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【公文式のまとめページ】今まで伝えてきたすべて
トモヤ
公文と塾には、それぞれにまったく違う特徴があります。
そこで今回は、公文と進学塾で講師だった僕の経験を元に、両方の違いをまとめました。
習い事選びなどの参考にして頂ければと思います。
注)ここで言う『塾』というのは便宜上、対面型の典型的な学習塾を想定しています。
- 【6つの違い】公文と塾の違い
- 最低限知っておきたい本質的な違い
- 小学生か中学生かが一つの目安になる理由
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公文と塾の違いは6つある
まず公文と塾の大まかな違いは6つあります。表にすると以下の通りです。
指導の程度 | テスト対策 | 先取り学習 | 学校の延長線かどうか | 教室に来る時間の自由度 | 習える教科の豊富さ | |
---|---|---|---|---|---|---|
公文 | X | X | 〇 | X | 〇 | X |
塾 | 〇 | 〇 | X | 〇 | X | 〇 |
※スマホでご覧の場合は、表をタッチすると左右にスライドします
上記の表は、わかりやすさを重視して〇Xのみでの区別としていますが、実際は細かな違いが色々とあります。
それぞれの内容について、順にお伝えさせて頂きます。
<1>講師が教えない公文、教える塾
まず公文では、講師が生徒に勉強を手取り足取り教えることはありません。
これは公文が生徒の自主性を高めることを教育の理念としているからです。
僕も公文で講師をしていたときに、生徒に『教え過ぎないこと』は、公文の指導者研修で教わりましたし、実際に生徒に対してもそのように接していました。
一方で塾の場合は、講師が生徒にガッツリ勉強を教えることがほとんどなはずです。
僕も進学塾で講師をしていたときは、生徒に勉強を手取り足取り教えていました。
問題の解き方や、速く問題を解くテクニックなど、公文では決して教えないようなことです。
そのため、公文と塾とでは、生徒に勉強を教える度合いについて、大きな違いがあるといえます。
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ちなみにこの手の話にはよく誤解があります。
それは、『公文では講師が教えないのに、それで生徒は問題が解けるの?』というご指摘です。
まず公文では講師が生徒に『手取り足取り教えることがNG』とされているだけですので、決して教えることがダメなわけではありません。
僕も公文で困っている生徒を見かけたときは、アドバイスやヒントなどを送るようにしていましたし、問題を解いてもらう前に予習をかねた解説をすることもありました。
そしてそもそもの話、公文で勉強する教材プリントは、生徒が自力で解くことを前提として作られています。
例えば、例題が親切に作られていることや、スモールステップといって、少しずつ少しずつ問題のレベルが上がることで、生徒が無理なく解けるようにされているなどです。
また公文で生徒が解く問題は、その生徒の現在の学力レベルに合ったものにもなりますので、講師が教えなくても回っていきます。
なので講師が教えなくても、基本的に公文の生徒は問題なく問題を解き進めていけるわけです。
(その分、公文で勉強する内容は塾に比べるとレベルが落ちることも事実ですが)
…余談になりましたが、この手の誤解はよく聞かれることですので、念のため補足させて頂きました。
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<2>テスト対策がない公文、あるのが塾
テスト対策の有無についても、公文と塾では違いがあります。
まず公文では、学校のテスト対策は一切やりません。
テストが近づいていても、公文でやれることは公文式教材プリントのみです。
そのため、僕が公文で講師をしていたときに通っていた中学生以上の生徒は、学校のテスト期間になると、公文はお休みしていました。
一方で僕が知る限り、塾でテスト対策を一切しないところはほとんどないはずです。
僕がいた進学塾でも、学校のテスト対策はガッツリやっていましたし、学習塾ではむしろそれが普通かもしれません。
この違いの理由は後でもお伝えしますが、『公文と塾では、目指している目的が本質的に違う』ためです。
<3>先取り学習を推奨の公文、塾は違う
また公文では、先取り学習が推奨されていることも大きな特徴となっています。
【先取り学習とは…】
生徒の実学年を越えた内容を勉強すること。
例えば、小学1年生の生徒が小学4年生相当の内容を勉強するようなこと。
