【『名作』一覧】童話や文学、戯曲など【海外と日本の有名作品集】
名作:『ねずみ経』のご紹介です。
※以下より『ねずみきょう』と表記
あらすじは読み聞かせができるようにまとめています。参考にして下さいませ。
- 『ねずみきょう』の昔話のあらすじ
- 参考文献
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『ねずみきょう』の昔話のあらすじ
あらすじと作者紹介です。
物語:ネズミたちのお経
昔、山奥におばあさんが一人で住んでいる一軒家がありました。
あるとき、その家に山伏*がやってきて、「一晩だけ泊めてほしい」と頼むのでした。
そこでおばあさんは、山伏にお願いをします。
「泊める代わりに、亡くなったおじいさんを弔う*ための短いお経を教えてほしいのです」
その願いを聞き入れた山伏でしたが、じつは山伏はそんなお経などまったく知らなかったのです。
山伏が仏壇の前で、「(どうしようか…)」と思っていたところ、壁の穴からネズミが一匹出てきました。
そこで山伏はそのネズミを見て、お経をあげるときのような調子で唱えてみたのでした。
「おんちょろちょろ ネズミがいっぴき、でてきてそうろう」
するとどうでしょう。
おばあさんはありがたそうに聞いています。
そこで山伏は続けて、もう一匹のネズミが出てきたところを見るなり、また唱えるのでした。
「またいっぴき、でてきてそうろう」
ネズミが穴をのぞくと、山伏は同じように唱えました。
「おんちょろちょろ あなのぞき おんちょろちょろ あなのぞき」
さらに二匹のネズミが顔を近づけ話しているようにも見えたので、山伏はまた唱えるのでした。
「なにやらこごえで ささやきそうろう」
この急ごしらえのお経を、おばあさんは「ありがたい」と言って、山伏に心からお礼を言うのでした。
次の日の朝早く、山伏は帰っていきました。
ある晩、二人組の泥棒がおばあさんの家にやってきました。
泥棒たちは破れた障子の穴から中をのぞくと、そこには仏壇の前にいるおばあさんの姿が見えました。
おばあさんは山伏に教わった、あのお経をあげています。
「おんちょろちょろ ねずみがいっぴき、でてきてそうろう」
「またいっぴき、でてきてそうろう」
そして続けて泥棒たちにはおばあさんの声が聞こえてきました。
「おんちょろちょろ あなのぞき」
それを聞いた泥棒たちは、自分たちのことがおばあさんにばれていると思いました。
そこで、泥棒たちはヒソヒソ声で話し始めます。
しかし、するとまた、おばあさんの声が泥棒たちに聞こえてきました。
「なにやらこごえで ささやきそうろう」
それを聞いた泥棒たちはいよいよ気味が悪くなり、おばあさんの家から逃げ出していったのでした。
(おわり)
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[用語の説明]
*山伏:山に籠もって修行をするお坊さんのこと。代々特殊な力を持っているとされており、『修験者』とも呼ばれることがある
*弔う:亡くなった人のために、死後の幸福を祈ること
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作者:不明
作者:不明
なお、作品が発表された年も不明です。
『ねずみきょう』の昔話まとめ
昔話:『ねずみきょう』は、頓智が利いた日本の民話です。
ネズミの様子をたとえてつくった山伏のインチキなお経が、泥棒たちの勘違いを引き起こして追い返します。
ちょっとおかしでユニークなあらすじでした。