【『民法』の判例】わかりやすい形で一覧にしました

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判例一覧まとめ【全4科目】 判例一覧まとめ【全4科目】

このページでわかること
  1. 【権利別】民法の判例一覧
  2. 参考文献

民法の判例一覧

総則

自然人

・制限行為能力者であることを単に黙秘するだけでは詐術には当たらないが、制限行為能力者の他の言動とあいまって相手方の誤信を強めた場合には詐術に当たる(最判昭44.2.13)

・不在者財産管理人は、不在者を被告とする訴訟において、家庭裁判所に許可を得ないで控訴・上告する権限を有す(最判昭47.9.1)

失踪宣告

・失踪の宣告後、その取消し前に当事者双方が善意でした行為の効力は維持される(大判昭13.2.7)

・生活費や借金の返済に充てた場合、それは現存利益があるといえる(大判昭7.10.26)

権利能力なき社団

・構成員は社団の債務につき、個人的に取引の相手方に対して直接に債務や責任を負わない(最判昭48.10.9)

・権利能力なき社団は登記名義人にはなれない(最判47.6.2)

通謀虚偽表示

・不動産の仮装譲受人から更に譲り受けた者及び転得者は、第三者に当たる(最判昭28.10.1)

・仮装譲渡された不動産につき抵当権の設定を受けた者は、第三者に当たる(大判大4.12.17)

・仮装債権の譲受人は、第三者に当たる(大判昭13.12.17)

・虚偽表示の目的物に対して差押えをした者は、第三者に当たる(最判昭48.6.28)

・土地が仮装譲渡されて建物が建築された場合の借家人は、第三者に当たらない(最判昭57.6.8)

・土地賃借人が土地上にある建物を仮装譲渡した場合の土地賃貸人は、第三者に当たらない(最判昭38.11.28)

・仮装譲渡された債権の債務者は、第三者に当たらない(大判昭8.6.16)

・仮装譲受人に対する一般債権者は、第三者に当たらない(大判大9.7.23)

・第三者は通謀虚偽表示の当事者との関係において、対抗要件を備える必要はない(大判昭10.5.31)

・第三者は仮装譲渡人から譲渡を受けた者との関係においては、登記によって対抗要件を備える必要がある(最判昭42.10.31)

・悪意の第三者からの善意の転得者は保護される(最判昭45.7.24)

・善意の第三者からの悪意の転得者は保護される(大判昭6.10.24)

>>絶対的構成

・Aが、自己所有の土地がB名義で登記されていることを知りながら放置した場合、Bからその土地を善意で買い受けたCとの関係に外観法理が類推適応される(最判昭45.9.22)

・AB間で通謀して売買予約による不実の仮登記がされたが、Bがそれを奇貨としてほしいままに自己名義に本登記をし直し、Cに不動産を売却した場合、Aは善意無過失のCに本登記の無効を対抗できない(最判昭43.10.17)

・真の権利者が、虚偽の権利の帰属を示す外観の作出につきなんら積極的な関与をしておらず、また、虚偽の外観(登記)を放置していたとみることもできない場合、真の権利者に帰責性は認められず、外観法理の類推適応は否定される(最判平15.6.13)

錯誤

・錯誤は当該法律行為の目的にとって重要であり、かつ、一般的にも重要であることを要する(大判大5.7.5)

・黙示の表示であっても表示に含まれる(最判平元.9.14)

詐欺・強迫

・詐欺による取消前に、新たに独立した法律上の利害関係に入った者は、善意でかつ過失がない第三者に当たる(大判昭17.9.30)

・詐欺により1番抵当権が放棄されたため順位が上昇する2番抵当権者は、善意でかつ過失がない第三者には当たらない(大判明33.5.7)

・取消後の第三者と表意者は対抗関係に立ち、先に登記を備えた方が優先となる(最判昭32.6.7)

>>復帰的物権変動

代理総説

・復代理人が代理人に対して受領物を引き渡したとき、本人に対する受領物引渡義務は消滅する(最判昭51.4.9)

・債務の履行に準ずべきものには、売買に基づく所有権の移転の登記の申請がある(最判昭43.3.8)

