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『サイコパス』を読みました。
脳科学者:中野 信子 さんが著者の一冊です。
一言でいうと、『脳科学的な分野から、サイコパスの正体を暴くかのような内容』となっていました。
- 本を見た感想と書評、あらすじまとめ
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『サイコパス』中野信子(著)まとめ【あらすじと感想と書評】
ポイントは3つです。
100人に1人の割合で存在するサイコパス
まず『サイコパス』というのは、本書によると…『連続殺人犯などの反社会的な人格者を説明するうえで生み出された診断上の概念』とのこと。
その原因の一つは脳の機能的障害だと判明しており、日本語だと『精神病質』と訳されることが多いです。
いかにもヤバい奴の代名詞かのように思えてしまうかもですが…とはいえ、本書いわく、実際はむしろ犯罪者は少数派なんだとか。
とある研究結果によると、弁護士とか外科医とか大企業の経営者など…大胆な決断を迫られることが多いような職種に多く見られる傾向もあるようです。
またどの社会においてもサイコパスは100人に1人の割合で存在するともされています。
これは日本の人口に置き換えると、少なくとも120万人はサイコパスがいることになります。
そのため、サイコパスは世の中に溶け込む身近な存在といえる側面もあるのかも…しれません。
「理解」はするが「共感」はしない心理的特徴がある
「では、実際にサイコパスにはどんな特徴があるのでしょう?」
本書いわく、その一つを心理的特徴でいうなら…”「理解」はするが「共感」はしない“という特徴が見られると指摘していました。
たとえば、脳科学的な面でいうなら、サイコパスはそうでない人に比べ、”他者に対する「共感性」や「痛み」を認識するための脳の領域が活性化しにくいことが明らかとなっている”ようです。
つまりサイコパスはたとえ悲惨な場面などを人から見せられたとしても、感情と関連する脳の領域が活性化しにくいため、その悲惨さに共感できない面があるということです。これがサイコパスの心理的特徴の一つになります。
またこれらのことは実際に、アメリカの国立精神衛生研究所(NIMH)に所属する精神医学者:ジェームズ・ブレアらの実験でも似たようなことが指摘されたといいます。
実験では、サイコパスはそうでない人に比べ…「怒り」や「驚き」、「喜び」といった感情を読み取ることはできたものの、「恐怖」や「悲しみ」といった感情を察知する能力が欠如していた傾向にあったようです。
サイコパス研究で有名な心理学者:ケヴィン・ダットンは、サイコパスには人の心を計算ずくで理解する「冷たい共感」はある一方、感情を伴う「熱い共感」が欠けてしまっている傾向にあると指摘していたといいます。
サイコパスが負の側面から語られることが多い理由の一つには、もしかしたら以上のことが関係しているのかもしれません。
ブラック企業の経営者に潜んでいる?
またサイコパス研究の第一人者である犯罪心理学者:ロバート・ヘアによると、”サイコパスには人の良心をくすぐり、餌食にできる面がある“といいます。
そのなかでも本書では、サイコパスが社会に溶け込んでいる例の一つに、”ブラック企業の経営者”の存在を挙げていました。
繰り返す通り、サイコパスには「共感性」が低い傾向があるため、サイコパスであるブラック企業経営者は、どんなときでも経営をいつも通りまっとうできる面があるからだそうです。
具体的にいうと、サイコパスなブラック企業経営者は、社員に対して厳しすぎるノルマや長時間労働を強要することに抵抗がなく、それによる社員の苦しみに共感することも少ないんだそうです。
またこれも本書によると、サイコパスは物事を判断するとき、「道徳的にどうなのか?」という面を考えることが少ない面もあるようです。
つまり普通なら「(止めておいた方がいいんじゃないか…)」と、ためらってしまうような場面でも、自分のなかで「(合理的であれば問題ないだろう…)」と判断する傾向が高いということも考察していました。
言うまでもなく、いずれもこれらのことはブラック企業経営に向いている面があるとのことでした。
『サイコパス』中野信子(著)のあらすじと感想と書評まとめ
個人的に自分は『サイコパス』と聞いても、単純に”ヤバい人”という程度の浅すぎるイメージしか持っていませんでした。苦笑
ですが、本書を見た限り、サイコパスは分野や立場などによっては大きな力を発揮しそうな気もしなくはありません。
他にも本書には、サイコパスにまつわる興味深い内容が散りばめられています。
興味を持った方は、手にとっていただければと思います。
それでは失礼します。
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