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累計200万部超えの世界的ベストセラーである『影響力の武器[第三版]:なぜ、人は動かされるのか』を(今更ながら)読みました。
社会心理学者:ロバート・チャルディーニが著者の本です。
本の内容は『“説得”される人の心理や、とある要求などに対して「イエス!」と”納得”する人の心理などの原理原則がまとまった一冊』となっていました。
影響力を高めたい方はもちろん、無闇にその影響力に惑わされないための理解が深められます。
本書では、その影響力が武器として6つ紹介されていましたが、今回はそれらについてまとめてみました(`・ω・´)ゞ
- 【要約&書評】『影響力の武器』
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『影響力の武器』:要約【本の内容は大きく6つ】
影響力の武器は全部で6つです。以下の通り。
- 一貫性
- 返報性
- 社会的証明
- 希少性
- 権威
- 好意
順にご紹介させていただきます。
<1>一貫性
まずその1つ目は『一貫性』です。
これはズバリ、『人は『自分が一貫していたい』、または『一貫しているように人に見られたい』という心理そのもの』。
この一貫性が裏付けられた研究や実験などは数多く、たとえば恋愛系のとある心理学実験には以下のようなものがあります。
[一貫性にまつわる心理学実験]
1.恋愛関係にある人が…
↓
2.相手の幸せを”祈る”ことを習慣にしたら…
↓
3.祈っていた人は浮気をしにくくなった!
[参考文献]
・Fincham, F. D., N. M. Lambert, and S. R. H. Beach. 2010. “Faith and Unfaithfulness: Can Praying for Your Partner Reduce Infidelity?” Journal of Personality and Social Psychology 99: 649-59.
注:画像はイメージです
つまり恋愛関係にある人が、相手の幸せを毎日同じ時間だけ“祈る”ことを習慣にした結果、その”祈っている人が”祈りを続けていた期間に限り、”浮気をしにくくなった”というものです。
これは相手の”幸せを祈り続ける”という、”浮気と矛盾しているようなこと”を習慣にしたことで一貫性が発動。
それによって、浮気をしにくい心理が一貫化されたからだそうです。
とある人
ちなみにこの研究では文字通り、”相手の幸せを”祈る“ことでしか”同じような効果はなかった模様。
たとえば、祈るときに相手の好きなところを思い浮かべたり、ただ祈る…というだけでは浮気は減らなかったそうです。
このことからも自分がこれまでにしてきた考えや行動や発言、価値観、態度などと矛盾したことをしないようになるこの一貫性の影響は、強く確かなものとして存在しているのかもしれません。
<2>返報性
2つ目は『返報性』です。
これは『恩を受けたら思わず返したくなる』心理のこと。
広くいえば、自分が借りのある相手から何かをお願いされたとき、「イエス!」の方向で考えてしまいやすくなることもこれに含まれます。
もっと広くいうなら、借りのある相手に服従してしまいやすくなることも…含まれるかもしれません。
これらの現象をうまく逆手にとると、『人に何か頼み事をするときは、まずは自分が相手のためになる何かをすることで、こちらの頼み事を受け入れてもらいやすくなる』といえそうです。
ーーーーー
個人的には、この返報性は6つの影響力の武器のなかでも、使ううえでのハードルが低い気がします。多くの方にとって、教育上的にもなじみがありそうですし。
(『鶴の恩返し』などの昔話とか、「与えよ、さらば与えられん!」とか…)
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<3>社会的証明
3つ目は『社会的証明』になります。
これは『周りの人の行動などを指針とする』心理のことです。
つまり「周りの人はみんなやっていますよ!」といったメッセージを見せることで、周りの人からの裏付けが強調されるカラクリとなります。
これは「(自分も周りの人と同じでありたい…)」という心理学でいう同調にも通ずるところがありそうです。
【『アッシュの同調実験』をわかりやすく】人は、集団に屈する【ソロモン・アッシュの心理学実験】
その他、この社会的証明を使った表現には次のようなものがあります。
社会的証明の例1
社会的証明の例2
誰もが少なからず目にしたことがある表現でしょう。
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またこれも個人的にですが、この社会証明が使われるときは、「9割」や「99%」といったように数字が使われることが多い気がします。偏見ですが。
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<4>希少性
続いて4つ目の影響力の武器は『希少性』です。
これは『手に入りにくいレアなものほど欲しくなる』、または『手に入りにくいレアなものほど実際よりも価値や魅力があると思い込みやすい』心理になります。
よくあるのは”限定品”とか、「残りはあとわずかです!」といった表現も、この希少性にあたります。
人は何かを得る喜びよりも、失うことへの恐怖に強く心動かされる面があるのはおなじみです。
この希少性は、そんな人間の欲望をうまく刺激しているのではないかと言われていたりもします。
<5>権威
そして5つ目は『権威』になります。
これは『専門家と思われる人に指示や助言などを求める』心理のことです。
たとえば、これはあくまで大味な例になりますが、テレビなどに出ていたコメンテーターの”肩書”が、次のようなものだったらどう思われるでしょうか。
・ハーバード大学出身の医者
・スタンフォード大学出身の脳神経学者
おそらく多くの方が、このような肩書を見ただけで、少なからず傾聴に値する人物だと感じるかと思います。
つまり「(この人の言うことはなんだか信用できそうだ!)」と、肩書だけで説得力を感じてしまう心理も、この権威に通じています。
人には「その人が”何を”言っているのか?」よりも、「”誰が”何を言っているのか?」に、より強く心を動かされる一面があるといえそうです。
とはいえ、権威がデタラメである場合は論外ですし、中身がまったくないのに肩書だけが物々しく、過剰に強調されていたら注意が必要ではありますが。
<6>好意
最後は『好意』です。
これは『好意をもつ相手ほど賛同したくなる』心理のこと。
「嫌いな人の言うことよりも、好きな人の言うことの方が素直に受け入れられる…」ということと通ずる部分がありそうです。個人的にはよく理解できますが。笑
(「お世辞を言いまくって相手の好意を高める戦法」なんかは、あながち間違ってないのかも…)
『影響力の武器』要約【本の内容を書評レビュー】まとめ
- 一貫性…自分のコミットメントや価値観と一貫した行動などをとろうとすること
- 返報性…恩を受けたら返したくなること
- 社会的証明…周りの行動などを指針とすること
- 希少性…手に入りにくいものほど欲しくなること
- 権威…専門家と思われる人に指示や助言などを求めること
- 好意…好意をもつ相手ほど賛同したくなること
※コミットメント:行動や発言などによって、あるものに対する考えを表明すること
本書にある影響力の6つの武器は、どちらかというと、あっと驚くものというよりは、今では割と常識的なものが多いかもしれません。
とはいえ、どれも面白い心理学実験などが背景になっているので、見ると思わず”納得”してしまうと思います。
詳細が知りたい方は、一度自分の目で本の内容を確かめてみて下さいませ。
それでは失礼します(`・ω・´)ゞ
参考文献
・Fincham, F. D., N. M. Lambert, and S. R. H. Beach. 2010. “Faith and Unfaithfulness: Can Praying for Your Partner Reduce Infidelity?” Journal of Personality and Social Psychology 99: 649-59.
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