『コールド・リーディング』とは、『なんの準備もナシに(=コールド)、人の心を読む(=リーディング)』ことです。
コールド(cold)には、「何の準備もなく、その場で」という意味があります。リーディング(reading)とは、「相手の心を読む、占う」ということ。
(『ビジネスコールドリーディング』4ページより)
※一般的な「コールド(cold)」=「冷たい」という意味ではありません
一部の占いなどで使われている、人をダマす心理テクニックの1つとして有名です。
このページでは、そんなコールド・リーディングがイチからわかるようにまとめました。
トモヤ
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コールド・リーディングの代表的な3つのテクニック
まずはコールド・リーディングで実際に使われている代表的なテクニックについてです。その内容と使われ方を、順にご紹介させていただきます。
- バーナム効果
- フォーキング
- 虹色の戦略
<1>バーナム効果
1つ目は『バーナム効果』です。
【『バーナム効果』とは…】
まるで自分のことを言われているかのように、錯覚してしまう言葉のこと。
『フォアラー効果』や『バーナム・ステートメント』、『ストックスピール』とも呼ばれる。
たとえば、次のような言葉です。
とある占い師
とある占い師
このような『誰にでも当てはまりそうな言葉』は、すべてバーナム効果として使うことができます。
うまい使われ方としては、あたかも、『あなたにしか当てはまりません』かのように使うことです。
[その他の例]
・面倒くさがり屋なところがある
・不安になることがときどきある
・周りに十分評価されていないと感じることがある
こうした例は無数に挙げることができるため、色んな使われ方ができます。
バーナム効果は、コールド・リーディングのなかでも最も有名なテクニックの一つとされていますが、その理由はこうした汎用性の高さも影響しているのかもしれません。
<2>フォーキング
続いては『フォーキング』です。
【『フォーキング』とは…】
相手の反応に応じて、結果を”分岐”(フォーク)させていくことで、まるでハズレていないかのように錯覚させること。
これはさきほどご紹介したバーナム効果と合わせて使うことができます。
たとえば、とある占いで次のようなバーナム効果を使われたとします。
とある占い師
この言葉に対して、占いを見てもらった人が次のようにある程度、”同意“したとしましょう。
とある人
すると占い師は、次のように占い結果を”分岐“させます。
とある占い師
とある占い師
あなたは最近、そういった『人に好かれたい気持ちが強くなってきている』ようです~(以下省略)
これが”正の方向への分岐(フォーキング)“です。
しかし、占いを見てもらった人は、占い結果に対していつも”同意”するわけではありません。
次のように“否定”的な反応を見せることもあります。
とある占い師
とある人
こういった場合、占い師はどうするのでしょう?
実はここで使えるのもフォーキングです。
次のように、”負の方向への分岐(フォーキング)“が使えます。
とある占い師
とある占い師
これがフォーキングの使われ方です。
つまり、たとえ相手がどんな反応を見せたとしても、状況に応じて”分岐”(フォーク)させることで、相手に結果が間違っていないかのように錯覚させる効果が期待できるということです。
のらりくらりと受け流していく心理テクニックといえるかもしれません。
とはいえ、「そんなやり方が通用するのか?」と思うかもしれません。
ですが、コールド・リーディングの達人:イアン・ローランドによると、数あるコールド・リーディングのテクニックのなかでも、このフォーキングはとても強力な効果があると証言しています。
フォーキングの素晴らしいところは、何が起きているかまったく目に見えないことだ。
(中略)
このため、コールド・リーディングのきわめて強力に人を欺く側面となっているのが、このフォーキングだ。
(『コールド・リーディング 人の心を一瞬でつかむ技術』233、234ページより)
また自分が確認した限り、このフォーキングは、コールド・リーディング関連の類書では、ほぼ間違いなく登場するテクニックとなっていました。バーナム効果に並ぶ代表的なテクニックといえるかと思います。
<3>虹色の戦略
最後は『虹色の戦略』です。
【『虹色の戦略』とは…】
真逆にあるようなことを同時に言うことで、相手にどこか当たっていると思わせる言葉のこと。
これはたとえば、次のような言葉のことをいいます。
とある占い師
見ての通り、『親切』と『自己中』という、ある意味、真逆にあるような言葉を同時に使っていることがわかります。これも同じような例は無数に挙げることができます。