無権代理

・法定追認は無権代理行為に類推適用されない(最判昭54.12.14)

・相手方は効果を主張できる(大判大14.12.24)

・本人が無権代理人の締結した契約の履行を相手方に請求する行為は、黙示の追認に当たる(大判大3.10.3)

・無権代理人が本人を単独相続した場合、その無権代理行為は当然に有効となる(最判昭40.6.18)

・無権代理人が本人を共同相続した場合、その共同相続人全員が共同して追認権を行使しない限り、無権代理行為は、無権代理人の相続分に相当する部分においても有効とはならない(最判平5.1.21)

・本人が無権代理人を相続した場合、その本人は追認拒絶ができる(最判昭37.4.20)

・相続人が無権代理人を相続した後、本人を相続した場合、無権代理行為は当然に有効となる(最判昭63.3.1)

・死亡前に追認拒絶をしていた本人を無権代理人が相続した場合、無権代理行為は有効にはならない(最判平10.7.17)

・本人が無権代理人を相続し、追認拒絶ができる場合であっても、相手方は相続人である本人に対し、無権代理人の責任の承継を主張できる(最判昭48.7.3)

表見代理

・権限外の行為の表見代理の要件である第三者の正当な理由の存否には、本人の過失や行為(作為又は不作為)があることは要しない(最判昭28.12.3)

・・権限外の行為の表見代理の基本代理権が法定代理権である場合、その問題となる行為が当該夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内に属すると信じるにつき正当な理由のあるときに限り、第三者は保護される(最判昭44.12.18)

・無権代理人は表見代理の成立を主張して自己の責任を免れることはできない(最判昭62.7.7)

条件

・”一定の催告期間内に代金を支払わないとき、売買契約を解除する”という停止条件付解除の意思表示は有効である(大判明43.12.9)

期限

・出世払い債務は不確定期限付きの債務である(大判明43.10.31)

時効

・時効は援用によってはじめて権利の得喪が生じる(最判昭61.3.17)

・詐害行為の受益者は、被保全債権の時効を援用できる(最判平10.6.22)

・後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の時効を援用できない(最判平11.10.21)

・金銭債権の債権者は、債権者代位権に基づき、債務者に代位して、他の債権者に対する債務の消滅時効を援用できる(最判昭43.9.26)

・時効の完成を知らずに債務の弁済や承認などの自認行為をした後、時効が完成したことを知ったとしても、改めて時効を援用することはできない(最大判昭41.4.20)

・債務者が消滅時効完成後に債務の承認をしたとしても、再び新たに進行した時効が完成すれば、その時効は援用できる(最判昭45.5.21)

・主債務者が時効の利益を放棄しても、保証人は、その主債務の消滅時効を援用できる(大判大5.12.25)

・時効の利益を放棄しても、その後に再び新たな時効の進行が始まるため、その完成後は時効を援用できる(最判昭45.5.21)

・未成年者及び成年被後見人は、単独で有効に承認できない(大判昭13.2.4)

・被保佐人及び被補助人は、単独で有効に承認できる(大判大7.10.9)

・自主占有の有無は、占有取得の原因たる事実によって、客観的に判断される(最判昭45.10.29)

・時効の起算点は原則として固定される(最判昭35.7.27)

・善意無過失の占有者Xから悪意のYが占有を承継した場合、YはXの占有と自己の占有とをあわせて主張することにより、10年間で時効取得できる(最判昭53.3.6)

・債務者が割賦金の支払いを怠ると、債権者の請求によって直ちに残債務全額を弁済すべき旨の約定があるときには、その残債務全額についての消滅時効は、債権者が残債務全額の弁済を求める旨の意思表示をしたときから全額について進行する(最判昭42.6.23)

・債務不履行によって生ずる損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務の履行を請求できるときから進行する(最判平10.4.24)

・契約の解除によって発生する原状回復請求権の消滅時効は、解除のときから進行する(大判大7.4.13)

物権

物権総論

・物権的請求権のみを物権と切り離して譲渡することはできず、所有権に基づく物権的請求権は消滅時効にかからない(大判大5.6.23)

