【『名作』一覧】童話や文学、戯曲など【海外と日本の有名作品集】
名作:『ガリバー旅行記【ラピュタの章】』のご紹介です。
『カリバー旅行記』の中では、『学者の国』にあたる物語となります。
あらすじは読み聞かせができるようにまとめています。参考にして下さいませ。
- 『ガリバー旅行記【ラピュタの章】』のあらすじ要約
- 参考文献
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『ガリバー旅行記【ラピュタの章】』のあらすじ
あらすじと作者紹介です。
物語:空飛ぶ島でガリバーが目にしたものとは?
レミュエル・ガリバーは船医です。
乗っていた船が流されて、小人の国や巨人の国に漂着*し、そこで暮らすはめになった経験があります。
その2つの国では散々な目に遭ったのですが、船長からの、「また船医として船に乗ってほしい」という頼みを断れず、今回も旅に同行することにしました。
ところが、ガリバーが乗った船は嵐にあい、海賊に襲われてしまいます。
ガリバーは命からがら、ボートで逃げ出し、やっとの思いで無人島に辿り着きました。
そこでこれからどうしたものかと悩んでいたガリバーは、ある光景を見て驚きます。
なんと巨大な島が空を飛び、近づいてきたのです。
望遠鏡を覗いてみると、その島で、たくさんの人が暮らしているのが見えました。
ガリバーは必死になって助けを求め、その島に上陸することができました。
島の住民たちは、今まで見たこともないような、変わった格好をしています。
それに召使いたちは、乾いた豆や小石を入れた動物の膀胱*を持っており、なんとそれで主人を叩くのです。
なぜなら、上流階級の住民は、それで叩いてもらわないと、考えごとに集中しすぎて何もしゃべらないし、人の話を聞くこともできないからです。
どうもこの島の男たちは、数学や天文学、音楽に熱中しすぎているようです。
地球が太陽に飲み込まれるとか、何か天体に異変があるとかを心配し、いつも不安に駆られています。
しかもその不安をなくそうと何かをするわけではなく、ただただ考えるだけなので、『机上の空論*』に陥りがちなのです。
その飛ぶ島は、『ラピュータ*』という名前です。
その下の海に浮かぶ島国:『バルニバービ』を支配していました。
バルニバービには、ラピュータで科学を学んだ人たちがたくさんいます。
彼らは研究所で、役に立ちそうにない、奇妙な研究ばかりをしているのです。
その研究の成果で農業をより良くしようとして、かえって、農地を荒れさせてしまうこともあるくらいでした。
ガリバーはそうしたラピュータの状況にうんざりし、島を出る決意をします。
(おわり)
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[用語の説明]
*漂着:ただよい流れて、岸にたどり着くこと
*膀胱:おしっこをためておくための体の器官のこと
*机上の空論:頭の中だけで考えた、実際には役に立たない計画や理論のこと
*ラピュタ:想像上の空飛ぶ島。宮崎駿監督の『天空の城ラピュタ』のモデルとなった
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作者:ジョナサン・スウィフト
作者:ジョナサン・スウィフト(1667~1745年)
イギリス出身の作家。随筆家であり詩人でもありました。
本作:『ガリバー旅行記』は1726年に発表されています。
アイルランドのダブリンに生まれ、乳母と伯父の家で育てられました。
ダブリン大学を卒業後は、政治家:テンプルの秘書となります。
後に古典や歴史などに興味を持ち、政治問題にも深い関心を寄せるようになりました。
その後は一時的に牧師になっていますが、2年ほどでまたテンプルの元に戻っています。
1699年以後は政界と結び付き、イギリス二大政党の一つだったホィッグ党のため、政治論を執筆。
反対党のトーリー党に移ってからは、ダブリンの聖パトリック寺院の首席司祭(僧職)になっています。
作風:『風刺』
スウィフトが残した作品の多くは、人間や社会、政治などが『風刺*』されていることに特徴があります。
*風刺:欠点や罪悪などを遠回しに批判すること
本作:『ガリバー旅行記』でも、当時のイギリスの政治や社会が風刺されていました。
当時の貴族社会や政治悪を書物を通して批判しようとしたスウィフトは、1704年キリスト教会内部の争いを風刺した『桶物語』と、学問の世界を風刺した『書物合戦』を書いて評判になった。
(『学習人物事典』230ページ より)
その他の代表作には『穏健なる提案』など多数。
『ガリバー旅行記【ラピュタの章】』のあらすじ【ラピュータで風刺されていたもの】まとめ
『ガリバー旅行記』は全編に渡り、人間の凶暴さや残酷さなどが、風刺によって痛烈に批判されています。
その中でもここでご紹介させていただいたラピュタの章に登場する人たちは、主に上流階級の人間でした。
彼らの中には知性のある人間もいるようですが、総じていえるのは、知識や理屈ばかりが先行し、何も行動を起こそうとしない姿です。
現実を直視せず、綺麗事ばかりを並べるラピュータの人々の姿は、私たちが生きる現実世界においても一つの教訓となります。
実際に作者のスウィフトは、そのような人間を目の当たりにしたからこそ、このラピュータの世界観を描いたのかもしれませんね。