『牛をつないだ椿の木』あらすじと感想【見失ってしまいやすいことに気づかせてくれる】

井戸

名作童話:『牛をつないだ椿の木』のご紹介です。

あらすじは読み聞かせができるようにまとめています。参考にして下さいませ。

このページでわかること
  1. 『牛をつないだ椿の木』のあらすじ
  2. 読み終わった感想
  3. 参考文献

『牛をつないだ椿の木』のあらすじ

まずはあらすじと作者紹介です。

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物語:旅人のため?それとも自分のため?

井戸

山道やまみちわき椿つばきわかもとに、すけさんがうしをつなぎ、海蔵かいぞうさんは人力車じんりきしゃいて、やまおくへとみずみにきました。

つめたいみずをたっぷりんでもどってくると、うし椿つばきをみんなべてしまっていて、この土地とちぬしがかんかんにおこっています。

海蔵かいぞうさんはおもいました。

 

「もっとみちちかくにみずがあれば、たくさんのひとたちがたすかっていのに…」

 

つう井戸いどならさんじゅうえんあればつくれるそうですが、海蔵かいぞうさんのいえまずしく、とてもそんな大金たいきんせません。

海蔵かいぞうさんはすけさんに相談そうだんしました。

ですが、すけさんはみんなのためにおかねはまったくないようです。

 

そこで翌日よくじつ海蔵かいぞうさんは椿つばきしたに、賽銭箱さいせんばこのようなものをようします。

賽銭箱

ふだにはこういておきました。

『ここに井戸いどって旅人たびびとんでもらおうとおもいます。こころざしのあるかた一銭いっせんでもりんでもれてください』

 

ところが、だれもおかねれてはくれません。

海蔵かいぞうさんは、一人ひとりがんるしかないとかくめ、お菓子かしうのもまんして、ひたすら節約せつやくつづけました。

 

それからねんち、ようやく井戸いどをつくるおかねまります。

しかし、ぬし井戸いどることをきょしてくれません。

海蔵かいぞうさんがなん度目どめかのおねがいにぬしいえたずねると、ぬし老人ろうじんは、しゃっくりがまらず、からだよわってとこについていました。

かえりがけ、老人ろうじん息子むすこてこういました。

 

「もうもなく、がん親父おやじんで、わたしだいになったら、井戸いどることをみとめてあげましょう」

海蔵かいぞうさんは、内心ないしんよろこびました。

 

ところが、海蔵かいぞうさんはいえかえって母親ははおやにそのはなしをしたところ、つぎのことをてきされます。

ぶんのことばかりかんがえて、ひとぬのをのぞむなどわるいことだ」

海蔵かいぞうさんは、それをいてはっとしました。

 

翌朝よくあさ海蔵かいぞうさんはふたたぬしいえき、しょうじきぶん気持きもちをはなします。

をついて老人ろうじんあやまりました。

すると老人ろうじんは、そんな海蔵かいぞうさんのりっこころちに感心かんしんし、井戸いどることをみとめてくれました。

しかも、「もしようりなかったらぶんしてあげる」とまでってくれました。

 

こうして、椿つばきのそばにはあたらしい井戸いどができました。

学校帰がっこうがえりのども美味おいしそうにみずんでいるのをて、海蔵かいぞうさんもみずみながらおもいます。

 

「もうおものこすことはない。こんなちいさなごとだが、ひとのためになることをのこすことができたのだから」

 

その海蔵かいぞうさんは戦争せんそうき、そのままかえってませんでした。

ですが、海蔵かいぞうさんがしたごとは、いまでもつづけています。

みちつかれた人々ひとびとのどうるおし、げんあたえているのです。

そして人々ひとびとはまた、みちすすんでくのであります。

(おわり)

曲がりくねった道

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よう説明せつめい

さんじゅうえん現在げんざい価値かちやく60万円まんえん

一銭いっせん現在げんざい価値かちやく200えん

りん現在げんざい価値かちやく10えん

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作者:新美南吉

作者:新美にいみ南吉なんきち(1913~1943年)

現在の愛知県半田市に生まれた後、児童文学作家として活躍。

子供の頃から創作活動に意欲的で、半田中学校に在学中から童話や童謡、小説、詩、俳句、劇作などをしていました。

その後、半田小学校の代用教員をしながら、復刊した児童雑誌『赤い鳥』に投稿。童話4編、童謡23編が掲載されます。

上京して東京外国語学校を卒業してからは、安城高等女学校で教員などの仕事をしながら、数々の作品を発表し続けました。

作品:その他の代表作の一部

当サイトでご紹介させていただいたその他の代表作の一覧です。

>>ごんぎつね

>>手袋を買いに

>>でんでんむしのかなしみ

>>二匹のかえる

>>花のき村と盗人たち

>>おじいさんのランプ

作風:善意溢れる詩情を讃えた作

庶民の子どもの生活や喜び、悲しみを、物語のなかにたくみにとけこませて、ユーモアのある独特な語りくちで、清潔で善意あふれる詩情をたたえた作である。
(『学習人物事典』332ページ より)

評価:1960年代に評価され始めた

生前にはあまりみとめられなかったが、1960年代にいたって評価されはじめ、『新美南吉全集』全8巻が出版された。
(『学習人物事典』332ページ より)

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『牛をつないだ椿の木』への感想

最後は感想です。

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見失ってしまいやすいことに気づかせてくれる物語でした

かつてノーベル物理学賞を受賞した物理学者:アインシュタインは、学生からの「人間は何のために生きているのですか?」という問いに対し、こう答えたと言われています。

 

「他人の役に立つためです。そんなことがわからないんですか?」

個人的にこの童話は、そんな『人が見失ってしまいやすいことに気づかせてくれる物語』だったように思いました。

童話に登場する海蔵は、母からの助言をきっかけに、「自分の目的のため、他人の不幸を願うべきでない…」とのことに気づきます。

そこで海蔵は地主に、「井戸をつくることでたくさんの人を助けたい…!」との正直な気持ちを伝えたことなどで、停滞していた物事が好転していきました。

もちろん現実にはこの童話のようにうまく物事が好転するとは言い切れません。

ですが、少なくとも自分はこの童話を通じて、そんな人が見落としがち…もしくは見失いやすいことに改めて気づかされた気がしています。

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『牛をつないだ椿の木』あらすじと感想まとめ

童話:『牛をつないだ椿の木』は、登場人物の海蔵が、旅人のために水飲み場をつくろうと尽力するあらすじです。

とはいえ、そのあらすじは決して一義的なものではなく、人の価値観のようなものが問われるかのような内容だったように感じました。

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参考文献

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