【『名作』一覧】童話や文学、戯曲など【海外と日本の有名作品集】
名作:『アリババと40人の盗賊』をご紹介させていただきました。
あらすじは全文ふりがな付きで、読み聞かせができるようにまとめています。
一つの参考にして下さいませ。
- 全文ふりがな付きのあらすじ要約
- 作者紹介
- 伝えたいことの教訓の考察
- 解説:「どこの国の話?」など
- 参考文献
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『アリババと40人の盗賊』の原作のあらすじ内容を簡単に短く要約
まずは教訓などの前提となるあらすじと作者紹介です。
ストーリー:「開け、ゴマ!」
昔、ペルシャ*の町に、アリババという名の青年がいました。
ある日、アリババは森で作業をしていると、40人の盗賊たちが、馬に乗ってやってきます。
とっさに隠れて様子を見ると、そこには森の岩場で盗賊の頭*が、岩にある扉に向かって不思議な呪文*を叫んでいました。
「開け、ゴマ!」
すると不思議なことに、扉がすうーっと開いたのです。
盗賊たちが中に入ると扉は閉まり、しばらくすると、また扉は開いて盗賊たちが出てきました。
そして盗賊の頭が「閉じろ、ゴマ!」と叫ぶと、扉はまたすうーっと閉まったのでした。
盗賊たちが去った後、アリババは試しに、あの呪文を叫んでみました。
「開け、ゴマ!」
するとどうでしょう。
やはり扉は開きました。
そしてなんとその中には、たくさんの財宝が隠してあったのです。
アリババは、金貨の入った袋を、六袋も家に持ち帰りました。
後になってそれを聞きつけたのが、アリババの兄のカシムです。
カシムは弟から金貨のありかを無理矢理聞き出し、「開け、ゴマ!」と叫んで扉の中に入りました。
でも、出るときの言葉を忘れてしまい、盗賊に見つかって、殺されてしまいました。
盗賊たちは、「カシムの仲間もこの場所を知っているはずだ」と考えます。
そこで、弟のアリババを疑い始めたのでした。
また金貨が奪われていたことを知った盗賊の頭は、カンカンに怒っていました。
「盗っ人を見つけ出せ!」と手下たちに命じたのです。
その後、盗賊たちは、すぐにアリババの家を探し当てます。
夜になってから、アリババを襲う計画を立てました。
そこで、家のドアに白いチョークで印をつけて帰ったのでした。
その印に気づいたのが、アリババの召使いのモルジアナです。
用心深くて賢いモルジアナは、機転を利かせて、町中の家のドアにも同じ印を付けてまわります。
おかげで盗賊たちは大混乱。
手がかりを失ってしまった盗賊たちは、アリババを襲うことができませんでした。
しかし、それでも盗賊たちは、またアリババの家を探し当てます。
次の日の晩には、盗賊の頭が油売りの商人に変装して、アリババの家にやってきました。
「遠くからきたので、一晩泊まらせて下さい」
何も知らないアリババは、変装した盗賊の頭を、快く受け入れてしまいます。
そして、ロバ20匹と、大きな油の瓶40個を家に置かせてあげたのでした。
じつは、その油が入っているように見せかけた瓶の中には、盗賊の手下たちが隠れていました。
盗賊たちはまんまと、アリババの家に入り込むことに成功したのです。
ところが、ここでもまたモルジアナは、異変に気づきます。
盗賊たちが瓶の中にいることを見破ったのです。
モルジアナは、煮立った油を瓶の中に流し込むことで、中にいた盗賊たちを、やっつけたのでした。
これに驚いたのは、盗賊の頭です。
なぜなら、頭がいくら合図を送っても、誰一人出て来ないどころか、瓶の中では手下たちがみんな倒れていたからでした。
頭は大慌てで、森に逃げ帰りました。
それでも、盗賊の頭は懲りません。
今度は大商人のふりをして、アリババの息子と仲良くなります。
そしてうまいこと、アリババの家の晩ごはんに呼ばれたのでした。
しかし、やはりここでもモルジアナは、その客人のことを少し変だと感じていました。
そこでよくよく気をつけて客人を見てみると、その正体が盗賊の頭であることに気づきます。
しかも袖の中には短刀を忍ばせていることにも気づきました。
モルジアナは踊り子の衣装に着替え、客間に踊り出ます。
短刀を手に美しく舞うモルジアナの姿に、客人は大喜びです。
そこで客人が金貨を一枚、モルジアナに渡そうとしたそのとき。
モルジアナは客人の胸をめがけて、短刀を突き刺しました。
「なんてことをするのだ!」
アリババはモルジアナを叱りつけました。
モルジアナはすべての訳を話します。
ようやく本当のことを理解したアリババは、モルジアナの行動に感激しました。
その後、モルジアナは、アリババの息子のお嫁さんになりました。
「開け、ゴマ!」
アリババは、扉の中に隠してあった財宝によって、大金持ちになり、いつまでも幸せに暮らしました。