公文で先取り学習が推奨されている理由は、公文が子供の可能性を勝手に線引きしないことも教育の理念としているからです。
子どもたちは大きな可能性をもっている。
その可能性は、親や周囲の大人が思う以上のものであり、「ここまで」と、勝手に線を引いてしまってはいけない。
(『公文式がわかる』20ページより)
なので公文では設立当初からこうした先取り学習を推奨しており、先取り学習の条件を満たすと『オブジェ』というトロフィーがもらえる制度もあります。
【公文のオブジェ(トロフィー)は超優秀生の証】公文の元講師の自分が振り返る【天才だと思う】
僕が公文で講師をしていたときに見た限りでは、こうした公文の先取り学習にまつわる制度は、生徒の勉強へのやる気を高めることにもつながっていました。
一方で塾にも先取り学習をするところはありますが、公文ほど先取りを推奨している塾は少ないです。
僕がいた進学塾でも、先取り学習をしないわけではなかったですが、公文ほど積極的ではありませんでした。
<4>学校の延長でない公文、延長の塾
そしてこれは意外と知られていない気がしますが、公文で勉強できる内容は、必ずしも学校の授業カリキュラム通りとはなっていません。
例えば、算数であれば、公文では図形問題や文章題はほとんど出題されませんし、英語は文法の理解よりもリスニングやスピーキング、多読から勉強するなど、学校での授業の進め方とは少々違う面があります。
【公文の算数に図形・文章問題がない本当の理由】実は1970年前後に一度、導入されていた
これは公文式創設者の公文公(くもん とおる)さんが、学校の教科書で勉強するのは効率が良くないと考えていたためです。
一方で、塾はどちらかというと学校の授業カリキュラム通りなことが多いです。
少なくとも僕が知る限りでは、塾で公文のように算数(数学)で図形問題や文章題が出題されないところや、英語で文法の構造的な理解を後回しにするところは聞いたことがありません。
<5>教室に行く時間が自由でOKな公文、NGな塾
生徒が教室に行く時間が自由であるかどうかも、公文と塾では違いがあります。
まず公文では、生徒が教室に行く時間は基本的には決まっていません。
教室が空いている週に2回の曜日さえ守れば、いつ行っても大丈夫です。当然、教室が閉まる時間のギリギリに行くのは問題ですが。
とはいえ、さきほどお伝えした通り、公文は講師があえて教えない自習形式なので、こういったことが可能となっています。
それに対して、塾では生徒が教室に行く時間は基本的に決まっています。
理由は言うまでもなく、塾は公文と違って講師が生徒に勉強を教えることが基本なので、授業時間があるからです。
<6>3教科体制の公文、塾はそれぞれ
最後の違いは教科数です。
公文で勉強できるのは算数(数学)に英語、国語の3教科のみ。
なのでこの3教科以外は、公文では一切勉強できません。
【公文の教科のおすすめ】公文と進学塾の講師だった自分が「何がおすすめか?」正直に答えました
一方で塾では、各塾によって勉強できる教科数は様々です。
とはいえ、どちらかというと塾は、最低でも主要5教科(算数(数学)、英語、国語、理科、社会)は勉強可能なところが多い気がします。僕が働いていた進学塾でも、主要5教科は勉強可能でした。
公文と塾の違い【最低限知っておきたい本質的な違い】
以上のことから、公文と塾には教える度合いやテストの有無など、いくつもの違いがあることがご理解頂けたかと思います。
しかし、細かい部分でいえば、公文と塾にはもっとたくさんの違いがあることもまた事実ではあります。
ですが、両者の違いは各教室の雰囲気や指導者の質によっても変わってくるため、ここですべてを理解しようとすることは無意味です。
なのでここでは、公文と塾それぞれの本質的な違いについてをまとめてみました。
公文は学力向上に必要な土台を作る場所
まず『公文の本質的な特徴は、学力を高めるうえで必要な土台が作れること』です。
これは公文で勉強すれば、講師に教わらずに生徒自身が問題を解くことで得られる『自主性』や、基礎的な問題を繰り返し解くことで得られる『基礎学力』などを身につけることが期待できるからです。
- 自主性
- 基礎学力
- 勉強の習慣
マラソンに例えるなら、塾が走り方のフォームやペース配分を教わる場所なのに対し、公文は徹底した走り込みを教わることで、走るために必要な土台を身につける場所といえるかもしれません。
塾は学力を合理的に伸ばす場所
一方で『塾は、公文よりも学力を効率よく上げることにより特化』しています。
それはここまでお伝えしてきた通り、塾が生徒に対して問題の解き方や、速く解くテクニックを教えたり、テスト対策を提供する場所だからです。
