【『名作』一覧】童話や文学、戯曲など【海外と日本の有名作品集】
名作:『ハックルベリーフィンの冒険』のご紹介です。
あらすじは読み聞かせができるようにまとめています。参考にして下さいませ。
- 『ハックルベリーフィン』のあらすじ要約
- 考察と感想(ネタバレあり)
- 『ハックルベリー・フィン症候群』とは?
- 参考文献
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『ハックルベリーフィンの冒険』あらすじ内容を簡単に要約
まずはあらすじと作者紹介です。
物語:少年ハックの冒険
僕の名前はハックルベリー・フィン。
『トム・ソーヤーの冒険』を読んだ人なら、僕のことを知っていると思う。
僕はトムとの冒険の後、ダグラス未亡人の養子になった。
でも、この家は堅苦しくて、いいところではなかった。
それで僕は嫌になって家を逃げ出し、カヌーに乗ってミシシッピ川*を下っていったんだ。
途中の島で会ったのが黒人のジムだ。
ジムは奴隷*の生活が嫌になって、家を逃げ出してきたんだって。
僕に似ているなあと思ったよ。
僕とジムはすぐに親しくなった。
ジムは、ごつい体に似合わず、とても優しかったんだ。
僕はそんなジムがそばにいてくれたおかげで、ずいぶんと気が楽になった。
やっぱり、一人より二人だ。
だけど、悪いことって突然起こるんだね。
あるときジムは途中で立ち寄った町で、悪い奴らに捕まって、また奴隷として売られてしまった。
僕は必死になって捜した。
でも、見つからなかった。
何日経っても手がかりすらつかめない。
僕も逃げている身だから、あんまりのんびりもしていられない。そのうち、頭に浮かんできた。
「(これはもう放っておいて、先に進んだ方がいいんじゃないか…)」って。
でも、ジムの優しい顔を思い出したら、僕にはそれはできなかった。
逆に覚悟が決まったんだ。
「(捜さなくちゃいけない…!)」ってね。
そうしたら、ああ、これは、きっと神様が味方してくれたんだよ。
あのトムと、町で再会したんだ。
トムはすぐに計画を立てて実行してくれた。
トムは人を捜すことが得意だからね。
半分楽しんでいるんじゃないかと思ったくらいさ。
すると、ジムはかわいそうに、町の外れの小屋に閉じ込められていた。
僕たちは、ジムを小屋から出していっしょに逃げた。
すぐに武器を持った大人たちが追いかけてきた。
僕たちは走った。めいっぱい走った。
なんとか逃げられた。
だけど、途中でトムが銃で撃たれてしまい、足に怪我をしてしまった。
なんとか医者を見つけて、治療してもらうことができたときは、ほっとしたよ。
ジムは夜も寝ないでトムを看病していた。
「大丈夫、大丈夫…トム」
やっぱり、ジムはジムだ。
あの姿は忘れられない。
やがてトムは元気になり、みんなはほっとした。
本当に大変なことばかりだった。
でも、トムったら元気になった途端、「三人で冒険に行こう!」なんて言い出すんだ。
僕は笑ってしまったよ。
でも、悪くない話さ。
僕はその頃にはすっかり冒険好きになっていたからね。
きっと刺激的なことが起きるに違いない。
さあ、準備を始めようか、トム、そしてジム。
(おわり)
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[用語の説明]
*ミシシッピ川:アメリカを南北に流れる北アメリカ最大規模の河川
*奴隷:”物“のように扱われる人間のことであり、労働を強制させられたりする
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作者:マーク・トウェイン
作者:マーク・トウェイン(1835~1910年)
アメリカ出身の小説家であり作家。
新聞記者や印刷工、蒸気船の水先案内人などの仕事を経験した後、創作活動を始めました。
本名はサミュエル・ラングホーン・クレメンズ。
本作:『ハックルベリーフィンの冒険』は、1885年に発表されています。
本作はそんなトウェインが、自身の少年時代の体験をもとにして書いた大ベストセラー:『トム・ソーヤの冒険』の続編です。
なお、この本作と前作の舞台となっているミシシッピ川の川沿いは、トウェインが4歳のときに一家で転居して育った思い出の地でもあります。
