生産技術で働いていた自分
正直にいって、生産技術の仕事はめちゃくちゃきついです。
僕は生産技術者として働いていましたが、メンタルはかなりやられました…。
同僚には、仕事中に体調を崩して救急車で運ばれた方もいます…。
そもそもですが、生産技術は仕事の性質上、職場がブラックになりがちです。
『毎日深夜過ぎまで仕事をして休日も仕事…』というのは割と生産技術の仕事をしている方のなかでは当たり前だったりします。
かくいう僕は現在、機械設計エンジニアとして製品設計の仕事をしていますが、就職して間もなかった頃は、『ものづくりの現場を知る』という名目で短期的に生産技術の仕事を経験しました。
ぶっちゃけ生産技術の仕事にはあまり良い思い出がありません。正直、あまり振り返りたくもないです…。笑
ですが、今回は生産技術の現実を知って頂くためにも、僕の経験を振り返っていくこととします。
- 【ズバリ6つ】生産技術がブラックな理由
- 生産技術の仕事で得られるものについて
- 【重要】仕事が嫌なときに取るべき対策
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生産技術がきついと感じた6つの経験談【激務だったワケ】
冒頭でもお伝えしましたが、僕は生産技術の仕事をしていて、『きつい』と思ったことはたくさんありました。
特にきつかったことをまとめると、以下の6つになります。
- 残業が多過ぎ
- 休日出勤が当たり前
- 出張が多い
- 危険な仕事が多い
- ノルマがきつい
- 開放的過ぎる空間が合わない
それでは、これからは上記について順にくわしくお伝えさせて頂きます。
<1>残業が多くなりがち
まず生産技術の仕事は例外なく残業が多いです。
僕が生産技術の仕事をしていたときは、月の残業が100時間を越えるのは当たり前。労働基準監督署から注意されるのは日常でした。
とはいえ、生産技術者の仕事は、多くの方の意見を取りまとめることもふくまれます。
僕がいた職場では、顧客と設計者、そして現場の方々の間に立って交渉事のようなことをするのも生産技術者の仕事です。
>>【生産技術の具体的な仕事内容】経験者の僕が当時を振り返る
【現役エンジニアが解説】生産技術の仕事内容を経験談を交えて振り返る
つまり個人プレーの仕事とはいかず、お互いの意見が対立して作業がスムーズに進まないことも多いというわけです。それが結果として長時間の残業にもつながります。
例えば、僕が生産技術者として経験した仕事の一つに、『工場内で使用される設備設計の仕事』がありました。簡単にいうと、『とある製品を搬送するためのベルトコンベアー付きの設備の設計』をする仕事でした。
設備設計の仕事は交渉事ではありませんが、それでも一人で仕事を進めることはできません。設備を組み立てる現場や、設備を使う製品設計者の方々も声も取り入れる必要があります。
『もう少しああしてほしい…』
『これはダメだろう…』
生産技術者は立場上、現場と製品設計者との板挟みになりがちでしたので、このときは色んな方の意見が飛び交って大変でした。
技術者は職人気質な方も多く、自分の意見を曲げようとしない方も少なくありません…。
『生産技術者にはコミュニケーション能力が必要だ!』という声を聞いたことがありますが、今振り返ると、本当にそうです。
このときは残業は増えるし、ストレスはたまるしで大変でした…。
またこれは僕がいた職場特有の問題かもですが、『一人当たりの仕事量が多かった』ことも残業が多くなる原因となっていました。
要するに利益を出すためにコストをおさえるという試みです。
『少ない人数で効率的に仕事をする』ことができればコストをおさえられるのは間違いないですが、とはいえ、少しやり過ぎでは…と思うことがあったのも事実です。
<2>休日出勤が多い
生産技術は休日が仕事になることが多いことも、生産技術の大変さを語るうえで外せません。
特に工場で使われるラインの設備設計を行うときはそういった傾向にありました。
工場で使う設備を設計したり点検する工場内の仕事は、工場が動いているときに仕事をすると他の作業者の邪魔になります。
そのため、ラインが止まっている休日に仕事をする必要があるというわけです。
生産技術者が休日出勤になりやすいのは、仕事の性質上仕方がないことなのかもしれません。