[その他の例]
・『心配性』なのに『楽天的』なところがある
・『恥ずかしがり屋』なのに『自信過剰』
こうした言い回しを使うことが、虹色の戦略そのものです。
うまくいけば、相手に「当たっている…」と思わせることができるとのこと。
コールド・リーディングに精通したイアン・ローランドは、この虹色の戦略が効果的である理由の一つに、『『人は誰もが色んな性格を持っている』という『当たり前の事実』を突いている』ことにあると指摘しています。
つまり、人は誰もが、そのときの気分や状況などによって、色んな顔や性格を使い分けます。『ご機嫌』になったり、ちょっと『弱気』になったり、『照れ屋』になったり…。
そのため、もしこの虹色の戦略で、自分自身に思い当たる、数ある性格が一つでも紛れていると…人は不思議と当たっていると錯覚してしまいやすいとのことです。
コールド・リーディングを恋愛で使う2つの方法
コールド・リーディングを恋愛で使う方法についてです。
ここでの内容は、コールド・リーディングの達人:イアン・ローランドの原著を元にしています。
- 4つのテーマ
- マインド・スクリプト
[1]4つのテーマ
まずは『4つのテーマ』といって、『人間の悩みは大きく4つにわけられる』という考えです。以下がその4つになります。
【4つのテーマ】
1.愛情…恋愛、人間関係を含む
2.お金
3.職業
4.健康…美容も含む
これはコールド・リーディングの達人:イアン・ローランドが明らかにしたことで、『相手の『年齢』と『性別』だけで、相手の悩みのテーマを当てることができる』というものとなっています。
つまり『恋愛でうまく使えれば、『相手が興味があること』、『話したいこと』などを自然な形で当てることができ、相手からの好感度が上がるかも…』というわけです。
…なんとも強引ですが。笑
とはいえ、使い方は単純です。
たとえば、『10代の女性』が相手なら、『1の恋愛』もしくは『4の美容』のいずれかに悩んでいると予想ができます。
なぜなら、まず一般的に『10代の女性』が『2のお金』に深刻に悩んでいることは少なく、『3の職業』も他の年齢層などと比べると、悩みのレベルは低いと予想できるからです。
当然のことのように聞こえるかもしれませんが、このカラクリを知らない相手にとっては、自分のことが見透かされたと感じる可能性もなくはない…とは思います。笑
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ちなみに占いの文脈でいうなら、占い師は次のようなことを口にするかもしれません。
とある占い師
この『あなたは『キレイになりたい』気持ちが強そうですね?』という言葉には、『4つのテーマ』でいうと、『1の恋愛)』と『4の美容』のどちらの意味にも捉えられる曖昧さがあります。
つまり相手によっては、より「(当たってる…)」と思わせられる可能性があるということ。
イアン・ローランドいわく、こうしたやり方は、占い師が自分を信頼させるためのテクニックとして実際に使うことがあるとのことです。
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[2]マインド・スクリプト
2つ目は『マインド・スクリプト』です。
【『マインド・スクリプト』とは…】
誰かと会う場面について、自分の思いを前もって表面すること。
使い方は次のような感じになります。
とある人
これはまぁ…個人的には、「うーん…」という感じですし、使うのも恥ずかしい。笑
とはいえ、コールド・リーディングに精通したイアン・ローランドによると、少なからず効果が期待できるとのこと。
自分を奮い立たせる意味での自己暗示にはなるのかもです。
コールド・リーディングと心理学の関係性
コールド・リーディングと心理学の関係性についてです。
心理学者たちの研究テーマにされたことがある
コールド・リーディング(主にバーナム効果)は、心理学者たちによって研究テーマにされたことがあります(【PDF】Ray Hyman. “Cold Reading”: How to Convince Strangers that You Know All About Them,”)。
「バーナム・ステートメント」は、しばしば心理学者の研究テーマになっている。
ある研究では学生たちに、各自の誕生日と星座をもとに占星術で得たリーディングだと伝えて、ある文章を配布した。
それから、リーディングはどのくらい当たっていたかを尋ねると、大多数の学生はかなり正確だったと答えた。
その後でようやく、「リーディング」の内容は全員同じだったという事実が明かされた。