・物権的請求権は不法占拠者に対して対抗要件を欠いていても行使できる(最判昭25.12.19)

・土地所有者Xの土地にYが勝手に建物を建築し、保存登記をした後、それをZに譲渡した場合、Xは原則としてZに明渡請求権を行使すべきだが、もしYが自らの意思に基づいてその建物の所有権の登記を経由していた場合には、引き続き登記名義を保有するときに限り、Yは譲渡による所有権の喪失を主張できない(最判平6.2.8)

・X所有の甲土地上の未登記建物の所有者Yが、その建物を未登記のままで第三者Zに譲渡した場合、その後、その意思に基づかず、処分禁止の仮処分の申請に伴い裁判所書記官の嘱託によるY名義の保存登記がされたら、XはYに対して建物収去土地明渡しを請求できない(最判昭35.6.17)

・X所有の甲土地上の乙建物の所有名義人Yが、実際には乙建物を所有したことがない場合、建物所有者Zとの合意によって仮装の保存登記がされたときでも、XはYに対して建物収去土地明渡しを請求できない(最判昭47.12.7)

177条の第三者

・民法177条の第三者とは、当事者及びその包括承継人以外の者で、登記の欠缺を主張する正当の利益を有する者をいう(大連判明41.12.15)

・不法占拠者、不法行為者は、第三者に当たらない(最判昭25.12.19)

・背信的悪意者は、第三者に当たらない(最判昭43.8.2)

・背信的悪意者でない転得者は、第三者に当たる(最判平8.10.29)

登記による対抗

・共同相続人Xが相続放棄をし、もう一人の共同相続人Yが単独相続をした旨の登記をしないでいるうちに、Xの債権者ZがXの相続分を差し押さえたとしても、Yは登記なくしてZに単独相続による土地所有権の取得を対抗できる(最判昭42.1.20)

・被相続人Xから甲土地の遺贈を受けたYが、Xの死亡後、その登記をしないでいるうちにXの相続人Zが甲土地をAに売却した場合、YはAに対して登記がなければ甲土地の所有権を対抗できない(最判昭39.3.6)

明認方法

・明認方法は、第三者が利害関係を有するに至ったときまで存続していなければ、第三者に対抗できない(大判昭6.7.22)

・Xが立木のみをYに譲渡した後、その立木を土地と共にZにも譲渡した場合、立木所有権の優劣は、Yの立木の明認方法と、Zの土地の所有権移転登記との先後による(大判大10.4.14)

・立木が土地と共に譲渡された場合、立木所有権と土地所有権の対抗要件は、原則に戻り、土地の所有権移転登記となる(大判昭9.12.28)

・Xが立木所有権を留保して土地のみをYに譲渡した後、YがZに土地と共に立木を譲渡した場合、立木所有権の優劣は、Xの立木所有権の留保の明認方法とZの土地の所有権移転登記の先後による(最判昭34.8.7)

・Xは所有する更地をYに譲渡し、Yはその更地に植裁したが、土地所有権移転登記も立木の明認方法も施していなかった場合に、Xがその土地と立木をZに売却し、Zが土地の所有権移転登記を備えた場合、YはZに対して立木所有権を対抗できない(最判昭35.3.1)

占有権

・被相続人の占有権は、相続人が被相続人の死亡によってその物を現実に所持、管理していなくても、または相続の開始を知らなくても、当然に相続によって相続人が承継する(最判昭44.10.30)

・相続人が新たに相続財産を事実上支配することによって占有を開始し、その占有開始の時点で所有の意思を有していたことが客観的に明らかである場合、新たな権原による自主占有への転換が認められる(最判昭46.11.30)

・短期の取得時効を主張する者には、無過失は推定されない(最判昭46.11.11)

・即時取得においては無過失は推定される(最判昭41.6.9)

・法人の代表者が法人のために動産を所持する場合、特別の事情がない限り、占有者は法人のみであり、代表者は占有訴権を行使できない(最判昭32.2.15)

・法人の代表者が法人のために動産を所持する場合、代表者が自己のためにもその動産を所持していると認めるべき特別の事情がある場合には、代表者は個人として占有回収の訴えを提起できる(最判平10.3.10)

