『トムソーヤの冒険』あらすじ内容を要約【教訓も考察「伝えたいことは3つあった?」】

腕組みをする少年

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名作:『トムソーヤの冒険』のご紹介です。

あらすじは読み聞かせができるようにまとめています。参考にして下さいませ。

このページでわかること
  1. 『トムソーヤの冒険』のあらすじ
  2. 3つの教訓を考察「伝えたいことは何だったのか?」
  3. 『ハックルベリーフィンの冒険』との違い
  4. 『ハックルベリー・フィン症候群』とは?
  5. 参考文献

『トムソーヤの冒険』のあらすじ内容を要約

まずはあらすじと作者紹介です。

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物語:いたずら好きの少年トム

曲がりくねった道

ミシシッピがわ*のかわ沿いのちいさなまちむトム・ソーヤーは、いらずらきでわんぱくなしょうねんです。

近所きんじょではひょうばんわるガキでした。

そんなトムは、おとうとのシッドと、ポリーおばさんの世話せわになっています。

トムのあたまなかは、「(どうやっておばさんにいつけられたごとをサボれるか…勉強べんきょうをしないか…そしてどれだけかいあそまわれるか…)」ということばかりでした。

 

ようあさ。トムはいたずらのばつとして、おばさんからへいのペンキりをいつけられました。

ですが、トムにはこのいやごとだれかにたのめるほどの財産ざいさんはありません。

そこでトムはピンとひらめきます。

 

ベンがとおりかかったときのことです。

トムはたのしそうにペンキりをするふりをしました。

すると、それをたベンは、おもわずトムにこういました。

「なあトム。それ、おれにもちょっとだけらせてくれよ」

ベンはたのしそうにペンキをるトムをて、ぶんもそれがやりたくなったのです。

しかし、トムはこうかえしました。

「いや、ダメだな。こんなおもてどおりのへいをちゃんとれるのは千人せんにん一人ひとりくらいさ。シッドだってやりたがっていたけど、おばさんはどうしてもやらせなかった」

そういたベンは、ますますそのペンキりがやりたくなります。

「ちゃんとやるよ!このリンゴをあげるからさあ」

ついにトムはこまったようなえんをして、ペンキをるための刷毛はけをベンにわたしたのでした。

 

そのも、みちとおたちが、次々つぎつぎとペンキりをやっていきました。

ぶんにもやらせて!」

ペンキりがやりたくて、なかにはビーだまやチョークやたこをトムにあげるもいたくらいです。

そうしてトムは、ぶんがやるはずだったいやなペンキりを、まんまとひとまかせることができたのでした。

そしてそんなペンキりは、トムがづいたときにはわっていました。

トムはずっと、のんびりしていただけなのでした。

 

トムは発見はっけんしたのです。

大人おとなでもどもでも、なにかをしがらせたかったら、「それはなかなかはいらないものだ」とおもわせるだけでいいんだと。

そして『ごと』はしなくちゃいけないこと、『あそび』はしなくちゃいけないことではないんだと。

 

またあるときにはトムは、友人ゆうじんのジョーといえをしました。

大親友だいしんゆうであるハックルベリー・フィンとともにかったジャクソンじまで、海賊生活かいぞくせいかつ満喫まんきつしていました。

トムはかれのことを、「ハック」とんでいました。

 

一方いっぽう、トムたちがもどらないことを心配しんぱいしたまちひとたちは、かわでトムたちが使つかったいかだ*をつけます。

まちひとたちは、トムたちはおぼれてんでしまったとかなしみました。

けれども、葬式そうしきさいちゅうにトムたちは突然とつぜんあらわれたので、みなびっくりです。

トムはおばさんから、たっぷりとゲンコツとキスをもらったのでした。

 

またまたあるときには、トムとハックは真夜まよなか墓地ぼち冒険ぼうけんきました。

そしてトムたちは、そこでインジャン・ジョーというおとここした殺人さつじんけん目撃もくげきします。

トムとハックはこわくなったので、二人ふたりで、「このことはだまっていよう…」と約束やくそくいました。

 

しかし、のち裁判さいばんで、インジャン・ジョーはぶんつみみとめませんでした。

それどころか、インジャン・ジョーは、その裁判さいばんでまったくの関係かんけい老人ろうじんつみせるまつなのでした。

 

トムはそのつみせられた老人ろうじんこまっているところをて、てもってもいられなくなりました。

そしてついに、トムはゆうして、ぶんたことを裁判さいばんしょうげんしたのです。

それをいた真犯人しんはんにんのインジャン・ジョーは、裁判所さいばんしょから逃走とうそう行方ゆくえめいになったのでした。

 

