【『名作』一覧】童話や文学、戯曲など【海外と日本の有名作品集】
名作:『若きウェルテルの悩み』のご紹介です。
あらすじは全文ふりがな付きで、読み聞かせができるようにまとめています。一つの参考にして下さいませ。
- 全文ふりがな付きのあらすじ要約
- 作者紹介
- 考察と解説
- 『ウェルテル効果』について
- 参考文献
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『若きウェルテルの悩み』のあらすじを簡単に要約
まずは考察の前提でもあるあらすじと作者紹介です。
物語:苦しみの行く末
ウェルテルという名の青年が、自然豊かな村へと引っ越してきます。
その村でウェルテルは、心優しい村人たちと触れ合いながら、風景のスケッチを楽しむ日々を送っていました。
あるとき、そんなウェルテルは、村で開かれた舞踏会へと参加します。
そこでウェルテルが出会ったのが、シャルロッテという法官*の娘でした。
ふだんはロッテと呼ばれている彼女は、亡くなった母親の代わりに、8人の妹や弟たちの面倒を見ていたのでした。
ウェルテルはいつしか、そのロッテの姿や声、仕草などすべてに魅了され、恋焦がれるようになりました。
ウェルテルはロッテの家を何度も訪れては、彼女だけでなく、彼女の妹や弟たちとも仲良くなっていきました。
その間も、ウェルテルのロッテへの恋心は高まるばかりでした。
しかし、ロッテには、アルベルトという婚約者がいました。
ウェルテルがロッテと出会ったとき、アルベルトは旅に出ていたのですが、ある日、村へと帰ってきました。
アルベルトは非の打ち所がない*人物でした。
ウェルテルにも友人のように接してくれます。
そうしたアルベルトの立派な振る舞いは、かえってウェルテルを惨めな思いにさせたのでした。
その後、ウェルテルはロッテのことを諦めるため、村を離れる決心をします。
遠くの町で、官職に就くことになりました。
ところが、ウェルテルの決心はうまくはいきませんでした。
ウェルテルはそこでの同僚たちのくだらない振る舞いに我慢ができなくなってしまい、仕事を辞め、村に戻ることになったのです。
その頃、ロッテはアルベルトと結婚していました。
しかし、そのことがわかっても、ウェルテルはロッテへの思いを断ち切ることができません。
ウェルテルの苦しみは、少しずつ大きくなっていきました。
そしてついに、ウェルテルは自分の感情を抑えきれなくなってしまい、不意にロッテにキスをしてしまいました。
ウェルテルからの突然のキスに、当然、ロッテは驚きます。
ロッテはウェルテルに、「もう会えない」と言い残し、部屋に逃げ込んでいったのでした。
翌日、ウェルテルはアルベルトから、ピストルを借りました。
そして、「ロッテ…ロッテ!さようなら!さようなら!!」と言いながら、ウェルテルは自らの命を絶ってしまったのです。
(おわり)
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[用語の説明]
*法官:司法と行政を司る役人のこと
*非の打ち所がない:欠点として非難すべきところが1つもなく、完璧としか思えないこと
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作者:ゲーテ
作者:ゲーテ(1749~1832年)
ドイツの文豪。小説家であり詩人であり、劇作家。政治家や自然科学者としての顔もありました。
本作:『若きウェルテルの悩み』は1774年に発表されています。
その他の代表作には長編戯曲:『ファウスト』や、『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』など多数。
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ドイツの中央部:フランクフルト生まれ。
16歳のときにライプツィヒ大学に入学し、法律を学びました。
その後はストラスブール大学へと移っています。
ゲーテはこの時期に思想家:ヘルダーと出会ったことにより、文学への関心をより深めていきました。
ここで思想家ヘルダーと出会ったことから、文学や自然にたいする目を開かれた。
(『学習人物事典』153ページ ゲーテ より)
なお、本作:『若きウェルテルの悩み』は、大学卒業後のゲーテの体験が元となった作品です。
1771年にストラスブール大学を卒業して弁護士となり、翌年ウェツラーの町で実務の見習いを始めたが、そこでの体験を書いた『若きウェルテルの悩み』はそのころおこった<シュトルム=ウント=ドランク>(疾風怒濤)*とよばれる文学運動の代表的な作品とみなされた。
(『学習人物事典』153ページ ゲーテ より)
革新:『シュトゥルム=ウント=ドラング(疾風怒濤)』
*シュトゥルム=ウント=ドラング:18世紀末にドイツで起こった文化運動のこと。形式ばった当時の社会に反発する形で、感情や個性に重きを置いた若い詩人たちが多数活躍した
はじめは激しい感情を表現するシュトゥルム=ウント=ドラング(疾風怒濤)の作家として活動し、やがてワイマール公国の政治家となって社会の向上のために活躍した。
(『倫理用語集』103ページ ゲーテ より)
人物
政治家や弁護士としても活躍
