パンぞう
トモヤ
結論からいうと、設計と生産技術のどっちが良いかは人によります。
実際に僕の経験からみても、設計が合う方もいれば、生産技術の方が合う方もいました。
(ちなみに僕は断然設計の仕事が好きです)
それに一言で設計や生産技術と言えども、職場によって仕事内容は大きく変わってくるのも事実。
そのため、なかなか『こっち!』とは言いづらい問題もあります。
とはいえ、間違いなく言えるのは、実際に目で見ることが何より大切ということです。
ですが、ここで終わってしまってはあまりにも無責任なので、今回は設計と生産技術の違いを経験談を元にお伝えしていきます。
僕は両方を経験した現役エンジニアなので、少なからず参考になるはずです<(_ _)>
- 【4つのポイントがある】設計と生産技術の違い
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【設計と生産技術はどっちが良い?】4つのポイントから解説
ここでは、以下の4つのポイントを元に設計と生産技術の違いについてお伝えさせて頂きます<(_ _)>
- 仕事面
- 残業面
- 給料面
- 将来性
順に見て頂くと理解がより深まるはずです。
ですが、興味があるところから見て頂いてもOKです。
それでは順にお伝えしていきます。
【①仕事面】『設計図面を作る設計』と『設計図面を元にモノを組み立てる生産技術』
まずは仕事面ですが、一言でいうと、設計と生産技術の仕事の違いは以下の通りです。
- 設計⇒設計図面を作るデスクワーク
- 生産技術⇒設計図面を元にモノを組み立てる現場仕事
わかりやすい違いであれば、パソコンを前にカタカタと仕事をしたいなら設計で、実際にモノを触って仕事をしたい方は生産技術といえなくもないです。
ですが、冒頭でお伝えした通り、職場によって仕事内容は変わります。
例えば、職場によっては生産技術の仕事もやる設計エンジニアもいるなどの違いがあります。
上記はあくまで両方を経験した僕の意見になりますので、ご理解下さいませ。
ちなみに設計の『設計図面を作る仕事』というのは、必ずしもCADなどで図面を描く仕事のことではありません。
設計の構想だけして図面を描くのは他の方に任せることもありますので。
【現役エンジニアが解説】機械設計の仕事内容や出世に必要なこととは
特にこのパターンは大企業には多いです。
図面を描くのは請負会社や協力会社の設計エンジニア、もしくはCADオペの方みたいな話です。
僕はバリバリ描きますが(`・ω・´)ゞ
一方で生産技術が『設計図面を元にモノを組み立てる仕事』であるのも、職場によって違っていたりします。
【現役エンジニアが解説】生産技術の仕事内容を経験談を交えて振り返る
しかし、生産技術の仕事がデスクワークではなく現場がメインになるのはほぼ確実でしょう。
僕も生産技術の仕事をしていたときは、工場内の生産ラインで働くことが多かったので。
さらに就職先が設計の仕事であっても、短期的に生産技術の仕事を経験するパターンは少なくないです。
僕もそのパターンでした。
職場の上司
とはいえ、繰り返しますがもし仕事面でどちらが良いのか迷ったら、デスクワークができる可能性がある設計か、現場でモノを見たり組み立てる生産技術かで選ぶのも一つです。
しかし、これも繰り返す通り、職場によって仕事内容は変わりますが。
ちなみに僕は冒頭でもお伝えした通り、設計の方が生産技術の仕事より面白さを感じます。
といっても、決して生産技術の仕事を悪く思っているわけではないです。
むしろ生産技術の方々のおかげで僕たち設計の仕事が成立しているわけなので、生産技術の仕事は尊敬しています。
生産技術はどうしても肉体労働の面もあるので敬遠されがちなのは事実です。
ですが、生産技術はものづくりの根幹を支える重要な仕事だと思います。
【②残業面】どっちも納期との勝負なので当然ある
残業面については、設計にせよ生産技術にせよ間違いなくあります。
少なくとも僕の経験では、残業時間がまったく0の職場は聞いたことがないです。
というのも、設計や生産技術といったものづくりの仕事は納期が命だからです。
設計や生産技術の仕事は客先からの急な仕様変更やトラブルなどもあるので、なかなかスムーズに仕事は進みません。
その影響もあり、どうしても残業する必要性は出てきてしまいます。
さらに生産技術については休日が仕事になることも多いです。
新しい設備を納入するときや工場内にトラブルがあったときは、工場が止まっているときに作業をする必要があるためです。
「生産技術はきつい…」経験者の自分が激務でブラックだったと断言できる6つの理由【リアル】
僕も生産技術の仕事をしていたときは、休日出勤を何度か経験しています。
設計の仕事でも休日出勤することはたまにありますが、それでも生産技術と比べたら少ないです。
また職場によっては夜勤がある生産技術の仕事もあるようです。
夜勤については僕は経験がないのでくわしくはお伝えできませんが、個人の役割が細分化されている工場などではあると聞きます。
とはいえ、ちゃんとした職場であれば休日出勤があっても、平日が振替で休みになります。
夜勤があっても休みはあるので、それほど心配はいりません。
ちゃんとした民間企業なら36協定もあるはずなので、ブラックな働き方を強制する企業はそうそうないはずです。
【36協定とは…】
残業や休日出勤を制限する仕組みのこと。
サブロク協定と読む。
そもそも技術職で完全にノー残業の仕事はなかなかありません。
【③給料面】設計の方が生産技術より高い傾向がある【例外アリ】