夏休なつやすみ。トムはおんなかけた洞窟どうくつで、みっみちまよってしまいました。

しかもそのときに遭遇そうぐうしたのが、あの犯人はんにんのインジャン・ジョーなのでした。

トムはなんとかそこからだっしゅつすることができましたが、なんとインジャン・ジョーはそのてつとびらふうされた洞窟どうくつなかで、たい発見はっけんされました。

 

トムはインジャン・ジョーが洞窟どうくつなにをしていたのかがになったので、ハックといっしょにじつ洞窟どうくつしのみました。

すると、そこでトムたちはインジャン・ジョーがかくしていた、たくさんのきんつけます。

きんにした二人ふたり大金おおがねちです。一躍有名人いちやくゆうめいじんになりました。

ですが、その二人ふたりがいたずらをやめることはありませんでした。

(おわり)

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よう説明せつめい

*ミシシッピがわ:アメリカを南北なんぼくながれるきたアメリカ最大さいだい規模きぼせん

*いかだ:木材もくざいなどをむすけてふねのようにみずかぶようにしたもの

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作者:マーク・トウェイン

マーク・トウェイン

作者:マーク・トウェイン(1835~1910年)

アメリカ出身の小説家であり作家。

新聞記者や印刷工、蒸気船の水先案内人などの仕事を経験した後、創作活動を始めました。

本名はサミュエル・ラングホーン・クレメンズ。

本作:『トムソーヤの冒険』は、1876年に発表された後、世界的な大ベストセラーとなりました。

なお、本作はそんなトウェイン自身の少年時代の体験をもとにした内容となっており、『ハックルベリーフィンの冒険』は本作の続編にあたります。

またこの本作と前作の舞台となっているミシシッピ川の川沿いは、トウェインが4歳のときに一家で転居して育った思い出の地でもあります。

トウェインはアメリカ西部ミズーリ州のフロリダ村に、弁護士の子として生まれました。

4歳のときに一家でミシシッピ川沿いのハンニバルに転居。

変遷:名声を得るまで

それから12歳で父親を失ってからは、トウェインは学校を辞め、印刷屋の見習いとなり、アメリカ東部や中西部の各地を転々と渡り歩く印刷工となりました。

その間に、あちこちの新聞に風刺文などを書いたりしたが、冒険ずきだったかれは南アメリカ行きを思いつく。

ニューオーリンズまで行ったが船がなく、そこで1857年に、ミシシッピ川の水先案内人になってしまった。

やがて南北戦争(1861~65年、アメリカ合衆国の北部と南部の間でおきた戦争)がおこって職をうしない南軍にくわわったがすぐやめて、兄にさそわれて西部へ行き、文才をみとめられてジャーナリストになる。

1865年、笑い話『ジム=スマイリーとその跳び蛙』を新聞に書くとたちまち評判になり、マーク=トウェーンの名まえは一時に知れわたった。

(『学習人物事典』425ページ より)

人物:『フロンティア精神』

1870年に結婚して東部に住まいをかえたが、少年・青年時代の体験をなつかしみ、また当時を客観的にながめなおす機会になり、『トム=ソーヤーの冒険』(1876年)『ミシシッピに生きる』(1883年)、『ハックルベリ=フィンの冒険』(1884年)など、ミシシッピ川を背景にした自伝的な悪童物語を発表、方言や俗語を思いのままに使い、独特のユーモアと社会風刺でフロンティア精神*の勝利をうたった。

(『学習人物事典』425ページ より)

*フロンティア精神:開拓者精神のことで、未知未開に挑む不屈の精神のことをいう。なお、フロンティアとは新大陸での開拓地と未開拓地との境界を意味している。

また、この時代の作品にC=D=ウォーナーとの共作『めっき時代』があるが、かれはこのなかで、南北戦争後の金銭欲にくるった社会を批判している。

(『学習人物事典』425ページ より)

晩年:人間関係

しかし、晩年は人間関係のもつれもあって、人間不信におちいり、評論『人間について』などで、その思想をしめした。

(『学習人物事典』425ページ より)

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『トムソーヤの冒険』の教訓の考察「伝えたいことは3つあった?」