繰り返しになりますが、ゲーテは弁護士や官僚としても活躍した経歴があります。
1775年、ザクセン=ワイマール公国に行き、やがて総理大臣のような地位について、10年あまり政治にたずさわった。
(『学習人物事典』153ページ ゲーテ より)
情熱から調和への変遷
またこの時期から、ゲーテの人物像には変化が表れ始めたといいます。
そのことは作品へも反映されていきました。
この地で知り合った男爵夫人シャルロッテ=フォン=シュタインのえいきょうを受けて、情熱的なゲーテもしだいに調和と節度を愛するようになっていた。
創作はつづけられたが、この時期には、むしろ自然科学の研究に見るべきものが多い。
1786年、政務につかれ、創作にもゆきづまったゲーテは、あこがれのイタリアへ旅立った。
イタリアの明るい自然と調和のとれた古代美術にふれて、ゲーテは生まれかわったようになった。
(『学習人物事典』153ページ ゲーテ より)
(前略)イタリアに旅行して調和と秩序ある古典美に触れ、古典主義*の作品を書く。
(『倫理用語集』103ページ ゲーテ より)
*古典主義:合理的秩序に基づく調和のとれた美術様式のこと
シラー*とともに古典主義の黄金時代をきずきあげた。
(『学習人物事典』153ページ ゲーテ より)
*シラー:ゲーテと並ぶ、ドイツを代表する詩人であり、劇作家
詩人:エッカーマンとの10年に渡る友情
ドイツの詩人:エッカーマンは、ゲーテと10年に渡る友人であったことが知られています。
エッカーマンはゲーテと文学や芸術、外国の文化などについて語り合い、後に発表した『ゲーテとの対話』には、その会話内容がまとめられています。
女性との恋と作品への反映
またゲーテは大学在学時におけるフリーデリケへの恋に始まり、自身の恋愛経験を作品に反映させることもありました。
(前略)そのころから少女フリーデリケに恋をし、『野ばら』や『五月の歌』などのすぐれた詩を生みだした。
(『学習人物事典』153ページ ゲーテ より)
ゲーテの晩年はいく人かの女性との恋でいろどられ、それが創作のはずみとなって、『詩と真実』『イタリア紀行』などのけっ作が生まれた。
(『学習人物事典』153ページ ゲーテ より)
思想:人間の使命
(前略)人間の中にも神が宿っており、人間はこの世界に芸術的・道徳的な理想を実現するべき使命をもっていると考えた。
(『倫理用語集』103ページ ゲーテ より)
『若きウェルテルの悩み』の考察と解説
本作:『若きウェルテルの悩み』にまつわる考察です。
参考文献を元に考察しました。
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注:ここからの情報は自分独自の考察に過ぎません。
間違っていないとは言い切れませんので、あくまで一つの参考にして下さいませ。
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青年期の心理が反映されていた
結論からいうと、『本作では架空の世界に留まらない、現実世界における青年期のリアルな心理が反映されていた』ように自分は考察しました。
つまり本作で主人公のウェルテルが見せた情緒の不安定さ、危うさといったものは、何もウェルテルに特有のことではなく、現実世界における青年にも見られる心理描写だったのではないか…ということです。
また本作では恋愛の問題以外にも、職業選択や自立、職場での人間関係なども描かれていましたが、それらも見方によっては青年期のリアルを際立たせる側面になっていたようにも思います。
婚約者のいるロッテを愛してしまったウェルテルの苦しい恋愛を通して、恋のためだけではなく、社会とも相いれないために自殺してしまう青年の心理を綿密にえがいている。
(『学習人物事典』153ページ 若きウェルテルの悩み より)
もちろん本作は元々、作者であるゲーテの実体験に基づいた物語であるため、本作がリアルさを帯びていることは当然といえば当然だとは思いますが。
1771年にストラスブール大学を卒業して弁護士となり、翌年ウェツラーの町で実務の見習いを始めたが、そこでの体験を書いた『若きウェルテルの悩み』はそのころおこった<シュトルム=ウント=ドランク>(疾風怒濤)*とよばれる文学運動の代表的な作品とみなされた。
(『学習人物事典』153ページ ゲーテ より)
*シュトゥルム=ウント=ドラング:18世紀末にドイツで起こった文化運動のこと。形式ばった当時の社会に反発する形で、感情や個性に重きを置いた若い詩人たちが多数活躍した
『ウェルテル効果』とは?」【本作が由来】
なお、本作:『若きウェルテルの悩み』は、『ウェルテル効果』の由来となった作品でもあります。
『マスメディアの報道が影響して自殺が増加する現象のこと』
『ウェルテル効果』とは、『マスメディアの報道が影響して自殺が増加する現象のこと』です。
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『若きウェルテルの悩み』のあらすじを簡単に要約&考察と解説も【『ウェルテル効果』の由来】まとめ
本作:『若きウェルテルの悩み』では、一人の青年の葛藤、焦燥などが、克明に描かれていました。
そしてその心理描写は作品の世界に留まらず、現実世界の青年期の様子が反映されていた側面もあった気がします。