また工場内の仕事に限らなくとも、生産技術の仕事は他の社員が休んでいるときに出勤することは珍しくありません。
【現役エンジニアが解説】生産技術の仕事内容を経験談を交えて振り返る
もちろん休日出勤したら振替として平日が休みになるのが基本ですが、納期が近くて忙しいときはそうはいきません。
時期によっては休みなく働き続けることは日常茶飯事でした…。
とある生産技術者
経験的にも、生産技術が精神的にも肉体的にもハードな仕事であることに間違いはありません。
ぶっちゃけ休むのが下手な方は生産技術者としてはやっていけないです。
【ストレス解消法】科学的に効果的なストレス発散法を厳選紹介【5つ】
<3>出張が多い【海外に行くことも】
そして生産技術がきつい三つ目の理由が、出張が多いことです。
しかも出張というのは国内出張だけでなく、海外出張もふくまれます。
特に製造系の大手の会社は、海外で自社の工場を立ち上げることは珍しくないため、生産技術者は工場の立ち合いの関係で海外に行くことも十分あり得ます。
僕は生産技術者として海外で仕事をした経験がありませんが、経験のある同僚の話では、現地の工場の生産ラインを視察して、そこで働く外国人を指導する仕事などがあると聞きます。
といっても、海外に行くこと自体をどうとらえるのかは人それぞれ。
会社によっては海外出張の経験自体が出世の査定にふくまれている場合もあります。
【生産技術のキャリアプランとキャリアップ】経験者のエンジニアの僕の意見
人によってはそれほどデメリットには感じないかもしれません。僕は嫌ですが…。
ちなみにそんな僕は以前、社内でアジアに長期出張する話が出たことがありましたが、話が流れてなんとか回避でき、心から安堵したのを覚えています。笑
そしてこれは会社や職場によって大きな違いがあるかもしれませんが、僕の働いていた会社では、海外出張に選ばれるのは圧倒的に独身の方が多かったです。
おそらく『結婚して家庭を持っている社員は気軽に海外出張することが難しい』という会社側の配慮なのでしょう。
なのでどうしても海外出張が嫌なら、早めに結婚をするのも手の打ちかもしれません。
<4>危険な仕事が多い
生産技術がきつい四つ目の理由は、危険な仕事が多いことです。
例えば、生産技術に身近な加工法には、『溶接』や『プレス』や『せん断』などがありますが、これらは言うまでもなく危険です。
実際に僕が働いていた生産技術職の責任者の方は右手の小指がありませんでした。
本人から聞いたところ、若い頃に仕事の不注意で機械に指を挟まれて、小指を切ってしまったとか。
しかも先ほどお伝えした通り、生産技術はただでさえ残業が多い仕事です。
『残業続きで仕事で疲れたときに、ちょっとした不注意で事故に巻き込まれる』ことも十分あり得るので、注意したいところです。
最近ではどの企業も社員の安全面には気を遣っているとは思いますが、生産技術の仕事は怪我と隣り合わせなのは間違いありません。
僕も仕事に慣れない頃は軽度でしたが、手を怪我したことは一度や二度ではありません。
<5>ノルマがきつい
技術系の仕事であれば、ノルマがあるのは当然かもしれません。
ですが、生産技術者のノルマは、他の技術系の仕事と比べてもよりきつい印象でした。
なぜなら、生産技術は製造の工程を支える『生産ラインを作る仕事』ですので、生産技術が仕事をしなければ、製品を製造したり流したりすることはできません。
【現役エンジニアが解説】生産技術の仕事内容を経験談を交えて振り返る
つまり生産技術の仕事が遅れると、開発や設計などの他の部署に大きな損害が出ます。
なので他の部署と比べると、生産技術の仕事のノルマはとても厳しかったです。
繰り返す通り、僕は生産技術⇒機械設計という経歴になりますが、大変さは間違いなく生産技術の方がありました。
【設計と生産技術はどっちが良いか?】両方経験したエンジニアの自分が振り返ってみたぞ
顧客からノルマの面で強いプレッシャーをかけられることも珍しくなかったです。
とある生産技術者
(しかも生産技術は現場寄りの仕事になりますので、なかにはヤ〇ザみたいな方もいて、色々と怖い思いもしました…)
<6>開放的な空間だから素が出やすい
生産技術がきつい最後の理由は少し個人的な面が強いですが、開放的過ぎる職場が合わなかった、というものです。
まず前提として、生産技術は工場などの広く開放的な場所で仕事をすることが多いです。
