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トモヤ
結論からいうと、公文とサピックス(SAPIX)の両立は止めた方が良いです。
以下3つが理由となります。
- 相乗効果が得られにくい【『先取り学習』VS『復習主義』】
- 両立より“乗り換え”の成功例が目立つ【男子御三家に合格した越前さんなど】
- 子供への負担が大きい【保護者も同様】
上記の内容は、参考文献として関連書籍と公式サイト、さらには進学塾と公文で講師をしていた自分の経験が元となっています。
もちろん公文とサピックスを両立すべきかどうかはとても悩ましい問題ですし、これが絶対に正解とはまったく思ってはいません。
ですが、このさきの内容を見れば、「公文とサピックスは両立しない方が良さそうかも…」ということが、よく理解できると思います。
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サピックス(SAPIX)と公文の両立が弊害になる3つの理由【止めた方が良いです】
それでは冒頭でお伝えした以下の内容を順に見ていきます。
- 相乗効果が得られにくい【『先取り学習』VS『復習主義』】
- 両立より“乗り換え”の成功例が目立つ【男子御三家に合格した越前さんなど】
- 子供への負担が大きい【保護者も同様】
<1>相乗効果が得られにくい【『先取り学習』VS『復習主義』】
1つ目は、公文とサピックスの両立には、両立による『相乗効果が得られにくい』ことです。
まず公文には『先取り学習』といって、学年や年齢を問わずにドンドン先の内容に進んでいける特徴があります。
公文では、学校の授業内容も前もって公文のプリントで予習が可能です。
その他にも公文には、『オブジェ』や『標準完成時間』など、子供が早く勉強することを後押しするような制度が数多く存在。自分も公文で講師をしていたとき、実際にこの目で見てきました。
しかし、サピックスの現役講師である渋谷 浩太さん(仮名)によると、これらの公文の特徴には、次のような問題があるといいます。
(前略)『できるだけ早く解答し、見直しなどしない』というのが公文式出身者に共通する欠点。
ミスは先生に指摘してもらうものと思い込んでいるからです。
(『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』160ページより)
この渋谷さんのような主張は、公文に対して昔からよく指摘されている問題点です。実際に自分もこれまでに何度も耳にしてきました。
そしてそれに対してサピックスでは、『復習主義』という教育方針が特徴的。
これは予習ができる公文とは対立するかのような教育法です。
以下はサピックスの公式サイトにある言葉です。
サピックスの授業は予習ができません。それには理由があります。
サピックスでは子どもたちが自ら感心を持って考え、学んだことがきちんと身につくようにするために、授業から教材まで「復習中心の学習法」に基づいて構成しています。
子どもたちには、塾の授業に予習をすることなく臨み、その場でその日の課題に取り組んでもらいます。
(サピックスの公式サイト より)
つまりここで言いたいのは、公文とサピックスの教育法には、”真っ向から対立する部分がある”ということです。
そのため、公文とサピックスを両立すると、相乗効果が最大化しないどころか、むしろその各々から本来受けられる恩恵が少なくなり、マイナスにもなり得るとも考えます。
たとえば、公文とサピックスを両立している子供が、公文の『先取り学習』で学校の授業内容を予習したとします。
そうすると、もうその時点でサピックスの『復習主義』が成り立たなくなってしまう恐れがあるといえます。これは明らかに問題でしょう。
とはいえ、誤解しないでいただきたいのですが、ここでお伝えしているのは、公文とサピックスのどちらが良いか悪いかの話ではありません。
あくまで両立はよろしくないのでは?というだけのことです。そのことはご理解下さい。
<2>両立よりも”乗り換え”で成功したパターンが目立つ【男子御三家に合格した越前さん】
また『両立よりも”乗り換え”によって成功したパターンが目立つ』傾向にあることも見逃せません。