・所有者は占有回収の訴えを提起された場合、所有権に基づく反訴を提起できる(最判昭40.3.4)

即時取得

・登録された自動車は、即時取得の要件である動産には当たらない(最判昭62.4.24)

・登録を抹消した自動車は、即時取得の要件である動産に当たる(最判昭45.12.4)

・競売における競落は、即時取得の要件である取引行為に当たる(最判昭42.5.30)

・即時取得で無過失は推定される(最判昭41.6.9)

・取得時効で無過失は推定されない(最判昭46.11.11)

・盗品又は遺失物の回復請求は、所有者だけでなく、受寄者や賃借人もすることができる(大判昭4.12.11)

・盗品又は遺失物の所有権は、盗難又は遺失のときから2年間は原所有者に帰属する(大判大10.7.8)

・盗品の所有者がその盗品の引渡しを拒める場合、被害者が代価を弁償して盗品の回復を選択したうえでその引渡しを受けたとき、占有者は盗品の返還後であっても、被害者に対して代価の弁償を請求できる(最判平12.6.27)

囲繞地通行権

・袋地の所有権を取得した者は、袋地の所有権の登記を備えることなく囲繞地の所有者又は利用権者に通行権を主張できる(最判昭47.4.14)

・土地の分割や一部譲渡によって袋地が生じた場合、残余地が第三者に譲渡された場合でも、無償囲繞地通行権は消滅しない(最判平2.11.20)

添付

・借地人が増改築につき家主から承諾を得て増改築した場合、権原が認められるが、その増改築部分から外部の出入りが賃借建物の中にある階段を使用するしか方法がない場合には、増改築部分は独立性を欠く強い付合に当たるから、建物の区分所有権の対象たる部分には当たらず、権限者に所有権は留保されない(最判昭44.7.25)

・建築途中で未だ独立の不動産とはなっていない建前に、第三者が材料を提供して工事が施され、独立の不動産である建物に仕上げられた場合、その建物所有権の帰属は、加工の規定に基づいて決定される(最判昭54.1.25)

共有

・共有者の一人が無断で共有物を使用している場合の、他の共有者の持分に基づく引渡請求は、当然には認められない(最判昭41.5.19)

・共有者の一人が無断で第三者に転貸した場合の、他の共有者のその第三者に対する明渡請求は、当然には認められない(最判昭63.5.20)

・不動産の共有者の一人は、共有不動産の実体上の権利を有しないのに持分移転登記を経由している者に対して、その持分移転登記の抹消登記手続を請求できる(最判平15.7.11)

・各共有者は自己の持分を自由に処分できるが、不動産の持分の譲渡を他の共有者及び第三者に対抗するためには登記が必要となる(最判昭46.6.18)

用益権

・地上権の存続期間を設定行為で定める場合、最長、最短の制限はないため、永久地上権とすることも認められる(大判明36.11.16)

・要役地の移転については所有権移転登記があれば、地役権の移転を第三者に対抗できる(大判大13.3.17)

担保物権

留置権

・必要費の償還請求のため建物を留置している場合に、さらに必要費を支出したとき、既に生じた必要費の償還請求と共に、後の必要費の償還請求権を被担保債権として留置権を行使できる(最判昭33.1.17)

・占有開始時に権原があったものの、その後に無権原となった場合において、無権原となった後に費用を支出したとき、占有権原の喪失につき占有者が悪意又は有過失なら、留置権は成立しない(最判昭41.3.3)

・家屋賃借人が賃借中に支出した費用の返還請求権につき留置権を行使し、賃貸借終了後も引き続き居住する場合は、保存行為に当たる(大判昭10.5.13)

・保存行為としての継続居住による使用利益については、不当利得として、目的物の所有者に返還する義務がある(大判昭13.12.17)

・債務者だけでなく、債務者以外の所有者も、留置権の消滅請求ができる(最判昭40.7.15)

・債務者が目的物の使用などを承諾した後、留置物の所有権取得につき対抗要件を具備した新所有者は、留置権の消滅請求ができない(最判平9.7.3)

