【『名作』一覧】童話や文学、戯曲など【海外と日本の有名作品集】
名作:『アラジンと魔法のランプ』をご紹介させていただきました。
あらすじは全文ふりがな付きで、読み聞かせができるようにまとめています。
一つの参考にして下さいませ。
- 全文ふりがな付きのあらすじ要約
- 作者紹介
- 解説
- 教訓の考察
- 参考文献
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『アラジンと魔法のランプ』のあらすじ内容を簡単に要約
まずは解説と教訓の前提となるあらすじと作者紹介です。
ストーリー:願いを叶えるランプの魔人
昔、中国の都に、アラジンという名の若者がいました。
アラジンはいつも遊んでばかり。母といっしょに暮らしています。
あるとき、アフリカの魔法使いがやってきて、山間の谷にアラジンを連れ出しました。
「アラジン、地下にあるランプ*を持ってきてくれ」
アラジンは、魔法使いがお守りと言った魔法の指輪をはめ、穴倉に入ってランプを取ってきます。
しかし、魔法使いはアラジンがランプをすぐに渡さないことに怒って、アラジンを穴倉に閉じ込めてしまいました。
困ったアラジンは、ふと手を握ると、はめていた魔法の指輪がこすれました。
すると、なんと指輪の魔人が現れたのです。
「ご用でございましょうか。ご主人様」
指輪の魔人はこう言います。
「指輪をはめておられるご主人様の仰せの通りに」
アラジンは喜びました。
そしてすぐに指輪の魔人に家に帰してほしいことを頼むと、あっという間に家に帰ることができました。
しかし、家に帰ることはできたものの、そこには食べる物がありませんでした。
そこでお腹が空いたアラジンは、古いランプを売ろうと考えます。
そしてそのためにランプを磨いてこすったところ、今度はランプの魔人が現れたのです。
「ご用でございましょうか。ご主人様」
ランプの魔人は言いました。
「ランプをお持ちのご主人様の仰せの通りに」
すると一瞬のうちに、金の皿に上等のごちそうがのせられました。
おかげで親子は何年も何年も、楽しく暮らせるようになりました。
その後、アラジンは美しいお姫様と結婚するため、ランプの魔人に頼みます。
四十皿の宝石と四十人の召使いを準備し、一万枚の金貨をばらまき、世界一美しいお城をつくってもらったのです。
おかげで二人は結婚し、町中が二人を祝いました。
ところが、アフリカではあの魔法使いが、アラジンの大成功を知って怒りました。
そこで魔法使いは商人に化け、「新しいランプを古いランプと取りかえますよ」と言い、お姫様から魔法のランプを奪ったのです。
「ご用でございましょうか。ご主人様」
たちまち現れたランプの魔人は、魔法使いに、「何のご用ですか」と尋ねます。
魔法使いは言いました。
「アラジンのお城を中身ごとそっくり、アフリカにあるわしの住処へと運べ。このわしもいっしょにな」
するとお城はお姫様を入れたまま、消えてしまいました。
悲しんだアラジンは、指輪の魔人を呼び出して、アフリカのお城まで連れて行ってもらいます。
そこで再会したお姫様と協力し、魔法使いを眠り薬で退治して、魔法のランプを取り戻しました。
ランプの魔人は、お城をもとの場所へと戻しました。
しかし、魔法使いにはもっと悪い弟の魔法使いがいました。
その悪い魔法使いは、ランプを取り返そうとやってきます。
尼僧*に化けてお城に入り込んできましたが、ランプの魔人はその正体をアラジンに伝え、アラジンは魔法使いを退治しました。
それから、アラジンとお姫様は、一生楽しく暮らしました。
国も栄えたということです。
(おわり)
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[用語の説明]
*ランプ:ポットの形をした照明器具のことで、口の部分に火がつく
*尼僧:女性の僧のこと
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作者:不明
作者:不明
本作:『アラジンと魔法のランプ』は作者不明、発表年不明のイスラムの民話*です。
*イスラムの民話:インドやエジプト、ペルシャなどのイスラム世界で集められた民間伝承のこと
その他のイスラムの民話には、『シンドバッドの冒険』や、『アリババと40人の盗賊』などがあります。
