【『思考実験』一覧】怖い9例&面白い10例を超厳選【クイズ形式でわかるパラドックスの世界】
思考実験:『モンティ・ホール問題』についてです。
『モンティ・ホール・ジレンマ』や『モンティ・ホール・パラドックス』とも呼ばれることがある思考実験になります。
ここでは、参考文献を元に、誰にでもわかりやすく解説することに努めました。
正攻法ではありませんが、一つの参考にして下さいませ。
- モンティ・ホール問題の解説
- 【類似問題】エレベーターの男女
- 参考文献
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『モンティ・ホール問題』の解説をわかりやすく
それではまずモンティ・ホール問題の概要と内容について、ご紹介させていただきます。
天才数学者までもが間違えた確率問題
モンティ・ホール問題とは、天才数学者:ポール・エルデシュらが間違えたことでも話題となった、確率にまつわる思考実験です。
エルデシュは歴史上、最も多くの問題を解いたとされる素数論の権威でした。
事の発端は当時アメリカのテレビ番組だった『Let’s make a deal』における、参加者に高額賞品を贈るコーナーにあります。
内容は次のようなものでした。
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[問題文]
あなたの目の前にはA、B、Cの3つのドアがあります。
その3つのドアの内、当たりのドアは1つだけです。
もう2つのドアはハズレとなります。
もし当たりのドアを当てれば、あなたはそのドアを開けた先にある高額賞品(高級車)を手にすることができます。
しかし、ハズレのドアの先にはヤギが待っているだけです。
あなたは当たりのドアを当てるべく、考えたうえで、ある一つのドアを選びました。
ところが、ここで司会者のモンティはある駆け引きを披露します。
モンティはあなたが選んだドア以外の残る2つのドアの内、あなたの目の前でハズレのドアを一つ開けてみせたのです。ドアの先にはもちろんヤギが待っていました。
この模様はあなただけでなく、番組の視聴者も目にしています。
前提として、番組の司会者であるモンティ・ホールは、正解のドアがどれなのかを知っていました。
そしてさらに司会者は、あなたにこう問いかけました…「今なら残る一つのドアに変えても良いですよ?」
さて、問題です。
「あなたは自分がはじめに選んだドアを変えるべきでしょうか?」
なお、言うまでもなく、あなたはドアを当てることを目的としているとします。
以上がモンティ・ホール問題になります。
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モンティ・ホール問題の正解
問いに対する答えです。
【結論】絶対に変えるべき
結論からいうと、『絶対に変えるべき』というのが正解になります。
変えることで当たる確率が1/3⇒2/3の2倍になるから
なぜなら、あなたがはじめに選んだドアを変えることによって、当たる確率が2倍になるからです。
つまりもしあなたがはじめに選んだドアを変えなかった場合…当たる確率は1/3。
ですが、さきにご紹介したモンティの一連のパフォーマンスの後であなたが選んだドアを変えた場合…当たる確率は2/3(2倍)になります。下記の表をご覧下さいませ。
【考えられる全パターン】
1回目 | 2回目 | |
---|---|---|
パターン1 | アタリ | ハズレ |
パターン2 | ハズレ | アタリ |
パターン3 | ハズレ | アタリ |
*2回目というのは選択を選び直した場合のこと
*ハズレのドアを知っているモンティが1回目の後に開けるそのハズレのドアの存在は、上記の表では便宜上、除外済
上記の表は、このモンティ・ホール問題が視覚的にわかるよう表にしたものです。
ゲームのプレイヤーであるあなたがはじめにドアを選んだとき(1回目)にはアタリを引く確率が1/3であることに対し、選び直した場合(2回目)にはアタリを引く確率が2倍である2/3になっていることがおわかりいただけるかと思います。
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なお、このモンティ・ホール問題の解説には、『ベイズの定理』を使った証明によって理解することができます。
それ以外だと、『モンティの選んだドアの確率がもう一つのハズレのドアに吸収される説明』、または『ドアを100通りなどに拡張する説明』などが有名です。
とはいえ、冒頭でもお伝えしたように、このページでは”誰にでもわかりやすく”理解できることをテーマとしているため、ここではこれらの詳細は省略させていただくこととしています。ご承知おき下さいませ。
