【『名作』一覧】童話や文学、戯曲など【海外と日本の有名作品集】
名作:『シンドバッドの冒険』をご紹介させていただきました。
あらすじは全文ふりがな付きで、読み聞かせができるようにまとめています。
一つの参考にして下さいませ。
- 全文ふりがな付きの原作のあらすじ要約
- 作者紹介
- 解説
- 参考文献
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『シンドバッドの冒険』の原作のあらすじ内容のネタバレ要約
あらすじと作者紹介です。
ストーリー:七つの不思議な冒険
その昔、バグダッド*の町に、シンドバッドという名の貧乏な荷担ぎがいました。
あるとき、シンドバッドは立派な御殿*を見つけて、つぶやきます。
「どうしてこの人は、こんなに幸せなんだろう…どうして私は、こんなに貧乏なんだろう…」
すると、その御殿から召使いがやってきて、シンドバッドを招き入れました。
そこには、御殿の主人である船乗りシンドバッドが、ごちそうを用意して待っています。
船乗りシンドバッドは言います。
「私がお金持ちになれた理由は、”七つの不思議な冒険“を経験してきたからです。お聞きになりますか?」
船乗りシンドバッドは、荷担ぎシンドバッドに語り始めました。
第一の冒険
第一の冒険は、シンドバッドが小さな島に上陸した話です。
元々、シンドバッドは、お父さんからたくさんの財産をもらっていましたが、そのほとんどは使い果たしてしまっていました。
「こんなことではいけない」
考え直したシンドバッドは、残っていた財産を売り払います。
それから商人たちと協力し、船を用意して、商売をするために航海に出たのでした。
そしてその航海の途中、シンドバッドが上陸したのが小さな島です。
そこでは他の船乗り仲間たちと、たき火をしながら休んでいました。
しかし、いきなり地震のような揺れを感じます。
なんと誰もが島だと思っていたその場所は、大きなクジラの背中だったのです。
クジラは海に潜り、シンドバッドは海に放り出されます。
その後、シンドバッドは、やっとの思いで、命からがら逃げ出し、ある島に流れ着いたのでした。
第二の冒険
第二の冒険は、船乗り仲間たちから忘れられ、島に置き去りにされた話です。
島に流れ着いたシンドバッドは、島の王様や人々に気に入られました。
しかし、次第に故郷が恋しくなっていきます。
そんなある日、シンドバッドは島の港で船を見かけました。
なんとそれは、シンドバッドが乗っていた船だったのです。
シンドバッドは、王様からもらった立派な品々とともにその船に乗り、故郷に帰ることができました。
ところが、シンドバッドは懲りません。
また次の航海に出たのです。
しかし、今度は無人島で眠りこけているうちに、仲間に置いていかれてしまいました。
慌てたシンドバッドでしたが、そこで見つけた巨大な鳥:ロック*の足に自分を結びつけ、なんとか無人島から脱出することに成功。
ロックによって運ばれた場所は、ヘビがウヨウヨいる危険な谷底だったものの、そこにはダイヤモンドが落ちていました。
シンドバッドはそのダイヤモンドを、ちゃっかり皮袋に詰め、近くで見つけた生肉を自分の背中にくくりつけ、横たわります。
するとワシがやってきて、シンドバッドの背中についた生肉をくわえたままに飛び上がり、巣に戻っていきました。
そうしてなんとか谷底から脱出して危険を逃れたシンドバッドは、またしても故郷に帰ることができたのでした。
第三の冒険
第三の冒険は、人を食べる大猿の目を突いて、逃げた話。
第四の冒険
第四の冒険は、嵐にあって流れ着いた島で、結婚した話でした。
しかし、その島では夫婦の片方が死ぬと、残りのもう片方も死ななければいけなかったため、シンドバッドは逃げ出しました。
その後もシンドバッドは度々航海に出て、様々な危険な目に遭います。
第五の冒険
第五の冒険は、仲間が巨大な鳥:ロックの卵を見つけた話でした。
ところが、仲間はシンドバッドが止めたにも関わらず、ロックのヒナを食べてしまいました。
そこで怒った親鳥は、岩を落とし、シンドバッドたちの船を沈めます。
逃げ出したシンドバッドは、ある老人に出会いました。
