【エドガー・アラン・ポー:『黒猫』】あらすじと考察【恐怖】

黒猫と深淵

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名作:『黒猫』をご紹介させていただきました。

あらすじは全文ふりがな付きで、読み聞かせができるようにまとめています。

一つの参考にして下さいませ。

このページでわかること
  1. 全文ふりがな付きのあらすじ要約
  2. 作者紹介
  3. 考察
  4. 参考文献

『黒猫』のあらすじ要約

まずは本作:『黒猫』のあらすじと作者紹介です。

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物語:地獄から聞こえてくるような声

黒猫の後ろ姿

わたしどもころから大人おとなしい性格せいかくで、やさしすぎることをなかたちから、からかわれることがあった。

結婚けっこんしたつまは、わたしおな動物どうぶつきだった。

わたしたちはいろんな動物どうぶつった。

 

なかでも”プルート”と名付なづけた黒猫くろねこうつくしく、こうわたしのおりだった。

 

数年すうねんわたし性格せいかくは、酒癖さけぐせによってきゅうげきわるわってしまう。

わたしつまげるようになり、っていた動物どうぶつぎゃくたいするようにもなった。

 

あるよるのことだ。

ひどくぱらってかえってきたわたしは、なんだかプルートにけられているようながした。

そこでわたしはプルートをつかまえる。

だが、プルートはいきなりのことにびっくりして、わたしんできた。

 

そのとき、わたしにたちまちあくのようないかりがうつった。

わたしわれわすれてペンナイフをし、プルートのかたをえぐりった。

 

あさになってせいもどしてきたわたしは、ぶんのしたことに、きょう後悔こうかいかんじていた。

だが、それもさけえいきょうもあったのか曖昧あいまいかんじょうで、こころうごかされることはなかった。

 

かたうしなったプルートは、すこしずつ回復かいふくしてきた。すくなくともいたみはえたようだった。

ただ、たりまえのことだが、プルートはわたしちかづくとげていく。

わたしぶんをあんなにもしたっていたねこが、こんなにぶんきらうようになったことを、はじめはかなしくおもった。

しかし、それもやがてかんしゃく*にわっていった。

 

ひとは、”してはいけない”というだけのゆうで、邪悪じゃあくおこないをしてしまうことがある。

そんなあまのじゃ*のこころが、わたしめつおちいらせた。

 

あるあさわたしはプルートのくびなわをかけ、きながらえだにつるした。

そしてそのよる火事かじいえがり、なにもかもがけてしまった。

 

じつわたしあとへとかう。

そこには、いっしょだけかべのこっていて、くびなわをつけたプルートの姿すがたけられていた。

 

あるよるわたしなか茫然ぼうぜんさかこしけていた。

するとおどろくことに、プルートによくた、かたがないねこあらわれたのだ。

ねこいえまでついてて、つまのおりとなった。

なぜだかねこわたしをつけまわすのだが、わたしはそれがいやで、ねこからすようになっていった。

 

あるいえようつまわたしたく地下ちかしつへとりていくと、ねこもいっしょにりてきた。

だが、そのせいでわたし階段かいだんからちそうになった。そのときのことだ。

 

わたしはかっとげきした。

ちかくにあったおのげ、ねこ一撃いちげきもうとする。

 

だが、その一撃いちげきつまさえぎる。

わたしじゃされたことにはらち、おのつま脳天のうてんんだ。

 

そくだった。

 

つまはうめきごえをたてることもなく、そのたおれてんでしまった。

わたしつまたいかくすため、地下ちかしつかべたいむことにした。

たいかべけて、れんなおし、漆喰しっくい*をった。

するとかべにはくわえたようすこしもえなくなった。

わたしとくになった。

 

つぎねこころしてやろうとおもった。

 

だが、どこにもねこ姿すがたえなかったので、わたしひさしぶりにぐっすりとねむった。

ねこふつ日目かめみっ日目かめになっても、姿すがたせることはなかった。

 

よっ日目かめになると、警察けいさついえ調しらべにやってた。

警察けいさついえ地下ちかしつ調ちょうしたが、わかるはずがなかった。

警察けいさつ納得なっとくし、きあげようとした。

わたしはそのことによろこびをおさえられなかった。

みなさん、このいえはなかなかよくできているんですよ。かべがんじょうです」

わたしはそうって、つえかべれんつよたたいた。

 

すると、かべなかからようかなごえこえてきたのだ!

そのこえ人間にんげんのものではない!

まるでごくからこえてくるようなめい

 

あやしんだ警察けいさつはそのかべくずした。

すると、そこにはがいが、すっくと人々ひとびと眼前がんぜん姿すがたあらわした。

そのあたまうえには、あかくちけ、かたひからせた、あのねこすわっていた。

わたしたいといっしょに、怪物かいぶつかべめてしまっていたのだった!