・消滅請求は違反があった以上、その違反行為が終了したか、損害が発生したかどうかにかかわらず認められる(最判昭38.5.31)

・留置権の抗弁は被担保債権の債務者が原告である訴訟で提出された場合、その債権について消滅時効における完成猶予の効力が生じる(最大判昭38.10.30)

先取特権

・一般の先取特権及び動産先取特権は、債務者がその目的たる動産を第三取得者に引き渡した後、その動産について行使はできないが、その引き渡しというのは占有改定も含まれる(大判大6.7.26)

・一般の先取特権及び動産先取特権は、債務者がその目的たる動産を第三取得者に引き渡した後、その動産について行使はできないが、さきの第三取得者というのは目的動産の所有権取得者のことであり、賃借人や受寄者、質権者は含まれない(大判昭16.6.18)

質権

・質権者が質物を任意に設定者に返還した場合、不動産質権においては、質権は消滅せず、対抗力も喪失しない(大判大5.12.25)

抵当権

・借地上の建物に抵当権が設定された場合、抵当権の効力は借地権に及ぶ(最判昭40.5.4)

・洗車機は従物に当たる(最判平2.4.19)

・雨戸は取り外しが容易ではあるものの、建物の一部を構成するため、付合物に当たる(大判昭5.12.18)

物上代位

・賃料債権については、物上代位できる(最判平元.10.27)

・抵当不動産の賃借人が取得する転貸賃料債権については、同賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除いて、物上代位できない(最決平12.4.14)

・物上代位と債権譲渡との対抗関係は、抵当権設定登記と債権譲渡の第三者への対抗要件具備の先後によって優劣が決まる(最判平10.1.30)

・物上代位と差押債権者との対抗関係は、抵当権設定登記と差押命令の第三債務者への送達の先後によって優劣が決まる(最判平10.3.26)

・物上代位と相殺との対抗関係は、抵当権設定登記と第三債務者の抵当権設定者への自働債権の取得の先後によって優劣が決まる(最判平13.3.13)

法定地上権

・抵当権設定時に土地上に建物が存在してさえすれば、たとえ保存登記がされていなくとも、法定地上権は成立する(大判昭14.12.19)

・抵当権設定者と抵当権者との間で、法定地上権の成立要件を満たすにも関わらず法定地上権を成立させない旨の特約や、法定地上権の成立要件を満たさないにも関わらず法定地上権を成立させる旨の特約は、締結できない(大判明41.5.11)

・更地としての評価に基づいて、建物築造中の土地に抵当権が設定された場合、抵当権者が建物建造をあらかじめ承認していたとしても、法定地上権は成立しない(最判昭36.2.10)

・更地に抵当権を設定した後、築造された建物の上に更に抵当権が設定され、建物、土地の順に抵当権が実行された場合、建物抵当権の実行によって建物の買受人は法定地上権を取得するが、それを土地の抵当権者、買受人には対抗できない(大判大15.2.5)

・土地のみに抵当権が設定されたときに存在していた建物がその後に滅失し、再築された場合、旧建物を基準に法定地上権は成立する(大判昭10.8.10)

・土地と建物に共同抵当権が設定されたときに存在していた建物がその後に滅失し、再築された場合、法定地上権は成立しない(最判平9.2.14)

・土地と建物に共同抵当権が設定されたときに存在していた建物がその後に滅失し、再築された場合でも、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物の建築時点において、土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたときなど、以前と同様の状況が回復された場合、法定地上権は成立する(最判平9.2.14)

・抵当権設定時に、実体上、土地と建物が同一の所有者に属していさえすれば、たとえ登記名義が異なる場合でも、法定地上権は成立する(最判昭48.9.18)

・XY共有の土地で、かつ、X単独所有の建物がある場合において、Xの土地共有持分に抵当権が設定され、実行されたとき、法定地上権は成立しない(最判昭29.12.23)

・X単独所有の土地で、かつ、XY共有の建物がある場合において、土地に抵当権が設定され、実行されたとき、法定地上権は成立する(最判昭46.12.21)

