『花のき村と盗人たち』あらすじと感想【涙する盗人が気づかされたこととは?】

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童話:『花のき村と盗人たち』のご紹介です。

あらすじは読み聞かせができるようにまとめています。参考にして下さいませ。

このページでわかること
  1. 『花のき村と盗人たち』のあらすじ
  2. 読み終わった感想
  3. 参考文献

『花のき村と盗人たち』のあらすじ

まずはあらすじと作者紹介です。

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物語:村にやって来た盗人の前に、現れた一人の男の子

村

むかしはなのきむら*に、にんぐみ盗人ぬすびとがやってきました。

かしらは、盗人ぬすびとになったばかりのにんむらようかせ、やぶのかげでっていました。

そこへ、だれかがかしらこえをかけます。

「おじさん」

かしらかえると、そこには草鞋わらじ*をいた七歳ななさいくらいの可愛かわいらしいおとこが、うしれてっていました。

草鞋

「このうしっていてね」

どもはそううと、あかづなかしらあずけ、はしっていってしまいました。

「くッくッくッ」と、かしらわらいました。

「わしはもううし一匹盗いっぴきぬすんだ」

 

あんまりわらったので、なみだてきました。

そして、なみだながれてながれて、まらなくなりました。

「これじゃ、まるでいてるのとおなじじゃないか」

そうです。盗人ぬすびとかしらいていたのです。

 

かしらいままで、ひとからつめたいでばかりられてきました。

かしらとおれば人々ひとびとは、「そらへんなやつがきた!」とわんばかりに、まどめたり、すだれをろしたりしました。

みんながぶんきらい、信用しんようしてはくれなかったのです。

ところが、草鞋わらじいたどもは、そんなぶんうしあずけてくれました。

またこのうしも、ちっともいやがらず、おとなしくしています。

どもうしも、ぶん信用しんようしているのです。

こんなことは、かしらにとってまれてはじめてのことでした。

 

「(あのどもかえってきたら、こころよくうしかえしてやろう…)」

かしらはそうかんがえていました。

 

しかし、どういうわけか、よるになってもども姿すがたあらわしません。

もどってきたにん一緒いっしょさがしてもつからないので、村役人むらやくにんいえき、わけはなして、うしあずかってもらうことにしました。

そしてとうとうかしらは、ぶん盗人ぬすびとであることを村役人むらやくにんはくじょうしたのです。

ほかものたちは、まだなにわるいことをしていなかったのでゆるしてもらい、つぎあさむらからていきました。

 

こうしてにん盗人ぬすびと改心かいしんしたのですが、あのどもだれだったのでしょう。

むら人々ひとびともわからなくて、ついにはこうまりました。

それは、ばしのたもとにむかしからあるちいさなぞうさんだろう。

地蔵

草鞋わらじいていたというのがしょうである、と。

なぜなら、このぞうさんには村人むらびとたちがよく草鞋わらじをおそなえすることがあり、ちょうどそのも、あたらしい草鞋わらじあしもとにあげてあったからです。

はなのきむらじゅうにんがみなこころ人々ひとびとだったので、ぞうさんが盗人ぬすびとからすくってくれたのかもしれません。

(おわり)

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よう説明せつめい

はなのきむら作者さくしゃがつくった想像そうぞうじょうへいむらのこと

草鞋わらじわらなどでんだ履物はきもののこと

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作者:新美南吉

作者:新美にいみ南吉なんきち(1913~1943年)

現在の愛知県半田市に生まれた後、児童文学作家として活躍。

子供の頃から創作活動に意欲的で、半田中学校に在学していた14歳の頃から、童話や童謡、小説、詩、俳句、劇作などの創作をしていました。

十四歳の頃から、童話や童謡を盛んに創作し始めた。

(『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作』20ページ 新美南吉 より)

その後、半田小学校の代用教員をしながら、復刊した児童雑誌:『赤い鳥』に投稿。童話4編、童謡23編が掲載されます。

上京して東京外国語学校を卒業してからは、安城高等女学校で教員などの仕事をしながら、数々の作品を発表し続けました。

作品:1,500を超える作品を残した

(前略)童話の他、童謡、小説、戯曲、詩、俳句、短歌など、千五百を超える作品を残した。

それは、創作を始めたのが早かったおかげといえよう。

(『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作』20ページ 新美南吉 より)

その他の代表作の一部

当サイトでご紹介させていただいたその他の代表作の一覧です。

>>ごんぎつね

>>手袋を買いに

>>でんでんむしのかなしみ

>>二匹のかえる

>>おじいさんのランプ

>>牛をつないだ椿の木

>>赤いろうそく

作風:善意溢れる詩情を讃えた作

庶民の子どもの生活や喜び、悲しみを、物語のなかにたくみにとけこませて、ユーモアのある独特な語りくちで、清潔で善意あふれる詩情をたたえた作である。
(『学習人物事典』332ページ より)

評価:1960年代に評価され始めた

生前にはあまりみとめられなかったが、1960年代にいたって評価されはじめ、『新美南吉全集』全8巻が出版された。
(『学習人物事典』332ページ より)

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『花のき村と盗人たち』の感想

最後は読んだ感想です。

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温かさが詰まった童話でした

一言でいうと、『温かさが詰まった童話』でした。

まずこの童話のあらすじは、盗人のお頭を中心に進んでいきます。

しかし、言うまでもなく、盗人は決して善い身分ではありません。

お頭自身も人から蔑まれて生きてきたようで、当初は周りからの優しさや温もりを知らない様子でした。

ですが、この童話ではそんなお頭が生まれてはじめての優しさに触れることにより、善い人間であろうと決意するまでが描かれています。

『誰もが自分を信じてくれる存在がいる』ということを実感させてくれるかのような、温かさがそこにはあった気がしています。

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『花のき村と盗人たち』あらすじと感想まとめ

童話:『花のき村と盗人たち』は、ある盗人が平和な村を訪れたことにより、人として大切なことに気づかされていく物語でした。

読み終わる頃には、何か優しさや温かさのようなものが感じられるかも…しれません。少なくとも自分はそうでした。

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参考文献

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