誰にでも当てはまるリーディングは、単にいくつかの「バーナム・ステートメント」を一つにまとめただけのものだった。
(『コールド・リーディング 人の心を一瞬でつかむ技術』85ページより)
「コールド・リーディングは心理学ではないものの、少なからぬ関係性がある」ということは言えそうです。
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ちなみに自分も大学生だったときに、心理学の授業で、教授の口から「コールド・リーディング」というフレーズを聞いたことがあります。
(何を言っていたのかは忘れましたが。笑)
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コールド・リーディングとホット・リーディングの違い
コールド・リーディングに似た言葉として、『ホット・リーディング』というものがあります。
2つの違いをまとめました。
「事前に相手の情報を集めるかどうか?」
『コールド・リーディングとホット・リーディングの違い』は、『事前に相手の情報を集めるかどうか?』ということだけです。
まず冒頭でもお伝えした通り、『コールド・リーディング』は、『なんの準備もナシに(=コールド)、人の心を読む(=リーディング)』ことを意味します。
それに対して『ホット・リーディング』は、『事前に相手の情報を密かに集めてから(=ホット)、人の心を読む(=リーディング)』というやり方です。
- コールド・リーディング⇒事前に何もしない
- ホット・リーディング⇒事前に相手の情報を密かに集める
ホット・リーディングは、『ウォーム・リーディング』とも呼ばれることがあります。
ホット・リーディングの例
コールド・リーディングに精通したイアン・ローランドは、ホット・リーディングが使われている例を、自著でいくつか指摘しています。以下がその例です。
【ホット・リーディングの例】
・一時的に預かった相手の私物から手がかりを得る
・相手が乗ってきた車から手がかりを得る
・占い師同士が相手の情報を共有
一部のサイキックがいろいろなホット・リーディングの手法を使っていることを示す証拠はたくさんある。
(『コールド・リーディング 人の心を一瞬でつかむ技術』375ページより)
※ここでいう『サイキック』とは、『超常的な能力を持つとされる占い師や霊能者のこと』を指す
こうしたやり方の是非はさておき、営業の方などが使うテクニックとして一部ありそうな気もします。
コールド・リーディングは習得できるか?
最後はそもそもの話、『コールド・リーディングは習得できるのか?』ということについてです。
可能だが、素質の問題はあるらしい
この疑問については、コールド・リーディングに精通したイアン・ローランドが、『可能だが、素質の問題はある』と自著で明言しています。
手をつけることはほとんど誰でもできるが、一部の人にはほかの人より生まれつき適正がある。
(『コールド・リーディング 人の心を一瞬でつかむ技術』380ページより)
適正というのは、以下のような素質だそうです。
【コールド・リーディングに関係がある素質】
1.口の達者さ
2.演技力
3.神経の図太さ
4.存在感
コールド・リーディングをうまくこなすには、口が達者であることと、ある程度の演技力、神経の図太さ、「ステージ上での存在感」のようなものを持っていることが必要だ。
こうした素質がある人は、努力すればたぶん優れたコールド・リーダーになれるだろう。
(『コールド・リーディング 人の心を一瞬でつかむ技術』380ページより)
※コールド・リーダー:コールド・リーディングをする人のこと
またイアン・ローランドは、コールド・リーディングの習得方法は人それぞれであるともしています。
コールド・リーディングでも、非常に分析的なアプローチをとって独力で研究し、何年も練習を続けて身につける人もいる(私はこのやり方だった)。
かと思うと、特に努力しなくてもコツを何となくつかんでしまう人もいる。
(『コールド・リーディング 人の心を一瞬でつかむ技術』380ページより)
マジックや対面占い、電話占い、霊視など、色んな場面で使われるとされるコールド・リーディングですが、習得までの定石は存在しないようです。
コールド・リーディングのおすすめ本
自分が読んだおすすめ本については、入門本から応用本まで以下にまとめています。
参考文献
このページをつくるにあたって、大いに参考にさせていただいた参考文献です。
ありがとうございました。
>>なぜ、占い師は信用されるのか? 「コールド・リーディング」のすべて
>>【PDF】Ray Hyman. “Cold Reading”: How to Convince Strangers that You Know All About Them,”