給料面については、設計の方が生産技術よりやや高い傾向にはあります。
ですが、これはあくまで僕が見てきた話であり、違いはそこまでありません。
とはいえ、生産技術の方が設計より給料が高いというのはあまり聞いたことはないです。
しかし、職場によっては生産技術に大きな価値を置いているところもあります。
わかりやすい例だと、その会社の社長が生産技術出身の方とかです。
ちなみに生産技術の仕事は、海外の工場立ち上げなどで海外勤務をすると、海外手当で給料がめちゃくちゃもらえたりします。
東南アジアなどの物価が安いところだと生活費もかからないので、お金も貯まります。
僕自身は海外勤務の経験はないですが、海外勤務を経験した生産技術の知人に給料を聞いたときは『そんなにもらえるの!?』とビックリしました。笑
もちろん設計の仕事も海外勤務はなくはないですが、生産技術の仕事と比べるとチャンスはあまりありません。
海外勤務は嫌に感じる方はいるかもですが、経験すれば海外手当で給料が上がるのは確実です。
なのでチャンスがある方は経験してみるのも良いかもしれません。
【④将来性】どっちも将来性はある【こちらも例外アリ】
最後は将来性について。
これについては確実なことは言えませんが、僕の意見としては設計と生産技術のどちらも将来性はあると思っています。
【機械設計の将来性】現役エンジニアが業界の今後が明るい理由を話す
くわしい理由は以前上記でお伝えした通りで、『機械がこの世からなくなることはないから』です。
言うまでもなく設計も生産技術も機械に関する仕事なので、このさきも必要とされる仕事というわけです。
ナマケモノ君
トモヤ
※以下より人工知能をAIとする
将来性を考えるうえでAIの存在が気になる方がいるかもです。
ですが、これについては技術のスキルと合わせてコミュニケーションスキルを伸ばし、それを活かした仕事をすれば問題ありません。
理由は簡単で、現在のAIは人間の本能や感情を根本的に理解することができないためです。
現在出回っているAIで最も優秀なのは『ディープラーニング』という機械学習の一種。
【ディープラーニングとは…】
自動車の自動運転や防犯カメラなどの物体検出に使われているAIの技術のこと。
ディープラーニングはAI業界でも画期的な技術となりました。
しかし、ディープラーニングをもってしても人と親密なコミュニケーションを取ることは到底不可能です。
ぶっちゃけてしまうと現在のAIはディープラーニングを含めて数あるサンプルを学習しているに過ぎません。
なので現在のAIはまだまだ発展途上というわけです。
間違ってもターミネーターやドラえもんが生まれるのはまだまださきの話ともいえます。
であるならば、設計や生産技術といえどもコミュニケーションを活かしたより『人』としての役割が求められる仕事はAIに奪われる心配はないわけです。
【現役エンジニアが解説】機械設計の仕事内容や出世に必要なこととは
そのため、AIに負けないスキルを伸ばすのであれば、以下のようなことを意識していくと良いかもしれません。
- 設計⇒顧客の要望を的確にヒアリングして設計に反映するスキル
- 生産技術⇒顧客や部署内外での密なコミュニケーションスキル
上記のようなスキルを伸ばしておけば、今すぐにAIに仕事を奪われる心配はないはずです。
とはいえ、そうはいっても今後AIは2030年あたりまでに人の言葉を徐々に理解し出すといわれているので、安心はできません。
現に日本では富士通が機械学習に特化したAIを設計の分野に使ったことで話題になりました。(参考:PDF)
【機械学習とは…】
Googleの検索エンジンや自動車の自動運転に利用されているAIの一種のこと。
富士通では、機械設計エンジニアが経験してきた設計ノウハウをデータにしてAIに学習させているようです。
人間と違ってAIの知能には限界がないので、人間よりすぐにありとあらゆる設計ノウハウを自分のものにすることができます。
数値化しづらい設計ノウハウもAIならすぐに理解ができるのも特徴です。
簡単にいってしまえば、数十年かけてヒトが身につけた設計の技術をAIは一瞬で学習して応用してしまうということです。
なので設計や生産技術に限った話ではないですが、今後は技術だけで生きていく職人的な人は生き残るのが難しくなるかもです。
さらに間違っても毎日同じことを繰り返すルーティンワーク的な仕事はおすすめできません。
その証拠に海外では以下のようなニュースも話題となっています。
【オックスフォード大学の研究】
今後10~20年ほどでアメリカに存在する702の職業の約半分がAIに取って代わられる可能性があることを明らかにした。
【イギリスのデトロイト社の調査】
イギリス国内の35%もの仕事が今後20年あまりでAIに奪われる可能性があることを明らかにした。
将来を予想するのは難しいですが、どちらにせよ、時代に合わせて必要なスキルを身につけておくことは何より大切になります。
これは設計や生産技術に限った話ではないですが。
設計と生産技術はどっちのまとめ
設計と生産技術には違いがたくさんあることがご理解頂けたかと思います。
ですが、冒頭でもお伝えしましたが、どちらか選ぶうえでは、自分の目で実際に見てみることが何より大切です。
職場によって求められることや雰囲気などは大きく変わります。
なので今回の内容はあくまで参考にして頂ければ嬉しく思います。
最後までご覧頂きありがとうございました。
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