(おわり)

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よう説明せつめい

かんしゃくいかりのほっのこと

あまのじゃひとかんがえにさからった行動こうどうばかりをすること

漆喰しっくいれんかためるためなどに使つかわれる建築材けんちくざいりょうのこと

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作者:エドガー・アラン・ポー

エドガー・アラン・ポー

作者:エドガー・アラン・ポー(1809~1849年)

アメリカ出身の小説家であり、詩人。

本作:『黒猫』は1843年に発表されています。

ポーの一人いちにん称小しょうしょうせつ

1843年作。

黒ネコをころした主人公の「私」は、ネコの幻影げんえいにおびやかされ、つまもころしてしまう。

きょう幻想げんそうの世界をえがく、ポーの代表作。

(『学習人物事典』409ページ ポー(エドガー=アラン=) 黒猫 より)

功績:近代推理小説の開祖

近代推理小説の開祖とされています。

なお、『モルグ街の殺人』は、文学史上で世界初の推理小説だといわれています。

その他の代表作には『アッシャー家の崩壊』など多数。

作風:怪奇と恐怖に満ちた作品の数々

かいきょうにみちた作品をのこした。

(『学習人物事典』409ページ ポー(エドガー=アラン=) より)

(前略)『黒猫くろねこ』の入った短編集『物語』など、不気味ぶきみきょういんしょうかいな美を読者にあたえるもの、そしてすいてきなものをつぎつぎに発表した。

(『学習人物事典』409ページ ポー(エドガー=アラン=) より)

なお、詩についてはイギリス・ロマン派の影響を受けていたとされているようです。

(前略)いずれもイギリスーロマン詩人のえいきょうが強い。

(『学習人物事典』409ページ ポー(エドガー=アラン=) より)

人生:波乱に満ちた生涯

旅芸人たびげいにんを両親として、ボストンに生まれた。

おさないときに、みなしごとなり、アラン家のようとなる。

1826年にバージニア大学へ入学。

恋人こいびととの婚約こんやく失敗しっぱいしたり、しゃっきんをつくったりで10か月後に退学たいがくよう不和ふわになり家出する。

1830年に陸軍りくぐんかん学校に入学したが、なまけて放校ほうこうになり、アラン家とのえんも切れた。

(『学習人物事典』409ページ ポー(エドガー=アラン=) より)

なお、このときまでにポーは、詩集を3冊発表しています。

やがて短編たんぺん小説を書きはじめ、1833年にざっけんしょう小説に当選とうせんし、そのあと雑誌へんしゅうしゃしょくをえた。

しかし、やがて酒乱しゅらんを口実にくびにされた。

1836年、めいの13さいのバージニアと結婚けっこん

その後、リッチモンド・フィラデルフィアなどで雑誌関係かんけいのしごとをしたが、長つづきせず、まずしさのなかでかく放浪ほうろうした。

(『学習人物事典』409ページ ポー(エドガー=アラン=) より)

その後は妻が貧困のうちに死亡。

ポーはその悲しみを紛らわせるため、その場限りの愛や酒に溺れ、異常な精神状態に陥ります。

1849年には大学時代の恋人と婚約したものの、その後、訪れたボルチモアで大統領選挙の騒動に巻き込まれて泥酔。

行き倒れの形で、その生涯を閉じました。

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『黒猫』の考察

本作:『黒猫』にまつわる考察です。

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注:ここからの情報は自分独自の考察に過ぎません。

間違っていないとは言い切れませんので、あくまで一つの参考にして下さいませ。

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プルートの幻影と破滅への道

本作では自身が身勝手に傷付けたかつての愛猫:プルートの面影を、目の前の黒猫に重ねたことで、苦しみ、破滅に陥る様子が描かれていました。

ポーの一人いちにん称小しょうしょうせつ。1843年作。

黒ネコをころした主人公の「私」は、ネコの幻影げんえいにおびやかされ、つまもころしてしまう。

きょう幻想げんそうの世界をえがく、ポーの代表作。

(『学習人物事典』409ページ ポー(エドガー=アラン=) 黒猫 より)

よって主人公の「私」にとって、本作の終盤で壁の中から聞こえてきた悲鳴は、プルートの嘆きだった…と解釈することもできるのかもしれません。

すると、かべなかからようかなごえこえてきたのだ!

そのこえ人間にんげんのものではない!

まるでごくからこえてくるようなめい

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エドガー・アラン・ポー:『黒猫』のあらすじと考察まとめ

本作:『黒猫』は、恐怖と幻想の世界が描かれていました。

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参考文献

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