これも繰り返しますが、マラソンに例えるなら、公文が徹底した走り込みを教わる場所なのに対し、塾は走り方のフォームやペース配分を教わる場所といえるかもしれません。
また『〇〇学校合格率95%!!』であるとか、『偏差値が平均〇〇もアップ!!』という宣伝文句は塾でよく使われますが、これは塾が生徒の学力向上に力を入れている何よりの証拠でもあります。
公文がこういった宣伝文句を使うことは、まずあり得ません。
公文と塾にはどっちに通わせるべきか?【結論:小学生か中学生かの違いが一つの目安】
では、結局のところ、公文と塾にはどちらに通うのが良いのでしょう。
これはとても難しい問題です。
なぜなら、どちらに通うべきかは何を目的とするかで変わってきますし、単純に教室や講師などとの相性もあるからです。お子さんの性格や気質なども影響があります。
そのため、万人に『コッチ!』という答えは存在しません。
ですが、わかりやすい目安として、『お子さんが小学生か中学生かで決める方法』はあります。
ここではその内容について、理由とともにお伝えさせて頂きます。
一つの参考にして下さいませ。
小学生(特に低学年)なら公文
まず子供が小学生であれば、公文に通うことはとてもおすすめです。個人的には、塾に通うよりも価値があると思っています。
それは本質のところでもお伝えした通り、公文式学習は、子供の自主性や基礎学力などといった、学力の土台となる力が身につくからです。
- 講師が手取り足取り教えない
- 基礎的な問題をひたすら繰り返す
僕が進学塾で講師をしていたときに見た限りでも、公文式経験者の生徒は、勉強への姿勢や基礎学力など、基本的なことは身についていることが多かったです。
また特に子供が小学校の低学年などの小さいうちは、『頭で考えるよりも体で覚える』というやり方の方が吸収が早いこともあります。
その点で公文の『訓練式の勉強法』は、長期間続けることはおすすめできませんが、子供が小さい小学生が通うにはより価値が高いと感じています。
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中学生以上なら塾
一方で子供が中学生以上であれば、塾に通うことをおすすめします。
これは言うまでもありませんが、中学生以上になると、小学生のときよりも勉強の負担が大きくなるため、テスト対策などをふくめて講師が勉強を教えてくれる塾の方が合理的だからです。
- 教科の本格化…算数⇒数学、英語の本格参戦など
- テストの本格化…期末テスト、中間テストなど
- 授業時間の増加
繰り返す通り、公文では塾のように学校のテスト対策は一切できませんし、講師が手取り足取り教えてくれるわけでもありません。
そして何より、公文で伸ばせる学力の土台となる力は、どうしても身につくまでに時間がかかります。
また公文で勉強する公文式教材プリントは、生徒が自力で解くことを前提としているので、教材そのもののレベルも低いです。少なくとも、僕が見る限りではそう感じました。
とはいえ、もちろん中学生以上でも公文で伸びないわけではありませんし、実際に僕が公文で講師をしていたときも、中学生以上でグングンと力をつけていく生徒はいました。
しかし、僕が思うに、そういった自立した子供はきちんとした塾に行けばもっと伸びる可能性があったようにも感じています。
なのでお子さんが中学生以上であれば、僕は迷わず塾をおすすめします。
公文と塾の違いとどっちが良いかのまとめ
指導の程度 | テスト対策 | 先取り学習 | 学校の延長線かどうか | 教室に来る時間の自由度 | 習える教科の豊富さ | |
---|---|---|---|---|---|---|
公文 | X | X | 〇 | X | 〇 | X |
塾 | 〇 | 〇 | X | 〇 | X | 〇 |
※スマホでご覧の場合は、表をタッチすると左右にスライドします
- 公文…自主性や基礎学力など、勉強の土台が身につけやすいため、小学生(特に低学年)に特におすすめ
- 塾…講師から問題の解き方や速く解くテクニックを教わり、テスト対策もできることから学力が伸びやすいため、中学生以上に特におすすめ
公文と塾には多くの違いがあります。
ですが、万人に共通するどちらが良いかの答えはないため、それぞれの良し悪しをよく理解し、何を目的とするかで選ぶのが良いかと思います。
また理屈だけでなく、お子さんや保護者の方々が感覚的に良いと思えるかどうかも大切です。
そのため、教室の雰囲気や指導者の人柄も当然のことながら、大切な要素となります。
今回は以上です。
最後までご覧頂きありがとうございました。
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