・XY共有の土地で、かつ、XZ共有の建物がある場合において、Xの土地共有持分に抵当権が設定され、実行されたとき、法定地上権は成立しない(最判平6.12.20)

・XY共有の土地で、かつ、XZ共有の建物がある場合において、Xの土地共有持分に抵当権が設定され、実行されたときであっても、抵当権設定者でない土地共有者Yが、法定地上権の成立を容認していたと認められる特段の事情がある場合には、法定地上権は成立する(最判昭44.11.4)

・建物に1番抵当権が設定されたとき、たとえ土地と建物の所有者が異なっていたとしても、2番抵当権の設定のときに同一人に帰属してさえすれば、法定地上権は成立する(大判昭14.7.26)

・1番抵当権設定時には更地であった土地に、2番抵当権設定時に建物が築造され、その2番抵当権が実行されたとしても、法定地上権は成立しない(大判昭11.12.15)

・1番抵当権設定時には更地であった土地に、2番抵当権設定時に建物が築造され、その2番抵当権を優先させる順位の変更があった後に実行されたとしても、法定地上権は成立しない(最判平4.4.7)

・1番抵当権が設定されたときは土地と建物の所有者が異なっていた土地が、その後、土地と建物を同一人が所有するに至り、その土地に2番抵当権が設定され、実行されたとしても、法定地上権は成立しない(最判平2.1.22)

・1番抵当権が設定契約の解除や被担保債権の弁済によって消滅した後、2番抵当権が実行された場合には、法定地上権は成立する(最判平19.7.6)

一括競売

・抵当権を設定した後の抵当地に建物が築造されたとき、抵当権者には土地を更地としてではなく、建物と一括して競売する権利が認められる(大判大15.2.5)

抵当権消滅請求

・不動産全体に抵当権が設定されている抵当不動産の共有持分を取得した者は、抵当権消滅請求ができない(最判平9.6.5)

抵当権の侵害

・抵当権者は抵当権実行前であっても弁済期後であるなら、不法行為に基づく損害賠償請求ができる(大判昭11.4.13)

・抵当権の目的となっている山林上の立木が、抵当権者に無断で、かつ、通常の用法を超えて伐採及び搬出された場合、抵当権者は、抵当権に基づく妨害排除請求権として、立木の伐採及び搬出の禁止を請求できる(大判昭7.4.20)

譲渡担保

・目的物の所有権は債権者に移転し、債権者は設定者に対して目的物を担保目的以外には利用しないという債務を負うのみとなる(大判大9.9.25)

>>所有権的構成

・譲渡担保権の効力は付合物や従物、従たる権利にも及ぶ(最判昭51.9.21)

・譲渡担保権には物上代位性が認められる(最決平11.5.17)

・譲渡担保権の設定者は、譲渡担保権が実行されるまでは、譲渡担保権の目的物の不法占有者に対して、その返還を請求できる(最判昭57.9.28)

・不動産が譲渡担保の目的とされ、設定者から譲渡担保権者への所有権移転登記が経由された場合、被担保債権の弁済などにより譲渡担保権が消滅した後、目的不動産が譲渡担保権者から第三者に譲渡されたとき、その第三者が背信的悪意者に当たらない限り、設定者は登記なくして所有権をその第三者に対抗できない(最判昭62.11.12)

・清算金の支払いと目的物の引渡しは、同時履行の関係に立つ(最判昭46.3.25)

・同一の動産について複数の者にそれぞれ譲渡担保権が設定されている場合、後順位の譲渡担保権者は私的実行ができない(最判平18.7.20)

・譲渡担保権の設定者である債務者は、被担保債権の弁済期を経過した後に譲渡担保権者が担保権の実行を完了させるまでの間は、債務の全額を弁済し、目的物を取り戻せる(最判昭62.2.12)

・譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合、譲渡担保権を設定した債務者は、譲受人が背信的悪意者に当たるか否かにかかわらず、目的不動産を受け戻せない(最判平6.2.22)

・設定者は譲渡担保権者が清算金の支払いをしない間に受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払いを請求できない(最判平8.11.22)

・譲渡担保権は、構成部分が変動する集合物を目的として設定できる(最判昭62.11.10)

