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『集団凝集性の社会心理学ー魅力から社会的アイデンティティへ』を読みました(正確には読み返しました)。
心理学者:ホッグの著書になります。
『集団凝集性(しゅうだんぎょうしゅうせい)』といって、『人を集団に引きつけて、留まらせるような力』についての本です。
集団からの同調圧力にも通ずる内容となっていました。
- 【書評】『集団凝集性の社会心理学』
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『集団凝集性の社会心理学』集団凝集性が高まる可能性がある2つの要因
集団凝集性が高まる可能性がある要因についてです。
これは集団が一致団結することの影響力にも通じています。2つご紹介させていただきます。
<1>社会的魅力
まず1つ目は“社会的魅力”です。
これは逆説的に言うと、人の魅力のようなもの”だけ”が集団凝集性を強める要素ではないという指摘になります。
その理由は、実際に個人の魅力が反映されにくい大規模集団などでも、高い集団凝集性が発揮されることなどがあるからとのこと。
少なくとも集団そのものに、特有の特性などのようなものが存在していると見ているようでした。
身近な例としては、比較的大規模な集団が目標に向かって一丸となって取り組むことなどが、集団の結束につながることなどを思い浮かべると、納得ができるかもしれません。
<2>類似性
2つ目は“類似性”です。
心理学ではどちらかというと、個人間の魅力の1要素として語られることがある類似性ですが、集団においても影響力があるそう。
具体的には、集団内に自分と似た人がいると、集団凝集性が強くなる可能性があるとのこと。
『集団凝集性の社会心理学』集団凝集性がもたらし得るポジティブなこと
最後は集団凝集性がもたらし得るポジティブなことについてです。
満足度
集団凝集性の高さは、その集団にいる人の満足度を高める可能性があります。
実際に集団凝集性の高い集団の人の方が、そうでない人よりもその傾向があったようです。個人的にこれはなんとなくわかる。
<+α デメリット>集団内の秩序の乱れ
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またこのことは本書で語られている内容ではありませんが、集団凝集性が過剰に強くなると、集団内の秩序が乱れやすくなるなどのデメリットがあると言われることがあります。
かの有名なスペースシャトル・チャレンジャー号事件も、この集団凝集性の負の側面の結果であると指摘している資料もありました。そういう見方もあるんですねー。
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集団凝集性の社会心理学まとめ
集団心理の一端が垣間見える一冊でした。
翻訳版はやや読みにくい面があることは否めませんが、おすすめです。
それでは(`・ω・´)ゞ
参考文献
・Janis, I. L.(1982)Groupthink.(2nd ed.)Houghton-Mifflin.
・Esser, J. K., & Lindoerfer, J. L.(1989)Groupthink and the space shuttle challenger accident : Toward a quantitative case analysis. Journal of Behavioral Decision Making, 2, 167-177.
・Moorhead, G., Ference, R., & Neck, C. P.(1991)Group decision fiascoes continue : Space shuttle challenger and a revised groupthink framework. Human Relations, 44, 539-550.
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