昔話:『海月骨無し』をご紹介させていただきました。
- あらすじ
- 由来
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注:文字表記は原文への最大限の敬意を込め、可能な限りそのままの形にしています。
悪しからずご承知おき下さいませ。
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『海月骨無し』のあらすじ
物語:海月の姿の謎
大昔のことです。
竜宮の王様の御妃が、お産の前になり、
「猿の肝が食べて見たい!」
という、珍らしい食好みをなされました。
竜王はどうにかしてその望みをかなえてやりたいと思い、家来の亀を呼び、何かよい考えはないかと尋ねました。
亀はさっそく日本の島へ渡ることにしました。
そこで亀は、ある海岸の山に遊んでいる猿を見つけました。亀は言います。
「猿さん、猿さん。竜宮へお客に行く気はないか?大きな山もあり、ご馳走はなんでもある」
もし行くならば僕が連れて行ってあげるとまで言って、亀は大きな背中を猿に出して見せました。
猿はうっかり、知慧のある亀の口車に乗って、嬉しがって竜宮見物に出かけることにしました。
成程かねて聞いていたより、猿にとって竜宮は、美しいお屋敷に見えました。
その後、猿は中の御門の口に立ち、亀が案内してくれるのを待ちます。
すると、門番の海月が猿の顔を見て笑うのです。
「猿さんはなんにも知らないんだな」
猿は何のことだかわかりません。そこで海月に尋ねると、海月はこう答えます。
「竜王様の御妃が猿の肝が食べたいとおっしゃったから、君はそのために呼ばれたのさ」
こいつは大変だと思いましたけれども、猿にも知恵があるので何食わぬ顔をしていますと、やがて亀が出て来てさあこちらへと言いました。
亀さん僕は飛んでもないことをした。
こんなお天気模様なら持って来るのだったが、うちの山の樹に肝を引掛けて、乾して置いて忘れて来た。
雨が降り出したら濡れるだろうと思って心配だと言いました。
なんだ君は肝を置いて出て来たのか、それじゃもう一度取りに行くより他はあるまいと、再び亀が背中に載せて、元の海岸まで戻ってまいりました。
そうすると猿は大急ぎで上陸して、一番高い樹の頂上に登って、知らん顔をして方々を見ています。
亀がびっくりして猿君どうしたというと、海中に山無し、身を離れて肝無しと言って笑いました。
是は竜宮で門口に待っているうちに、あのおしゃべりの海月がしゃべったに相違ないと、亀は還って来て竜王に訴えますと、けしからぬ奴ということで、皮は剥がれる。
骨は皆抜かれる。
とうとう今の海月の姿になってしまったのは、全くこのおしゃべりの罰だということであります。
(おわり)
由来:不明
由来は不明