(おわり)
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[用語の説明]
*ペルシャ:現在のイランのこと
*呪文:不思議な力を起こす、まじないの言葉
*頭:あるグループなどのリーダーのこと
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作者:不明
作者:不明
本作:『アリババと40人の盗賊』は作者不明、発表年不明のイスラムの民話*です。
*イスラムの民話:インドやエジプト、ペルシャなどのイスラム世界で集められた民間伝承のこと
その他のイスラムの民話には、『アラジンと魔法のランプ』や『シンドバッドの冒険』などがあります。
「『アリババと40人の盗賊』が伝えたいことは何だったのか?」【教訓の考察】
では、「本作:『アリババと40人の盗賊』が伝えたいことは何だったのでしょうか?」
2つの教訓を考察しました。
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注:ここからの情報は自分独自の考察に過ぎません。
間違っていないとは言い切れませんので、あくまで一つの参考にして下さいませ。
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<1>『勧善懲悪』
まず一つ目は、『勧善懲悪』です。
【『勧善懲悪』とは?】
『善い行いをした人は栄え、悪い行いをした人は懲らしめられて滅びる』といった道徳的な意味を持つ言葉
- 善人のモルジアナ⇒栄えた
- 悪人の盗賊たち⇒滅びた
本作に登場したモルジアナは、アリババのために献身を続け、最後には結婚をつかみました。
一方で、盗賊たちにはアリババの兄のカシムを始末し、アリババを襲おうとした罰が下されたかのような最後となっています。
以上のことは、見方によっては『勧善懲悪』が教訓として描かれていたとも見れます。
少なくとも自分はそう考察しました。
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(とはいえ、アリババ自身はそもそも盗賊たちの財宝を盗んでいるのに最後には幸せをつかんでいるため、必ずしも『勧善懲悪』が描かれていたとはいえませんが…)
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<2>『機転を利かせることの意義』
二つ目は『機転を利かせることの意義』です。
本作の主人公はアリババではあるものの、あらすじの後半にはモルジアナの活躍が際立っていました。
特に機転を利かせて盗賊たちの数々の計画を阻止した活躍は、本作の大きな見どころです。
とはいえ、もしかしたらそんな見どころ自体も、本作の教訓の一つだったのではないか…とも自分は考察しました。
『アリババと40人の盗賊』の解説
『千夜一夜物語』の一編
本作:『アリババと40人の盗賊』は、小説集:『千夜一夜物語*』の一編です。
*千夜一夜物語:主にイスラム世界を舞台とした小説集のことで、『アラビアン・ナイト』とも呼ばれている
『アラジンと魔法のランプ』や『シンドバッドの冒険』などの作品も、『千夜一夜物語』の中の一編です。
なお、『千夜一夜物語』は、『枠物語』の代表例としても知られています。
『枠物語』とは?代表作品12例からその効果を考察【わかりやすく説明】
「どこの国の話?」⇒『舞台はイラン』
本作の舞台はイランです。
それは本作に登場するアリババが、ペルシャ*の町にいるという設定からもわかります。
*ペルシャ:現在のイランのこと
『アラビアンーナイト(千夜一夜物語)』の登場人物。
ペルシアの町のまずしい商人。
ある日、森で木を切っていると、40人の盗賊がやってきて、岩に向かって「開けゴマ」と呪文をとなえて岩あなの中に入るのを見た。
盗賊たちが去ったあと、中に入ると、たくさんの宝物があったので家に持ちかえった。
ところが、欲の深い兄のカシムに秘密を知られてしまう。
カシムは岩あなで宝物を見つけるが、呪文をわすれて盗賊に見つかり、ころされてしまう。
盗賊たちは、岩あなの秘密が知られたのをさとり、アリババの家をつきとめるが、めし使いモルギアナの機転でころされ、アリババはすべての宝物を手に入れて大金持ちとなった。
(『学習人物事典』24ページ アリババ より)
なぜ”ゴマ”なのかは不明
本作には「開け、ゴマ!」という呪文が登場しました。
とはいえ、「なぜ”ゴマ”なのか?」という理由はよくわかっていないようです。
【『アリババと40人の盗賊』が伝えたいこと】教訓の考察[原作のあらすじ内容も簡単に短く要約]まとめ
本作:『アリババと40人の盗賊』は、不思議な呪文にまつわる物語でした。