(いずれは時間を見つけてこれらの解説もしたいとは思ってはいますが…)
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『エレベーターの男女』の思考実験【モンティ・ホール問題の類似問題】
最後は補足として、『エレベーターの男女』の思考実験もご紹介させていただき、終わりとしたいと思います。
この思考実験は、個人的にはモンティ・ホール問題にどこか似ているところがあると感じています。
なお、このエレベーターの男女は参考文献でもご紹介させていただいている『論理的思考力を鍛える33の思考実験』の著者:北村 良子 さんオリジナルの思考実験だと思われます。
内容は次のようなものです。
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問題文
あなたは最上階である10階のエレベーターの近くにあるレストランの従業員です。
10階のレストランフロアには男女が半々で訪れます。
偏りは全くなく、どの時間であっても男女の比率は半々で変わりないとします。
あなたは新商品のスイーツを女性にすすめたいので、女性がエレベーターから降りてきたら、一番早く声をかけようと考えています。
このエレベーターは少し変わっていて、乗っている人数と乗客の性別が表示されるようになっています。
しかし、現在は女性側の表示ライトが壊れてしまい、男性が乗っているかの有無しかわかりません。
今、エレベーターの表示は男性が乗っていることを示しており、乗客は2人となっています。
2人の目的地である10階のレストランフロアに到着しました。
あなたはエレベーターに女性が乗っている確率が少しでも高いなら、エレベーターの前に立とうと考えています。
さて、今回のように、「少なくとも1人が男性とわかっているとき、あなたはエレベーターの前に立つべきでしょうか?」
以上がエレベーターの男女の問題文です。
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正解
これも結論からいうと、答えは『立つべきではない』になると考えられます。
その理由は、もう一人が女性である確率は、男性である確率と同じ1/2であるためです。これも下記の表をご覧下さいませ。
【考えられる全パターン】
片方 | もう片方 | |
---|---|---|
パターン1 | 男 | 男 |
パターン2 | 男 | 男 |
パターン3 | 男 | 女 |
パターン4 | 女 | 男 |
*女性同士のパターンは問題文からあり得ないため、上記の表では除外済
ちなみにこの問題が掲載されている本のなかでは、もう一人が女性である確率は、男性である確率の2倍。つまり2/3であると指摘。
よって『立つべき』だと結論付けられています。
ですが、本のなかではエレベーター内の2人の立つ位置(つまり左と右)を考慮することが提案されているため、それを踏まえると、上記の表の4パターンが考えられるはず。
そのため、やはり答えは『もう一人が女性である確率は、男性である確率と同じ1/2であるため、『立つべきではない』』になると思いました。
とはいえ、自分にはこの本はじめ著者などの関係者の方々を批判する意図はまったくありません。
むしろ問題自体はとても面白いと感じますし、繰り返す通り、個人的にはモンティ・ホール問題にどこか似ているところがあると感じているためご紹介させていただいたまでです。
悪しからずご了承下さいませ。
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また個人的に、このエレベーターの男女の問題文には誤解されやすい表現がいくつかある気がしています。
たとえば、”偏りは全くなく、どの時間であっても男女の比率は半々で変わりないとします。”という一文。
この一文はおそらく”ある時間内”に試行が繰り返された結果のことを指していると考察されるため、仮にライトがまったく点灯しない(つまり女性と女性のパターンがある)こととは矛盾しないのだろうと思われますが、間違いやすいことのようにも感じました。あくまで個人的な印象ですが。
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「(『モンティ・ホール問題』が納得できない…おかしい…)」をわかりやすく解説まとめ
繰り返す通り、モンティ・ホール問題の解説には、ベイズの定理や確率が吸収される説明など…様々な切り口があります。
もし一つの解説で納得できない場合などは、その解説の一つひとつを吟味していくと、より理解が深まる面があるかもしれません。
参考文献
このページをつくるにあたり、大いに参考にさせていただきました。
ありがとうございました。