『べろだしちょんま』の怖いあらすじ内容【悲しいストーリー】

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名作:『べろだしちょんま』のご紹介です。

あらすじは読み聞かせができるようにまとめています。参考にして下さいませ。

このページでわかること
  1. 『べろだしちょんま』の怖いあらすじ
  2. 学校教育にまつわる情報
  3. 参考文献

『べろだしちょんま』の怖いあらすじ内容【悲しいストーリー】

まずはあらすじと作者紹介です。

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物語:オモチャにまつわる悲しい物語

てへぺろをする少年

千葉ちばはなむら*に、『ベロしチョンマ』というオモチャがある。

にんぎょうで、りょうひろげ、じゅうかたちっている。

なかくと、まゆがハのがってベロッとしたす。

ればだれでもおもわずさずにはいられない。

チョンマというのは『ちょうまつ』のなまりのことだ。

 

ちょうまつというのは、もうじゅうさいになるアンちゃんだ。

だから、いもうとのウメの面倒めんどうなくちゃならない。

それにウメはまだみっつだったし、しもけはひどく、いてあるキレ*をえてやるたんびにかならいていた。

 

あるとき、ちょうまつはうまいことをつけた。

ウメがビーとしそうになったらうのだ。

「ウメ、ろ。アンちゃんのツラ」

 

まゆをハのげて、ベロッとベロをしてやるんだ。

するとウメはわらさずにはいられない。

 

毎晩まいばんとうちゃんやかあちゃんやむらしゅうが、ネング*の相談そうだんをしている。

ちょうまつとこいていた。

去年きょねん今年ことし天候てんこうわるく、こめむぎもロクロクとれないのに、殿様とのさまはネングをまえよりもっとせとってきたらしい。

ぶんたちがうものだってこまっているのに。

 

「もうこうなったらちょうさん*だ」

「いっそちこわし*でもやっか」

「それよりだれかが江戸えどじきすれば」

 

じきしょうぐんさま殿様とのさまのやりかたいつけにくことらしい。

どれもこれもつかまったり、くびられたりするおそろしいバツがあるらしいのだ。

 

あるあさきてみたら、とうちゃんがいなかった。

そして何日なんにちったあるばん役人やくにんがナダレんでた。

 

つまふじ、そのほう、おっともととうろうが、江戸えどしょうぐんじきおよぶため、しゅっ*せしことぞんじおろう!」

 

役人やくにんろくしゃくぼう*でかあちゃんのかたをグイといた。

とうちゃんは江戸えどってしょうぐんさまったんだ!

 

ってました。かくはしてますだ。ご存分ぞんぶんに」

 

ちょうまつとウメをかかえ、かあちゃんはしっかりとこたえた。

けいじょうでは、とうちゃんがちょうまつたちとおなしろものたかはしらしばられていた。

 

とうちゃん!」とちょうまつさけぶと、とうちゃんはやさしいわらった。

かあちゃんもちょうまつもウメも、じゅうはしらにはりつけられた。

ウメは、「かあちゃーん!」とさけんだ。

 

村人むらびとたちがそとからたけらい*をする。

「はじめー!」

役人やくにんさけんだ。

「ヒーッ!おっかねえーッ!」

ウメがさけぶ。

このときちょうまつは、おもわずさけんだ。

 

「ウメーッ!ろォアンちゃんのツラァーッ!!」

 

そしてまゆをハのげてベロッとベロをした。

ちょうまつはベロをしたままやりかれてんだ。

 

そのしょにはちいさなやしろった。

役人やくにんがいくらこわしても、またった。

そして縁日えんにちには、『ベロしチョンマ』のにんぎょうられた。

(おわり)

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よう説明せつめい

はなむら創作そうさくじょうくうむら

*キレ:ぬのれのこと

*ネング:ぜいとしておさめるこめのこと

ちょうさんはたててげること

ちこわし:こめなどをおそうこと

しゅっ江戸えどくこと

ろくしゃくぼうながやく182cセンチmメートルぼう

たけらいたけこうさせてつくったかこ

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作者:斎藤隆介

作者:斎藤さいとうりゅうすけ(1917~1985年)

東京都出身の児童文学作家。

東京都で生まれた後、大学卒業後、北海道新聞の記者を勤めながら著作活動を始めました。

画家:たきだいらろうとのコンビが有名です。

その他の代表作には『もちもちの木』や『花さき山』、『八郎』など多数。

作風:秋田地方の方言やオノマトペを散りばめた創作童話

なお、それら創作童話の作風には、秋田地方の方言やオノマトペ*が散りばめられていることに特徴があります。

*オノマトペ:『ワクワク』など、状態や動作などを言葉で表現したもの

作品には、秋田の方言を使った民話ふうの創作童話が多い。

(『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作』88ページ 斎藤隆介 より)