「では、『トムソーヤの冒険』から得られる教訓には何があるのでしょうか?」

以上の前提をもとに、作者が伝えたかったであろう3つのことを考察しました。

とはいえ、どこまでも自分個人の考察になりますので、あくまで一つの参考にしていただければと思います。

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〔1〕童心を忘れないこと

まず一つ目の教訓は『童心を忘れないこと』です。

まず『トムソーヤの冒険』に登場するトムたちの振る舞いや行動は、終始とても純粋なものでした。

困っている老人のために勇気を持って裁判で証言をしたり…未知の場所へと足を踏み入れる好奇心さだったり…。

それらのことは、見方によっては童心を忘れないことの大切さが示唆されていたようにも思います。

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〔2〕一歩踏み出す勇気

またトムの行動は、ただ純粋なだけではありません。

『一歩踏み出す勇気』もありました。

繰り返す通り、トムは老人のため、勇気を持って裁判で真実を証言しています。

それは殺人犯であるインジャン・ジョーを敵に回す可能性があるにも関わらず…です。

そしてそんなトムが見せた一歩踏み出す勇気、強い意志は、この童話を見ている人へのメッセージだと見ることもできなくはないと考えます。

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〔3〕機転を利かせる意義

最後は『機転を利かせる意義』です。

トムは決して優等生ではありませんでしたが、頭の回転が速く、そして機転の利かせ方がユニークでした。

罰として命じられたペンキ塗りを逃れるための方法がまさにそれです。

とはいえ、そんなトムが見せた機転は、童話の中で、閉塞した状況を打破する助けとなっています。

このことも童話を見た側とすれば、現実に役立て得る一つの教訓として受け止めることもできそうです。

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『トムソーヤの冒険』と『ハックルベリーフィンの冒険』の違い【4つの相違点】

本作:『トムソーヤの冒険』と『ハックルベリーフィンの冒険』の違いです。

探検する子供たち 『ハックルベリーフィンの冒険』あらすじ内容を簡単に要約【考察と感想も(ネタバレあり)】

ともにマーク・トウェインが作者の童話になりますが、その違いは4つあります。

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<1>時系列

まず一つ目の違いは『時系列』です。

『トムソーヤの冒険』の続編にあたるのが『ハックルベリーフィンの冒険』だからです。

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<2>主人公

そして『主人公』にも違いがあります。

これはタイトルの通りですが、まず『トムソーヤの冒険』の主人公はトム・ソーヤ、そして『ハックルベリーフィンの冒険』の主人公はハックルベリー・フィン(通称:ハック)です。

両者ともどちらの作品にも登場するものの、主人公、つまり中心人物であるかどうかには違いがあります。

とはいえ、トムとハックはどちらもわんぱくな少年ですので、その人物像には共通点も多いですが。

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<3>時代背景の反映度

三つ目の違いは『時代背景の反映度』です。

まず前提として『トムソーヤの冒険』も『ハックルベリーフィンの冒険』も、作者であるマーク・トウェインの少年時代の体験がもととなっています。

トウェインが生まれたのは1835年。両童話の舞台となっているミシシッピ川付近にトウェインが移り住んだのは4歳のときであることから、おそらく両童話の時代背景は、1830年代~40年代のアメリカが舞台だと推定されます。

そのことを踏まえると、本作:『トムソーヤの冒険』に当時の時代が反映されているような描写は少ないです。

ですが、一方でその続編である『ハックルベリーフィンの冒険』では、差別意識や奴隷制が根強く残る社会など、当時の時代背景が描写されているかのような場面が多く見られました。

よって以上のことから、両童話は時代背景の反映度にも違いがあると個人的には考えます。

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<4>シリアスさの度合い

最後は『シリアスさの度合い』です。

まず『トムソーヤの冒険』も『ハックルベリーフィンの冒険』も、シリアスな場面が共通して存在しています。

前者は殺人鬼:インジャン・ジョーが登場しますし、後者は繰り返す通り、差別意識や奴隷制が根強く残る社会が描かれています。

しかし、前者ではその中心人物であるトムたちがインジャン・ジョーから直接的な被害を被る場面はほぼない一方、後者はそうではありませんでした。

主人公ハックの友達であるジムは奴隷制の直接的な被害者の一人でしたし、そこから逃げる最中では、トムが銃によって撃たれる場面もありました。

そのため、これも自分個人の印象が強いかもしれないものの…『トムソーヤの冒険』は『ハックルベリーフィンの冒険』よりもシリアスさの度合いでは低いように思います。

とはいえ、繰り返す通り『ハックルベリーフィンの冒険』は時代背景の反映度も前作に比べると強いように思いましたので、両者の違いはシリアスさでもあり、『リアルさ』であったともいえるのかもしれません。

冒険の世界に引き込まれ、その冒険を疑似体験できるような作品です。

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『ハックルベリー・フィン症候群』の由来

最後はこの童話にもまつわる用語のご紹介です。

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『制約を嫌い、自由を求める症状』

『ハックルベリー・フィン症候群』とは、『制約を嫌い、自由を求める症状』のことです。

特に学校や職場など、特定の集団の規律に反する行動をとりがちになることを指して用いられます。

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『トムソーヤの冒険』あらすじ内容を要約【教訓も考察「伝えたいことは?」】まとめ

童話:『トムソーヤの冒険』は、いたずら好きの少年トムの冒険の物語でした。

そしてそのあらすじからは、童心を忘れないことや、機転を利かせる意義などを教訓として得ることができると考えます。

続編である『ハックルベリーフィンの冒険』ともセットで見てみると、その違いも相まって、この童話の魅力がより鮮明になるかもしれない…そんな感想も持ちました。

参考文献

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