『モルグ街の殺人』あらすじと考察【ネタバレあり】

悲しみに暮れる少女

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名作:『モルグ街の殺人』をご紹介させていただきました。

あらすじは全文ふりがな付きで、読み聞かせができるようにまとめています。

一つの参考にして下さいませ。

このページでわかること
  1. 全文ふりがな付きのあらすじ要約
  2. 作者紹介
  3. 考察
  4. 参考文献

『モルグ街の殺人』のあらすじ要約【ネタバレあり】

まずは本作:『モルグ街の殺人』のあらすじと作者紹介です。

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物語:天才探偵の名推理

せんはっぴゃくXX年XXねんにパリにんでいたとき、わたしはオーギュスト・デュパンという青年せいねんいになった。

デュパンは並外なみはずれた分析ぶんせきりょく想像そうぞうりょくっていた。

わたしかんがえていることをずばりとてては、わたしおどろかせたものだ。

あるつぎのような新聞しんぶん記事きじた。

モルグがいでのかいなる殺人さつじんけん

ーー今日きょう前三ぜんさんごろ、モルグがいにあるいえ四階よんかいからおそろしいめいこえた。

警官けいかんめい近隣きんりんじゅうみんたちがけつけたものの、出入でいぐちにはかぎがかかっており、まどにはくぎけられていた。

こじけてなかはいっていくと、部屋へやらされていたが、金品きんぴんはそのままのこされていた。

ふた人暮りぐらしだったレスパネじんむすめも、すぐには見当みあたらなかったが、むすめたい煙突えんとつなか母親ははおやたい裏庭うらにわつかった。

ひと出入でいりすることはできなかったげんきたこのけんには、まだなんがかりもない。

つづけて翌日よくじつ新聞しんぶんでは、このなんけんへのしょうげん掲載けいさいされていた。

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警官の証言

警官けいかん:イジドル・ミュゼのしょうげん

四階よんかいかっているあいだべつめいこえこえました。

ひと荒々あらあらしいこえで、『くそッ!』ということと、『ちくしょう』ということることができました。

もうひとするどみょうこえで、外国人がいこくじんだったとおもいます。おとこおんなかはわかりませんでしたが」

銀行頭取の証言

銀行頭取ぎんこうとうどり*:ジュール・ミニューのしょうげん

「レスパネじんくなられる数日前すうじつまえ銀行ぎんこうにいらして、四千よんせんフラン*をしました。

その銀行員ぎんこういん:アドルフ・ル・ボンがじんをごたくまでおくとどけました」

医師の証言

医師いし:ポール・デュマのしょうげん

夜明よあごろたいけんするためにばれてきました。

ふたたいはひどいじょうたいで、どうしたらここまでのじょうたいにできるのか、さっぱり見当けんとうがつきませんでした」

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がかりらしいものはなにもなく、警察けいさつはお手上てあじょうたいだった。

そこでけんきょうったデュパンは、どく調しらべてみることにした。

いのけい総監そうかん*からきょをもらい、件現けんげんけんしょうかった。

たい調しらべた翌日よくじつ、デュパンはった。

「『どんなことがこったのか?』ということよりも、『いままでにまったくこったことのないことはどんなことか?』をかんがえなければならない」

デュパンはつづける。

「まず警官けいかんいたこえについてだが、ひとはフランスじん、もうひとするどみょうこえだったとしょうげんしていた。

そしてだれもそれがいことらしいこといていない。

出入でいぐちにはかぎがかかっていて、部屋へやまどそとには、雷針らいしん*がっていた。

雷針らいしんからまどへのきょかんがえると、だれだってまどちょくせつをかけることはできない。

できたとしても、まどにはくぎけられていた。

だが、もし並外なみはずれたゆうちからがあれば、あそこから部屋へやはいることも不可ふかのうではない」

そしてデュパンはこうたずねた。

 

ちょう人的じんてきのうりょくけものてき残酷ざんこくさ、どうのない殺人さつじんみょうこえ、それらをむすびつけると、どんなけっになる?」

 

デュパンは件現けんげんつかったがたなどから、犯人はんにんした”オランウータン”だろうとすいした。

 

その新聞しんぶん広告こうこく使つかい、いっしょにいたはずのフランスじんをおびきしたところ、そのおとこはくじょうした。

脱走だっそうしたオランウータンをいかけてぶん雷針らいしんのぼったものの、まどそとから四階よんかい部屋へやでのオランウータンの暴走ぼうそうて、おもわずげてしまったのだと。