トウェインはアメリカ西部ミズーリ州のフロリダ村に、弁護士の子として生まれました。
4歳のときに一家でミシシッピ川沿いのハンニバルに転居。
変遷:名声を得るまで
それから12歳で父親を失ってからは、トウェインは学校を辞め、印刷屋の見習いとなり、アメリカ東部や中西部の各地を転々と渡り歩く印刷工となりました。
その間に、あちこちの新聞に風刺文などを書いたりしたが、冒険ずきだったかれは南アメリカ行きを思いつく。
ニューオーリンズまで行ったが船がなく、そこで1857年に、ミシシッピ川の水先案内人になってしまった。
やがて南北戦争(1861~65年、アメリカ合衆国の北部と南部の間でおきた戦争)がおこって職をうしない南軍にくわわったがすぐやめて、兄にさそわれて西部へ行き、文才をみとめられてジャーナリストになる。
1865年、笑い話『ジム=スマイリーとその跳び蛙』を新聞に書くとたちまち評判になり、マーク=トウェーンの名まえは一時に知れわたった。
(『学習人物事典』425ページ より)
人物:『フロンティア精神』
1870年に結婚して東部に住まいをかえたが、少年・青年時代の体験をなつかしみ、また当時を客観的にながめなおす機会になり、『トム=ソーヤーの冒険』(1876年)『ミシシッピに生きる』(1883年)、『ハックルベリ=フィンの冒険』(1884年)など、ミシシッピ川を背景にした自伝的な悪童物語を発表、方言や俗語を思いのままに使い、独特のユーモアと社会風刺でフロンティア精神*の勝利をうたった。
(『学習人物事典』425ページ より)
*フロンティア精神:開拓者精神のことで、未知未開に挑む不屈の精神のことをいう。なお、フロンティアとは新大陸での開拓地と未開拓地との境界を意味している。
また、この時代の作品にC=D=ウォーナーとの共作『めっき時代』があるが、かれはこのなかで、南北戦争後の金銭欲にくるった社会を批判している。
(『学習人物事典』425ページ より)
晩年:人間関係
しかし、晩年は人間関係のもつれもあって、人間不信におちいり、評論『人間について』などで、その思想をしめした。
(『学習人物事典』425ページ より)
『ハックルベリーフィンの冒険』の考察と感想【ネタバレあり】
考察と感想です。
とはいえ、自分個人の考えに過ぎませんので、あくまで一つの参考にして下さいませ。
1830年代~40年代のアメリカが舞台だと推定
まずこの童話の時代背景は、1830年代~40年代のアメリカが舞台だと推定されます。
その理由は、この童話が作者のトウェインの少年時代の体験がもととなっているからです。
トウェインが生まれたのは1835年。童話の舞台となっているミシシッピ川付近にトウェインが移り住んだのは4歳のときです。
よって以上のことから、童話の時代背景は1830年代~40年代にあたると思われます。
童話の中で差別が描かれていたのも、この時代背景の影響もあるのかもしれません。
希望を失わないことの大切さが描かれているようでした
またこの童話に登場するハックやジムは、当初、苦しい境遇にありました。
ハックは養子となった家庭に馴染めず、ジムは奴隷制の存在に苦しみます。
ですが、ハックらは前向きに考え、行動することで、そんな物事も好転させていきました。
このことは個人的に、『希望を失わないことの大切さが描かれている』ように見えました。
ワクワクしながら冒険が疑似体験できる作品
童話は終始、主人公のハック本人が語っているような形式となっているため、読んでいて臨場感がありました。
冒険の世界に引き込まれ、その冒険を疑似体験できるような作品です。
『ハックルベリー・フィン症候群』の由来になった
最後はこの童話に由来する用語のご紹介です。
『制約を嫌い、自由を求める症状』
『ハックルベリー・フィン症候群』とは、『制約を嫌い、自由を求める症状』のことです。
特に学校や職場など、特定の集団の規律に反する行動をとりがちになることを指して用いられます。
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『ハックルベリーフィンの冒険』あらすじ内容を簡単に要約【ネタバレありの考察と感想も】まとめ
童話:『ハックルベリーフィンの冒険』は、主人公である少年ハックの冒険録です。
どんなときでも希望を失わないハックらの冒険に、疑似体験できる物語でした。