『アラジンと魔法のランプ』の解説
『千夜一夜物語』の一編
本作:『アラジンと魔法のランプ』は、小説集:『千夜一夜物語*』の一編です。
*千夜一夜物語:主にイスラム世界を舞台とした小説集のことで、『アラビアン・ナイト』とも呼ばれている
『シンドバッドの冒険』や、『アリババと40人の盗賊』などの作品も、『千夜一夜物語』の中の一編です。
なお、『千夜一夜物語』は、『枠物語』の代表例としても知られています。
『枠物語』とは?代表作品12例からその効果を考察【わかりやすく説明】
舞台は中国
さきほど本作が含まれた『千夜一夜物語』は、主にイスラム世界が舞台となった小説集であると言いました。
ですが、本作はそんなイスラムの雰囲気が感じられる作品ではあるものの、その舞台は中国です。
その証拠に本作に登場するアラジンは、中国の町に住んでいるという設定になっています。
『アラビアンーナイト(千夜一夜物語)』の登場人物。
シナの町に住む仕立屋のむすこ。
なまけ者で、父親が死んだあとも遊びくらしていたが、父親の弟だと名のる魔法使いの手伝いをして、こすると魔神があらわれて願いごとをかなえてくれる不思議なランプを手に入れてからは、大金持ちになり、ついには王女と結婚することができた。
(『学習人物事典』22ページ アラジン より)
魔人の正体は聖霊?
またこれは諸説ありますが、本作に登場した魔人は”聖霊”であるという指摘があります。
イスラム世界で古くから信じられてきた聖霊が、魔人の正体であるという指摘です。
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ちなみに作品によっては、魔人のことが魔神と表記されていることもありました。参考までに。
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「『アラジンと魔法のランプ』の教訓とは?」【考察】
本作:『アラジンと魔法のランプ』から読み取れる教訓の考察です。2つあります。
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注:ここからの情報は自分独自の考察に過ぎません。
間違っていないとは言い切れませんので、あくまで一つの参考にして下さいませ。
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<1>『勧善懲悪』
まず一つ目は、『勧善懲悪』です。
【『勧善懲悪』とは?】
『善い行いをした人は栄え、悪い行いをした人は懲らしめられて滅びる』といった道徳的な意味を持つ言葉
本作に登場したアラジンが善人だったのかはわかりません。
ですが、少なくとも、悪事を働いた魔法使いは退治される物語となっていました。
そしてアラジンはその魔法使いと対比するような構図で最後は幸せを手にしていたため、本作にはこの『勧善懲悪』に近い教訓が描かれていたのではないか…と自分は考察しました。
<2>『心願成就』
二つ目は『心願成就』です。
【『心願成就』とは?】
『心からの願いが叶う』という意味の言葉
アラジンは、自身とは身分が違うお姫様と結婚することを心から願い、お姫様のために尽くし続けました。
そしてその結果、二人は結婚。
幸せな結末を迎えていたことから、本作では願い続けることの大切さのようなものが教訓として描かれていたようにも自分は考察しました。
とはいえ、そうでなくとも本作は、願いを叶える魔人の存在が中心となった物語です。
よってそのことからも、”願い”に何らかの教訓が含まれていたと考えることもできるのかもしれません。
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ちなみに以上2つの教訓を四字熟語で表していることに深い意味はありません。
勝手に「わかりやすいかな~?」と思い、無理矢理、四字熟語にしているまでです。苦笑
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『アラジンと魔法のランプ』のあらすじ内容と教訓を簡単にまとめ
本作:『アラジンと魔法のランプ』は、魔法のランプを巡る、摩訶不思議な物語でした。