なので多くの場合、工場では常に騒音が鳴り響いているため、工場内で会話をするときは必然と大声になります。
そのため、オフィス内で働く他の職場に比べると、生産技術者の職場は感情が高ぶりやすい面があり、僕はそれが合いませんでした。
つまり広く開放的で、なおかつ、うるさい環境で仕事をすると、『ちょっとしたことで感情的になりやすく、相手に対する尊敬も薄らいでしまいがちになる』ということです。
理解して頂けるかわかりませんが、人間の素の部分が出やすいとも言えるのかもしれません。正直、あの環境は個人的にはあまり好きではなかったです。
決して殺伐とした雰囲気はなかったですが、『風通しが良すぎる』というのも考え物であることを実感しました。
生産技術はきついし激務なだけではない
悩む人
悩む人
『生産技術』と聞くと、どうしてもネガティブなイメージを持たれがちです。
ですが、経験することは決してマイナスにはなりません。
得られるものもあります。
現場の理解が得られるようになる【現場の気持ちがわかる】
結論からいうと、生産技術を経験することで得られる最も大きなメリットは、『現場の気持ちが理解できるようになる』ことです。
というのも、僕は繰り返す通り、生産技術⇒製品設計という流れで経験を積みましたが、そのおかげで今では現場の方に好まれる設計ができるようになったと実感しています。
例えば、これがもし僕が生産技術の仕事を経験せずに製品設計の仕事をしていたら、『現場の作業者が組み立てやすい図面とは何なのか?』がそもそもわからなかったはずです。
もしかしたら『こういう図面だと現場の方が困るだろうな…』ということがわからずに、独りよがりな設計をしていたかもしれません。
ですが、実際に生産技術者として図面を元に製品を組み立てた経験があったからこそ、今では、現場の方々から『組み立てやすい図面だね!』と言って頂けることも増えました。
もちろんその道のプロの方を悪くいうつもりはありませんし、生産技術の仕事を経験しなくても素晴らしいエンジニアの方はたくさんいます。
とはいえ、長期的には色んな仕事を経験することは決して無駄にはなりませんし、むしろプラスになることもある、という話です。
少なくとも僕にとって生産技術者としての経験は無駄にはなっていません。
なのでもし生産技術者として働くことに疑問を持っている方がいるならば、生産技術者としての経験は長い技術者人生を考えるうえでプラスになることもあるとお伝えしたいです。
僕も当時は生産技術の仕事に嫌な気持ちばかりがあり、『若い内は色んな仕事を経験しておくといいよ』という上司の助言も素直に受け入れられませんでした。
しかし、今ではその言葉の意味が痛いほどよくわかります。
その他にも生産技術は他部署との交渉や設備の設計、組み立てなど様々な仕事を経験することができるメリットがあります。
生産技術は大変ではありますが、決して悪いことばかりの仕事ではありません。
>>【生産技術のキャリアプランとキャリアップ】経験者のエンジニアの僕の意見
【生産技術のキャリアプランとキャリアップ】経験者のエンジニアの僕の意見
生産技術がきついのがどうしても嫌という方へ【対策法は3つある】
とはいえ、そうはいっても、どうしても生産技術の仕事にやりがいや面白さを見出せない方もいるはず。
そこでここでは、どうしても生産技術の仕事に良い面を見出せない方に向けて、対策法をお伝えできればと思います。
対策法は3つのステップとなっているので、順に見て下さいませ。
【対策①】自分のスキルを上げる
まずは『生産技術者としてのスキルを上げる』ことです。
経験的な話ですが、生産技術者としての悩みのほとんどは、実はスキルを上げることでほとんどが解決します。
『仕事でミスをして上司に怒られる』
『納期がギリギリできつい…』
ほんの一例ですが、例えば上記のような問題。自分のスキルを磨けば解決されることは容易に理解できるはずです。
そのため、生産技術者として悩んだらまず取り組むべき対策は、スキルの向上です。
では、『どうやったら生産技術者としてスキルを上げることができるのか?』についてですが、一番効果的なのが仕事の経験を積み重ねていくことです。
とはいえ、それだけだと時間がかかってしまうのも事実なので、生産技術の本を読むこともおすすめです。
【生産技術の勉強本のおすすめ】現役エンジニアが仕事に役立つ良書を厳選
