『アローの不可能性定理』をわかりやすく【民主主義の欠陥】

注意

アローの不可能性定理』についてです。

参考文献を元にして、可能な限りわかりやすくまとめてみました。

一つの参考にして下さいませ。

(なお、数式による証明はうまくまとめられなかったため、とりあえずは他力本願です…)

このページでわかること
  1. 『アローの不可能性定理』の概要
  2. 5つの条件について
  3. 参考文献

『アローの不可能性定理』をわかりやすく【民主主義の欠陥】

順にご紹介させていただきます。

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1951年に経済学者:ケネス・アローが発表

『アローの不可能性定理』は、1951年にアメリカの経済学者:ケネス・アローが発表した定理です。

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『4つの条件(独裁の禁止以外)を満たすことは不可能だと数学的に証明』

アローはそのなかで、『2人以上の選択者が、3つ以上の候補先を選択する場合において、以下の4.独裁の禁止以外の4つの条件を満たす集計方法は存在しないということを、数学的に証明』しています。

5つの条件
  1. 個人の自由の尊重
  2. 部分集合の独立性
  3. 全員一致の尊重
  4. 独裁の禁止
  5. 推移率

それではここからは、上記5つの条件の具体的な内容をご紹介させていただきます。

順に見ていただければ、少なくとも、「(たしかにどれか一つが欠けても公平だとはいえなさそうだ…)」ということがご理解いただけるはずです。

<1>個人の自由の尊重

まず一つ目は『個人の自由の尊重』です。

これは『選択者はどんな順番で選好を決めても良い』という自由の原則になります。

つまり選択者は選好の順位決定において何ら制約がないため、その選好が合理的かどうかを一切問われることはありません。

<2>部分集合の独立性

部分集合の独立性』は、『ある特定の候補先2つだけの集計をしたときに、全体の集計結果とは無関係にその2つの順位は守られている』との原則です。

よってまず候補先2つだけを集計して決められた順位は、その後、たとえ全候補先による全体の集計をしたとしても、当初の候補先2つの順位が逆転することはありません。

<3>全員一致の尊重

3つ目は『全員一致の尊重』です。

これは『全員一致の評決内容は可決とする』という原則になります。

たとえば、選択者全員の選好が1位:A、2位以下:Bなどのように一致している場合、最終的な集計結果でもその順位は守られていなければならないということです。

<4>独裁の禁止

独裁の禁止』は、『集計結果が一人の選好順位と一致していて、他の人がどんな投票をしても変わりがないという事態が生じない』との原則になります。

<5>推移率

最後5つ目は『推移率』です。

まず推理率というのは、『A>B、B>Cならば、A>Cが成立するという規則』のこと。

『遷移率』とも呼ばれますが、つまりこの5つ目の条件は、この規則の遵守を原則とするということです。

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『アローの不可能性定理』をわかりやすく【民主主義の欠陥】まとめ

以上の条件は、おそらく誰が見ても、民主主義の成立に不可欠な要素だと思うのではないでしょうか。

ですが、冒頭でもご紹介した通り、経済学者:アローは、これらの条件がすべて満たされることは不可能であることを、数学により証明しています。

特に4つ目の『独裁の禁止』以外の条件が満たされた場合、他の条件は途端に満たされなくなってしまいます。

民主主義は、多数者の意思を反映する方式であるというのは、一般論としては成り立たない。

(『現代倫理学入門』160ページ より)

アローの不可能性定理が発見されて以後、政治、経済、倫理の研究者たちは、数学的に見て完全な集計方法が存在しないので、現実の社会的な決定がなるべく理論的にみて不合理でない近似となるにはどうしたらいいかという問題を追求してきた。

(『現代倫理学入門』163ページ より)

囚人のジレンマもアローの不可能性定理も、民主主義は最善の制度だと信じ込んでいる人には、水を掛ける効果がある。

(『現代倫理学入門』160ページ より)

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参考文献

このページをつくるにあたり、大いに参考にさせていただきました。

ありがとうございました。

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