『水槽の脳』胡蝶の夢に通ずる思考実験【SF映画:『マトリックス』の構想にも使われた】

水槽の脳

思考実験:『水槽の脳』のご紹介です。

参考文献を元にまとめさせていただいています。

このページでわかること
  1. 水槽の脳の問題内容
  2. 回答の考察
  3. 説話:『ちょうの夢』について
  4. 参考文献

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注:このページでは、人の生死が描写されている場面があります。

見る人によっては残酷にうつる面があるかもしれません。

しかし、あくまで内容は思考を巡らせるためのフィクションです。

そのことはご承知おき下さいませ。

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『水槽の脳』の思考実験の概要と問題内容

それでは思考実験:『水槽の脳』の概要と問題をご紹介させていただきます。

“意識”が問われる問題

水槽の脳とは、一言でいうと、「意識とは?」が問われる思考実験です。

アメリカの哲学者:ヒラリー・パトナムが、『理性・真理・歴史』という本の中で紹介しました。

SF映画:『マトリックス』の構想にもなった

その内容は、世界的な大ヒットとなったSF映画:『マトリックス』の構想にも使われたといいます。

問題文とその問いは、次のようなものです。

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「あなたは不慮の事故に遭う

あるとき、あなたは不慮の事故に遭います。

あなたの身体は無残な姿となる

その影響で、あなたの身体は無残な姿に変わり果ててしまいました。

「(これは助からないだろう…)」

目撃した誰もがそう考えたといいます。

しかし、”脳”だけは原型をとどめていた

しかし、あなたの脳だけは、事故前の原型を奇跡的にとどめていました。

脳研究の権威は、そんなあなたを助けるべく、その脳を研究室へと持ち運ぶ

そこで、ある脳研究の権威は、そんなあなたを助けるため、そのあなたの脳を自身の研究室へと持ち運びます。

溶液に入れられた脳は、コンピュータと電極でつながれた

あなたの脳は特殊な溶液に入れられ、コンピュータと電極でつながれました。

水槽の脳(電極付き)

結果、あなたは意識を取り戻す

その結果、あなたは意識を取り戻します。

事故当時の記憶はなく、あなたは生前と同じように日常を送っている

あなたに事故当時の記憶はありません。

しかし、それ以外の記憶はハッキリしており、あなたには喜怒哀楽もあります。

感覚も正常であるため、もし何らかの形で痛い思いをしたとしても、あなたはその痛さを感じることができます。

つまりあなたは生前と同じような日常を送ることができているのです。

…だが、それはコンピュータが見せている仮想の世界である

ですが、それはコンピュータが見せている仮想の世界に過ぎません。

繰り返す通り、あなたには事故の影響で身体がありません。

そのため、仮にあなたに身体があるという感覚があったとしても、それも仮想現実なのです。

もちろんあなたはその事実を知ることはない…」

とはいえ、あなたがその事実を知ることは決してありません。疑うことすらないでしょう。

問題:『あなたは自分が生きている世界が、水槽の脳のように仮想現実ではないと言い切れるだろうか?』

では、今このサイトを見ているあなたは、「自分自身が生きている世界が、この思考実験のように仮想現実ではないと言い切れますか?

以上が水槽の脳の思考実験の問題です。

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水槽の脳の思考実験の回答例

それでは問題の回答です。

とはいえ、以下の回答は自分の考察も含まれます。

あくまで一つの参考にしていただければと思います。

【結論】必ずしも言い切れない

結論からいうと、『必ずしも言い切れない』というのが一つの答えになります。

つまり自分が生きている世界が、水槽の脳のように仮想現実でないとは決して言い切れないということです。

たとえ本当の自分の姿(水槽の脳)を見たとしても、それすらも仮想現実であるという仮説が否定できないから

なぜなら、たとえ水槽の脳のように自分には本当の姿があり、それを自分自身が見たとしても、それすらも仮想現実であるという仮説が拭えないからです。

一種のパラドックスといえます。

水槽の脳と『胡蝶の夢』

また以上の『水槽の脳』の思考実験には、古くから近い考えが存在しています。

それが『ちょうの夢』です。

古代中国の思想家:荘子の説話

ちょうの夢』は、古代中国の思想家:荘子そうしが説いていた次のような思想になります。

夢の中で、自分は蝶になっていた。

だが、果たして本当にそうだろうか。

本当の自分は実は蝶であり、人間になった夢を見ている可能性だってあるのではないか。

(『よくわかる思考実験』66、67ページ より)

事実を証明できないパラドックスの問答です。

『水槽の脳』胡蝶の夢に通ずる思考実験まとめ

思考実験:『水槽の脳』は、『ちょうの夢』に通ずる側面があります。

ときに怖い内容に思える面もあれど、意識や自我について、考えさせられる思考実験でした。

皆さんはどのように考えるでしょうか。

参考文献

このページをつくるにあたり、大いに参考にさせていただきました。

ありがとうございました。

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