本は自分が経験する仕事以外から気付きを得ることができるので、仕事のスキル向上に役立ちます。自己学習にはおすすめです。
僕も仕事終わりや休日にはよくカフェに行って関連本を片っ端から読んでいました。
その他では、生産技術者としてのスキル向上に役立つ資格を取得するのもおすすめです。
【生産技術の資格のおすすめ】生技経験者が仕事に役立つ資格一覧を紹介
資格の場合は仕事のスキル向上に役立つだけでなく、職場によっては資格手当のようなものも受け取ることができます。
仕事に行き詰まっている方は参考にしてみて下さいませ。
以上が生産技術の仕事で悩んだときの対策法の一つ目になります。
しかし、仕事の悩みには、『人間関係のストレス』など、スキルで解決できない問題も多いです。
そんなときは次の対策を取りましょう。
【対策②】異動を願い出る
生産技術の仕事で悩んだときの対策法の二つ目が、『異動を願い出る』です。
残念な話ですが、人には向き不向きがありますので、生産技術に向いていない方も当然いるからです。
実際に僕がいた職場でも、生産技術ではパッとしなかった方が、製品設計の仕事に異動した途端に活躍し出したこともありました。
なので異動するのは決して逃げではありません。恥じることもないです。
もちろん職場に異動することについて賛否両論あるのは理解していますが、そうはいっても、自分に合わない場所で働き続けていると結果として時間を無駄にすることもあり得ます。つまりもったいないわけです。
合う合わないの線引きはなかなか難しい問題です。
しかし、どうしても耐えられないのであれば、職場の上司に異動を願い出るのは立派な選択肢だと思います。
それに結果として異動ができなかったとしても、異動を上司に願い出ることで自分の悩みを聞いてもらうきっかけにはなるはずです。
また職場にどうしても合わない上司や同僚、顧客がいて、それに強く悩まされ続けている場合も同様に異動を願い出るべきです。
そもそも生産技術の仕事は色んな方とコミュニケーションをとる仕事ですので、強いストレスの元となっている方と一緒に仕事をするのは苦痛でしかありません。なのでこれも恥じることはないです。
【対策③】仕事を辞める【転職】
上司に対して異動を願い出ても受け入れられなかった場合は、『退職』を検討しましょう。これが最後の対策法です。
正直、退職は心身ともにエネルギーのいる決断になるので最終手段になります。
ですが、強いストレスを抱えたまま働いていると、最終的に取り返しのつかない事態になる可能性もあるのも事実。
例えば、我慢して働き続けて、うつ病などの精神疾患になってしまうと手遅れです。
僕がいた職場では、うつ病で手足が震えるようになってしまった方もいたので、そうなると仕事どころではありません。
無理をして最悪の事態になってしまえば、会社からは問答無用で切られるのが現実です。
そうなる前にも仕事を辞める決断をすることは立派な選択肢だと思います。
退職後のことを考えるなら、理想をいえば働きながら転職先を探すのが一番ですが、繰り返す通り、生産技術の仕事は忙しいことが多いので難しいかもしれません…。
そういったときは辞めてから転職活動をするのも悪い手段ではありません。
ただ退職をすると、失業手当以外は収入は当然ゼロになるので、万が一に備えてある程度の生活資金を貯金しておくことも大切です。
どちらにせよ、どんな仕事をするにしても、身体は一番の資本になります。
どんなときでも身体が第一です。それだけは忘れないようにして下さい。
生産技術はきついのまとめ
- 残業が多過ぎ
- 休日出勤が当たり前
- 出張が多い
- 危険な仕事が多い
- ノルマがきつい
- 開放的過ぎる空間が合わない
今回の内容は、僕が生産技術で働いていた日々を元にお伝えさせて頂きました。
今思い返しても、生産技術で働いていた日々はきついことが多かったです。
当時は、『なんで自分の職場だけが…』と愚痴をこぼすこともありました。今では良い思い出ですが。
とはいえ、現在、機械設計エンジニアとして働くなかで、生産技術者時代の経験が活かされていると感じることも多いです。
個人的には、『あのときの日々は意味があったんだな…』と感じています。
最後までご覧頂きありがとうございました。
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