『賢者の贈り物』の教訓とあらすじのネタバレ「作者が伝えたいことは何だったのか?」

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名作:『賢者の贈り物』のご紹介です。

あらすじは読み聞かせができるようにまとめています。参考にして下さいませ。

このページでわかること
  1. 『賢者の贈り物』のあらすじのネタバレ
  2. 教訓
  3. 考察
  4. 参考文献

『賢者の贈り物』あらすじ内容のネタバレ[簡単に要約]

まずはあらすじと作者紹介です。

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物語:思いやりの行く末

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明日あすはクリスマスです。

でも、デラにはわずかなおかねしかありません。1ドル87セントしかないのです。

これでは、デラのあいするおっとのジムに、てきなプレゼントをってあげることができません。

そのことをおもうと、デラはなみだまりませんでした。

明日あすはクリスマスなのに…」

 

まもなくして、ジムがごとからかえってきました。

デラはジムをむかえ、きしめます。

二人ふたりはとてもなか夫婦ふうふなのです。

 

デラとジムは、まずしくも、それぞれが素晴すばらしいたからものっていました。

まずデラのたからものしんかみです。

ひざあたりまでびたそのかっしょく*のかみは、宝石ほうせきいろあせてしまうほどのうつくしさ。

 

一方いっぽう、ジムのたからものは、おとうさんからいだきんけいです。

そのきんけいはたくさんのたからもの王様おうさまですらうらやむような、ごとものなのでした。

 

デラはかがみながら、ぶんのそのうつくしいかみをまとめげ、なみだをこぼします。

そこで彼女かのじょぶんかみをバッサリとって、それをったおかねで、ジムへのクリスマスプレゼントをうことを決心けっしんしました。

デラはかみって20ドルのおかねにすると、さっそくとてもじょうひんなプラチナ*せいけいくさりいました。

ジムがずっと大切たいせつにしている、あのきんけいによく似合にあいそうなくさりです。

 

よるしち。いつものかんにジムがかえってきました。

ジムはかみったデラをて、なんともいえないような表情ひょうじょうをしました。デラはすぐにいます。

おどろかないで。あなたにプレゼントをおくりたくて、ぶんかみったの。だいにあなたになにおくれないなんて、どうしてもえられなかったから…」

それをいてもしばらくぼうっとしていたジムは、ポケットからつつみをし、それをデラにわたしたうえでつぎのようにいます。

けてごらん。それはぼくからきみへのクリスマスプレゼントだよ。ぼくきみて、まどったゆうがわかるよ」

デラがそのつつみをけると、そこにはうつくしいくしがありました。

 

あれはかつて、二人ふたりまち出掛でかけたときのことです。

デラがショーウィンドーにてんされていたそのくしを、ながあいだつめていたのを、ジムはおぼえていたのでした。

 

しかもジムはそのくしうために、ぶんたからものだったきんけいってしまっていたのです。

きみにプレゼントをおくるために、あのけいってしまったんだ…」

 

デラはひらき、してしまいます。

それでもジムは微笑ほほえみながら、デラにやさしくこうかたりかけます。

 

ぼくたちのクリスマスプレゼントは、いますぐ使つかうにはじょうとうすぎるみたいだ。しばらくしまっておくことにしよう」

 

二人ふたりはおたがいがあいのことをおもい、ぶん大切たいせつなものをせいにして、おくものをしました。

しかし、それがいますぐやくつことはありません。

このことは、おろかなことにもおもえるかもしれません。

ですが、この二人ふたりこそが、『最高さいこう本当ほんとう賢者けんじゃ*』であることに、ちがいはありません。

(おわり)

ダイヤモンドダスト

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よう説明せつめい

かっしょくくろっぽいいろをした茶色ちゃいろのこと

*プラチナ:こうしろ金属きんぞくのことで、『白金はっきん』ともばれる

賢者けんじゃ:キリストきょうの『聖書せいしょ』にもとうじょうする、『すぐれたかしこひと』のこと

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作者:オー・ヘンリー

作者:オー・ヘンリー(1862~1910年)

アメリカ出身の小説家。

医者の息子として生まれた後、様々な職業を経験。

銀行のお金を横領した罪で逮捕されたこともあるなど、波乱に満ちた人生を送りました。

短編小説を得意としており、数多くの優れた作品を世に残しています。

本作は1905年に発表されました。

その他の代表作には『最後の一葉』や『都会の敗北』など多数。

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『賢者の贈り物』の教訓

続いては、「この童話から得られる教訓とは何か?」についてです。

とはいえ、自分の考察や解釈、感想に過ぎませんので、あくまで一つの参考にしていただければと思います。

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献身の意義深さ

結論からいうと、この童話からは、『献身の意義深さ』が描かれているように思いました。

まず『献身』とは、『自分を犠牲にして相手などに尽くすこと』を意味しますが、この童話に登場するデラとジムは、お互いが相手のことを想い合って行動していました。

デラはジムへのプレゼントのため、自分の髪の毛を切り…ジムはそんなデラのために、自分の宝物だった時計を売ってしまいます。

童話ではその行動が擦れ違いを生んでしまったものの、それでも最後には、二人はより一層の幸せを実感できたかのように描かれていました。

このことは二人の献身が思わぬ形で報われたことで、その意義深さが示唆されていたかのように見えます。

もちろんデラとジムがしたことは、人によっては愚かで無駄なことのように思える方もいるかもしれません。

ですが、少なくともこの童話の作者は、『自分の宝物を失ってでも何かをしようとする優しさ、または思いやりの素晴らしさ』を童話を通じて描きたかったのだろうと思いました。

そしてそんなことができる人こそが、この童話のタイトルでもある”賢者”なのだと伝えたかったのではないでしょうか。

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『賢者の贈り物』の考察

最後は考察です。

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『枠物語』の様式が使われている

童話:『賢者の贈り物』では、『枠物語』の様式が使われていました。

白百合女子大学大学院児童文学専攻(当時)のいけおうさんは、この『枠物語』を次のように解説して下さっています。

伝聞形式や過去回想形式等を用いることで作品中に一つ以上の物語を埋め込んでいる、入れ子型構造の物語形態をいう。枠小説とも。

(『童話学がわかる』168ページ より)

この童話においては、かつてデラとジムが二人で町に出掛けたとき、デラがショーウィンドーに展示されていた櫛をじっと見つめていた描写が、過去回想…つまりこの『枠物語』の様式で描かれていました。

そしてあらすじでは、そのことを覚えていたジムが、デラのため、自身の宝物だった金時計を売ることへとつながっています。

つまり『枠物語』の存在が、伏線の役割を担っていました。

白百合女子大学文学部助教授(当時)のつじあけさんは、このような『枠物語』の様式を、次のように解説なされています。

枠物語とは古くは『千一夜物語』にもさかのぼることのできる、物語の中に物語のある入れ子構造のことであるが、今世紀になってからの枠物語の大半は、C・S・ルイスの「ナルニア国物語」のように、<ここ>に住む主人公たちが、異世界へいざなわれて冒険をし、<ここ>にもどってくるという形をとるようになった。

(『童話学がわかる』147ページ より)

宇宙のファンタジー 『枠物語』とは?代表作品12例からその効果を考察【わかりやすく説明】

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『賢者の贈り物』の教訓とあらすじ内容のネタバレ[簡単に要約]のまとめ

童話:『賢者の贈り物』は、深い思いやりを持った二人を巡るあらすじです。

人の優しさや美しさに溢れた作品でした。

道徳の教材にもなり得ると思います。

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参考文献

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