シンドバッドはその老人のために、老人を肩に乗せてあげました。
しかし、老人は肩から降りようとしなかったため、困ったシンドバッドは老人を酒で酔わせ、肩から振り落としました。
第六の冒険
第六の冒険は、船が岸壁にぶつかって難破した話です。
海岸には難破船のかけらや、荷物のダイヤモンドなどが転がりました。
しかし、食料がなかったため、仲間たちは次々と死んでしまいました。
それでも、シンドバッドは、いかだを組んで、なんとか助かりました。
第七の冒険
第七の冒険は、海賊に捕まって、奴隷として売られた話でした。
そこでは象の墓場を見つけ、象牙*がたくさん手に入ったため、主人は喜び、解放してくれました。
そうしてシンドバッドは、全部で七つの航海を終えました。
そしてその航海の度に、シンドバッドはなんとか危機を切り抜けて、故郷に帰るのでした。
船乗りシンドバッドは、七日に渡って、毎日一つずつ自身の冒険を語ったのでした。
今は家族たちと、のんびり暮らしています。
船乗りシンドバッドの今の豊かな暮らしがあるのは、”七つの不思議な冒険“のおかげなのです。
(おわり)
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[用語の説明]
*バグダッド:イラクの首都であり、イスラム世界の主要都市の一つ
*御殿:豪邸のこと
*ロック:伝説上の巨大な白い鳥のことで、『ルク』などとも呼ばれる。なお、これは諸説あるものの、そのモデルは17世紀にマダガスカル島に棲息していた巨大な鳥のエピオルニスだとも言われている
*象牙:長く伸びた象の前歯のこと。元々は貴重な工芸品の材料だったが、象が大量に殺されてしまったことで、現在ではその売買は『ワシントン条約』(絶滅のおそれのある野生動物を守る条約)によって禁止されている
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作者:不明
作者:不明
本作:『シンドバッドの冒険』は作者不明、発表年不明のイスラムの民話*です。
*イスラムの民話:インドやエジプト、ペルシャなどのイスラム世界で集められた民間伝承のこと
その他のイスラムの民話には、『アラジンと魔法のランプ』や、『アリババと40人の盗賊』などがあります。
『シンドバッドの冒険』の解説
『千夜一夜物語』の一編
本作:『シンドバッドの冒険』は、小説集:『千夜一夜物語*』の一編です。
*千夜一夜物語:主にイスラム世界を舞台とした小説集のことで、『アラビアン・ナイト』とも呼ばれている
『アラジンと魔法のランプ』や、『アリババと40人の盗賊』などの作品も、『千夜一夜物語』の中の一編です。
なお、『千夜一夜物語』は、『枠物語』の代表例としても知られています。
『枠物語』とは?代表作品12例からその効果を考察【わかりやすく説明】
「どこの国の話?」⇒『舞台はイラク』
さきほど本作が含まれた『千夜一夜物語』は、主にイスラム世界が舞台となった小説集であると言いました。
そのため、本作も舞台はイラクとなっています。
このことはあらすじにおいてシンドバッドがバグダッド*に住んでいる設定となっていることからもわかります。
*バグダッド:イラクの首都であり、イスラム世界の主要都市の一つ
『アラビアンーナイト(千夜一夜物語)』の登場人物。
バグダッドの大商人で父からゆずり受けた財産を使いはたし、船に乗って航海に出た。
第1回から第7回の航海の間に、巨大なロック鳥に出会ったり、サルの島に流れついたり、人食いの大男に食われそうになったり、ふしぎな老人に背なかにくっつかれたりするなど、さまざまな冒険をおこなった。
(『学習人物事典』229ページ シンドバッド より)
当時のイスラムの商人は船による貿易を活発に行っていた
また本作に登場した船乗りシンドバッドは、船を使った商売を行おうとしていました。
そのような船を使った貿易などの商売は、当時のイスラムの商人の間では活発だったようです。
『シンドバッドの冒険』の原作のあらすじ内容のネタバレまとめ
本作:『シンドバッドの冒険』は、シンドバッドの壮大な冒険物語でした。