えてもらい、それからごんたちの気持ちを考えてもらうことも一つの案なのではないか…と個人的には思いました。

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作者の故郷:半田市の小学校では研究発表会が実施by名取弘文さん

神奈川県の藤沢市立鵠沼くげぬま小学校教諭(当時)の名取 弘文さんは、自身の経験を交えつつ、本作のことを次のように話して下さっていました。

『ごんぎつね』は新美南吉が一九三二年に発表した作品です。(中略)

教員たち、とりわけ文学教育に力を入れている教員に強く支持されている作品で、新美南吉の生まれた半田市の小学校では、継続的に新美南吉作品の読み方・読ませ方といった研究発表会が行われているほどです。

(『童話学がわかる』99ページ より)

(自分は愛知県出身ですが、この話は初耳でした)

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『ごんぎつね』のあらすじを簡単に短く【読み聞かせOKの要約版】まとめ

童話:『ごんぎつね』は、一匹のきつねが見せた、償いと思いやりの物語が描かれていました。

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参考文献

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