『ほら吹き男爵の冒険』あらすじをご紹介【映画化もされた名作童話】

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名作 【『名作』一覧】童話や文学、戯曲など【海外と日本の有名作品集】

童話:『ほら吹き男爵の冒険』のご紹介です。

あらすじは読み聞かせができるようにまとめています。参考にして下さいませ。

このページでわかること
  1. 『ほら吹き男爵の冒険』のあらすじ
  2. 考察
  3. 参考文献

『ほら吹き男爵の冒険』のあらすじ

あらすじと童話に登場する主人公のモデル、映画のご紹介です。

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物語:その話って本当?

玉座に座る王様

なにきみもわしのはなしきたいのか?」

「うーむ…まあ、はなさないこともないが…くれぐれもわしを『ほらき*だんしゃく*』などとぶのはめてくれたまえよ?」

 

あれはむかしうまってたびをしたときのことじゃ。

あさからっていたゆきが、夕方ゆうがたになってきゅうはげしくなった。

まえにはすすめず、こうなると、もう宿じゅくしかない。

わしは、まずだいうまをどこかにつなごうとおもった。

るとすこさきに、くいが一本いっぽんゆきうえている。

わしはそのくいにうまをつなぎ、よこになった。

相当疲そうとうつかれておったのじゃろう。

わしがましたのは、つぎひるだった。

朝

そられ、太陽たいようがかんかんとっている。

あたたかいというよりは、むしろあついほどだ。

「むむ!」

わしはそこでがついた。

 

うまがいない!あのくいもない!」

 

「くそ、うまめ。くいをひきずってげたか…!」

そのときのことじゃ。

 

「ヒヒーン」

 

突然とつぜんそらからうまのいななくこえこえた。

「おお!」

わしはおもわずおおきなこえをあげた。

まえにはきょうかいがあって、とうがそびえている。

 

そのとう一番上いちばんうえにはじゅう字架じかっていて、そこにはうまがぶらがっているではないか。

 

かしこいわしは、すぐにわかった。

昨日きのう大雪おおゆききょうかいゆきもれていた。

だから、じゅう字架じかさきだけがゆきうえていたのだ。

それをわしは、くいと勘違かんちがいしたというわけじゃ。

あつさでゆきがとけたら、このとおりだ。

「ヒヒーン」

うまは、まだくるしそうにいなないている。

わしはいそいでピストルをかまえた。

 

「ん?くるしんでいるうま一刻いっこくはやらくにするためにうまつ?」

「はは、そんなことはせんよ。そこなってもらってはこまる」

「わしはうまをぶらげているロープをねらったんだ」

 

「バーン!」

 

わしがったのだからして、当然とうぜんたまはロープにめいちゅうした。

うま無事ぶじすくわれて、わしのところにけてた。

 

「めでたし、めでたし」

「ん?なんだきみ、そのかおは」

「わしがほらをおとこえるかね」

(おわり)

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よう説明せつめい

*ほらき:でたらめをったりするひとのこと

だんしゃく:ヨーロッパのぞくかいきゅうひとつのこと

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モデル:ミュンヒハウゼン

モデル:ミュンヒハウゼン(1720~1797年)

この童話の主人公である、『ほら吹き男爵』のモデルとなったドイツの貴族。

童話のあらすじは、話好きだったミュンヒハウゼンが客に語った奇想天外な物語が、本として出版されたものとなっています。

なお、童話の大元の作者は不明です。

1943年には映画が公開

その後、1943年には映画:『ほら男爵の冒険』がドイツで公開されています。

日本語吹替版もあるようです。

とはいえ、自分が確認したところ、上記のリンクからでは在庫はないようでしたが…。

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『ほら吹き男爵の冒険』の考察

最後は考察です。

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『枠物語』の様式が使われている

本作:『ほら吹き男爵の冒険』には、『枠物語』の様式が使われています。

白百合女子大学大学院児童文学専攻(当時)のいけおうさんは、この『枠物語』を次のように解説して下さっています。

伝聞形式や過去回想形式等を用いることで作品中に一つ以上の物語を埋め込んでいる、入れ子型構造の物語形態をいう。枠小説とも。

(『童話学がわかる』168ページ より)

つまりこの童話においては、登場人物のほら吹き男爵が自ら語っている過去回想の場面こそが、この『枠物語』に当てはまるということです。

白百合女子大学文学部助教授(当時)のつじあけさんは、このような『枠物語』の様式を、次のように解説なされていました。

枠物語とは古くは『千一夜物語』にもさかのぼることのできる、物語の中に物語のある入れ子構造のことであるが、今世紀になってからの枠物語の大半は、C・S・ルイスの「ナルニア国物語」のように、<ここ>に住む主人公たちが、異世界へいざなわれて冒険をし、<ここ>にもどってくるという形をとるようになった。

(『童話学がわかる』147ページ より)

宇宙のファンタジー 『枠物語』とは?代表作品12例からその効果を考察【わかりやすく説明】

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『ほら吹き男爵の冒険』あらすじまとめ

童話:『ほら吹き男爵の冒険』は、話好きとされたドイツの貴族:ミュンヒハウゼンの逸話が元となっています。

ちなみにこの童話は今では名作に数えられるほど有名ですが、元々はミュンヒハウゼンの許可なく何者かが勝手に出版したという背景があるようです。

奇想天外なのは、あらすじだけではないのですね。

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参考文献

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