オランウータンはかくされ、けん解決かいけつした。

 

デュパンは満足まんぞくそうだった。

(おわり)

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よう説明せつめい

銀行頭取ぎんこうとうどり銀行ぎんこう最高責任者さいこうせきにんしゃのこと

*フラン:フランスなどにおけるへいたんのこと

けい総監そうかん警察けいさつ最高責任者さいこうせきにんしゃのこと

雷針らいしん建物たてもの落雷らくらいからまもるための金属棒きんぞくぼう

避雷針

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作者:エドガー・アラン・ポー

エドガー・アラン・ポー

作者:エドガー・アラン・ポー(1809~1849年)

アメリカ出身の小説家であり、詩人。

功績:近代推理小説の開祖

近代推理小説の開祖とされています。

本作:『モルグ街の殺人』は、文学史上で世界初の推理小説だといわれています。

その他の代表作には『黒猫』や『アッシャー家の崩壊』など多数。

作風:怪奇と恐怖に満ちた作品の数々

かいきょうにみちた作品をのこした。

(『学習人物事典』409ページ ポー(エドガー=アラン=) より)

(前略)『黒猫くろねこ』の入った短編集『物語』など、不気味ぶきみきょういんしょうかいな美を読者にあたえるもの、そしてすいてきなものをつぎつぎに発表した。

(『学習人物事典』409ページ ポー(エドガー=アラン=) より)

なお、詩についてはイギリス・ロマン派の影響を受けていたとされているようです。

(前略)いずれもイギリスーロマン詩人のえいきょうが強い。

(『学習人物事典』409ページ ポー(エドガー=アラン=) より)

人生:波乱に満ちた生涯

旅芸人たびげいにんを両親として、ボストンに生まれた。

おさないときに、みなしごとなり、アラン家のようとなる。

1826年にバージニア大学へ入学。

恋人こいびととの婚約こんやく失敗しっぱいしたり、しゃっきんをつくったりで10か月後に退学たいがくよう不和ふわになり家出する。

1830年に陸軍りくぐんかん学校に入学したが、なまけて放校ほうこうになり、アラン家とのえんも切れた。

(『学習人物事典』409ページ ポー(エドガー=アラン=) より)

なお、このときまでにポーは、詩集を3冊発表しています。

やがて短編たんぺん小説を書きはじめ、1833年にざっけんしょう小説に当選とうせんし、そのあと雑誌へんしゅうしゃしょくをえた。

しかし、やがて酒乱しゅらんを口実にくびにされた。

1836年、めいの13さいのバージニアと結婚けっこん

その後、リッチモンド・フィラデルフィアなどで雑誌関係かんけいのしごとをしたが、長つづきせず、まずしさのなかでかく放浪ほうろうした。

(『学習人物事典』409ページ ポー(エドガー=アラン=) より)

その後は妻が貧困のうちに死亡。

ポーはその悲しみを紛らわせるため、その場限りの愛や酒に溺れ、異常な精神状態に陥ります。

1849年には大学時代の恋人と婚約したものの、その後、訪れたボルチモアで大統領選挙の騒動に巻き込まれて泥酔。

行き倒れの形で、その生涯を閉じました。

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『モルグ街の殺人』の考察

本作:『モルグ街の殺人』にまつわる考察です。

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注:ここからの情報は自分独自の考察に過ぎません。

間違っていないとは言い切れませんので、あくまで一つの参考にして下さいませ。

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構成から垣間見える推理小説の原型

まずこのことは作者紹介のところでもご紹介させていただきましたが、本作は、文学史上で世界初の推理小説だといわれています。

そのため、本作は、その後に発表された数多くの推理小説の原型となったともいわれており、本作からはその一端が垣間見えます。

その一つが本作で使われていた構成です。

[本作の構成]

1.事件発生

2.関係者たちの証言

3.推理

4.事件解決

上記の構成は、推理小説の原型として、おそらく多くの推理小説にも使われているのではないかと思います。

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『モルグ街の殺人』あらすじと考察とネタバレまとめ

本作:『モルグ街の殺人』には、現代推理小説にも通ずる推理小説の要素を垣間見ることができます。

内容自体はミステリ小説などを読み慣れた方には少々物足りないかもしれませんが、上記のことに着目しつつ本作を読むと、また違った面白さを感じられるかもしれません。

少なくとも自分はそうでした。

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参考文献

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