評価:『日本児童文学者協会賞』はじめ数々の賞を受賞

短編童話集『ベロ出しチョンマ』で小学館文学賞、童話『てん赤馬あかうま』で日本児童文学者協会賞、童話『ソメコとオニ』で絵本にっぽん賞を受賞している。

(『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作』88ページ 斎藤隆介 より)

>>一般社団法人日本児童文学者協会

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『べろだしちょんま』と学校教育

最後は本作:『べろだしちょんま』の学校教育にまつわる情報です。

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小学6年生の教科書に掲載

まず「『べろだしちょんま』は教科書の何年生に掲載されているのか?」についてですが、結論からいうと、小学校6年生の教科書に掲載されたことがあるようです。

「ベロ出しチョンマ」は、小学六年生の教科書に採録された。

(『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作 再び』51ページ 斎藤隆介 より)

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残酷な描写がある本作ということもあり、自分は学校の教科書に掲載されたことがあると知ったときは、少し意外…でした。

少なからず賛否がありそうに思いましたので。

ちなみに自分は塾講師の経験もありますが、自分が見落としていただけかもしれないものの、本作が小学6年生の教科書に掲載されていたことは今まで知りませんでした。

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実際に行われた指導例

なお、実際の学校教育の現場では、本作は少なくとも次の3つの指導が行われたことがあるといいます。

<1>長松の行動から作品の主題を捉える

まず一つ目は、『長松の行動は読者に何を語りかけているのかを考え、作品の主題を捉える』です。

授業では、次のような指導が行われた。

ちょうまつの行動は読者に何を語りかけているかを考え、主題をとらえる。

(『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作 再び』51ページ 斎藤隆介 より)

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なお、自分は本作の主題には、『人間の底力』のようなものがあったと考察します。

なぜなら、本作における長松は、『最期まで自分を貫き続けていた』からです。

それは妹のウメが泣いたとき、長松が決まって行っていた、”ベロ出しの顔”がそれにあたります。

てへぺろをする少年

さらに本作の最後では、役人が壊しても壊しても建ち続けた社の存在が描かれていましたが、それも長松の『底力や信念、執念』のようなものが生き続けていることのようにも自分には見えました。

…ですが、自分が知る限り、作者は本作の主題や教訓などをどこかに書き残しているわけではなさそうですので、何が正解なのかはわかりません。

これらの考察はまったく間違っているかもしれませんし、そもそも答えがない可能性もあります。

また個人的に本作は、人によって見え方が大きく変わってくる作品だとも感じています。

よってもしこの指導例を行う際には、正解を導くことを目的とする以外に、色んな意見を見聞きして作品への考えを深めることを目的とすることも一つのやり方かもしれません。

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<2>「長松はどんな少年か?」を話し合う

二つ目は、『長松の妹:ウメへの行動から、「長松はどんな少年か?」を考え、各々が読み取ったことを話し合う』です。

授業では、次のような指導が行われた。(中略)

・妹のウメに対する行動から考え、長松はどのような少年だと思うか、読み取ったことを話し合う。

(『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作 再び』51ページ 斎藤隆介 より)

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ここでも自分の個人的な考えをお伝えさせていただくと、長松は『強く優しい少年』だったと感じました。

どんな状況でも妹のウメのことを想っていた長松の行動などがその理由です。

とはいえ、これも人によって見え方が色々ありそうです。

(個人的には、『頭がイ〇れたヤバ〇少年』と思う方がいても不思議ではない気もしていますが)

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<3>長松の行動を考えながら感想を書く

最後三つ目は、『長松の行動を考えながら感想をまとめる』です。

授業では、次のような指導が行われた。(中略)

・長松の行動について考えながら、感想をまとめて書く。

(『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作 再び』51ページ 斎藤隆介 より)

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『べろだしちょんま』の怖いあらすじ内容【悲しいストーリー】まとめ

誰もが笑ってしまう人形:『ベロ出しチョンマ』のモデルである長松は、最期まで、怖がる妹のウメを笑わせようとしました。

怖くもあり、悲しい物語でもあったように思います。

またこの物語は作中に登場する花和村が創作上の村であることをはじめ、物語自体は作者による創作です。

ですが、作中に登場する長松の父は、将軍へ直訴して処刑された佐倉惣五郎がモデルとされています。

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参考文献

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