中学受験ではサピックスに通い、有名中高一貫校に入学するとすぐに中高一貫校生向け大学受験塾の鉄緑会に通って東大受験対策を始めるという「王道」が存在するのだが、そのルーツをさらに遡るとどうやら公文式にたどり着くことがわかったのだ。
(『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』3ページより)
男子御三家に合格した子供を持つ越前 真智子さん(仮名)は、中学受験塾がサピックスなのかは不明なものの、乗り換えをうまく利用した方の一人です。
越前さんは子供に小1から小3の2年半だけ公文に通ってもらい、その後、ほぼ自宅学習の期間を経て、小6の夏から日曜日だけ中学受験塾に通ってもらったとのこと。
越前さんは公文の魅力を次のように振り返っています。
休んだり再開したり、自由にできることも公文式の魅力だと思っています
(『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』140ページより)
公文と進学塾で講師をしていた自分の経験でも、以上すべてのことには完全に同意です。
公文とサピックスをはじめとした進学塾においては、両立よりも乗り換えによって成功したパターンの方が、圧倒的に多かったです。
もちろん両立によって成功した例も自分は見たことはありますが、それはどちらかというとレアなパターン。
少なくとも両立は、子供が抜きん出て優秀であるか、保護者の方の徹底したサポートのどちらかがなければ、成立していなかった気がしています。
<3>子供への負担が大きい【保護者も同様】
最後は『子供への負担が大きい』ことです。
これは言うまでもありませんが、特に公文は宿題をこなすが大変ですし、サピックスでは授業に付いていくことが大変なはず。
しかも多くの子供にとっては、それにプラスして学校の勉強もあるわけです。
両立によって子供への負担がとても大きいものとなることは間違いありません。
また勉強に対する子供の自主性が十分でなければ、親が子供に対して何かしら働きかける必要性も増えてきます。
それ以外にも、経済的な面や、子供の送り迎えの問題など、両立による負担は保護者にとってもまったくの無関係ともいえません。
両立によって十分な効果が期待できるのであればまだしも、そうでなければちょっと考え物だと思います。
サピックス(SAPIX)と公文の両立が弊害にならないために知っておきたいこと
しかし、そうはいっても、公文とサピックスの両立によって成功するパターンがあることも、また事実です。
そうであるなら最初から無理だと決めつけるのではなく、まずは期間を設けるなどしてやってみるのも一つの手。
そこで最後は、そんなときに役立つ(かもしれない)ことを補足としてまとめて終わりとさせていただきます。
公文は”休会”をはじめ融通が利く【サピックスは…】
これはご存じかもしれませんが、前提として公文は宿題を減らしたり、教室学習の回数を減らすことなどが可能です。
一時的に休会することも可能なので、サピックスに限らず他の習い事などと両立するときは、子供の様子を見ながら休会を視野に入れておくと良いかもしれません。
【公文を辞めるときは休会⇒退会にすべき】3つの理由【公文の元講師の自分の意見】
一方でこれは間違っていたら申し訳ないのですが…おそらくサピックスには休会の制度はありません。
そのため、公文とサピックスを両立してみて何かうまくいかない部分が出てきた場合、まず考えるべきは融通の利く公文の負担を減らすことが最優先だと思います。
もちろん休会も一つの手段です。
(とはいえ、自分の経験上では、公文で休会すると戻ってこないパターンが多かったですが…。苦笑)
サピックス(SAPIX)と公文の弊害と両立まとめ
- 相乗効果が得られにくい【『先取り学習』VS『復習主義』】
- 両立より“乗り換え”の成功例が目立つ【男子御三家に合格した越前さんなど】
- 子供への負担が大きい【保護者も同様】
繰り返す通り、両立によって成功した例はゼロではないものの、こと公文とサピックスにおいては、両立しない方がその恩恵を最大限に受けられると思います。
少なくとも難関校への受験を目指されているのであれば、早い段階でサピックス1本に絞るのが賢明です。
それでは。
参考文献
関連ページ
【公文と塾の違い】公文と進学塾で講師だった自分がお伝えします【どっちが良い?】
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