・集合動産譲渡担保権の設定者が、通常の営業の範囲内で集合物の中の動産を売却した場合、買主である第三者は、その動産について確定的に所有権を取得する(最判平18.7.20)

・動産売買先取特権の目的物が集合体に加入した場合、原則として先取特権の行使はできなくなり、譲渡担保権者が優先する(最判昭62.11.10)

債権総論

債務不履行

・契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能である場合、履行不能となる(最判昭35.4.21)

・債権者が相当の期間を定めないで催告をしたときでも、客観的にみて相当の期間が経過していれば、債権者は契約を解除できる(最判昭29.12.21)

債権者代位権

・XがYから賃借している土地をZが不法占有している場合、Xは賃借権を保全するため、土地所有者の賃貸人Yに代位し、YのZに対する所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使できる(大判昭4.12.16)

・土地の売主Xが死亡し、Y及びZがXを共同相続した場合、YがXから相続した土地につき登記義務の履行を拒絶しているために、買主Aが同時履行の抗弁権を行使して代金金額の弁済を拒絶しているとき、他の共同相続人Zは、Aに対する代金債権を保全するため、AのYに対する登記請求権を代位行使できる(最判昭50.3.6)

多数当事者の債権及び債務

・債権譲渡の対抗要件としての通知が保証人にのみなされても、主たる債務者のみならず、保証人への対抗要件にもならない(大判昭9.3.29)

債権譲渡

・譲受人が譲渡人に代位して債務者に通知することはできない(大判昭5.10.10)

・譲渡前の債務者の承諾は、債権と譲受人が特定されていれば有効となる(最判昭28.5.29)

債権の消滅

・債権者の不受領意思が明確な場合、債務者は口頭の提供をしなくとも、履行遅滞の責めを免れる(最判昭32.6.5)

・債権者の不受領意思が明確な場合でも、債務者が弁済の準備もできないような不良な経済状態にあったことから、口頭の提供すらできなかった場合には、履行遅滞の責めは免れない(最判昭44.5.1)

・代物弁済による債権消滅の時期は、第三者への対抗要件を具備したときである(最判昭39.11.26)

・代物弁済による所有権移転の時期は、代物弁済の意思表示のときである(最判昭57.6.4)

・抵当不動産の第三取得者は、第三取得者の債権者への債権を自働債権とし、債権者の債務者への債権を受動債権として相殺できない(大判昭8.12.5)

・委任者は受任者の代弁済請求権に対し、受任者への金銭債権をもって相殺できない(大判大14.9.8)

・相殺権者は自働債権が弁済期であれば、受働債権の期限を放棄することで相殺できる(大判昭8.5.30)

・既に消滅時効にかかった債権を譲り受けても、それを自働債権として相殺はできない(最判昭36.4.14)

・期限の定めのない債権は、自働債権として相殺できる(大判昭17.11.19)

・不法行為等に基づく損害賠償債権は、自働債権として相殺できる(最判昭42.11.30)

債権各論

同時履行の抗弁権

・同時履行の抗弁権が被告から裁判上で主張されたら、請求棄却判決ではなく引換給付判決が行われる(大判明44.12.11)

・同時履行の抗弁権を有する債務者は、履行遅滞の責任を負うことはない(大判大14.10.29)

・同時履行の抗弁権が付着している債権を、自働債権として相殺することはできない(大判昭13.3.1)

・相手方の同時履行の抗弁権を喪失させるためには、継続して履行を提供しなければならないため、一度の提供があっただけでは足りない(大判明44.12.11)

・契約の無効や取消しによる原状回復義務についても、同時履行の抗弁権は認められる(最判昭28.6.16)

・建物買取請求権行使による代金支払義務と敷地明渡義務についても、同時履行の抗弁権は認められる(最判昭35.9.20)

・造作買取請求権行使による造作代金支払債務と家屋明渡債務については、同時履行の抗弁権は認められない(最判昭29.7.22)

・借家明渡債務と敷金返還債務については、同時履行の抗弁権は認められない(最判昭49.9.2)

・抵当権抹消登記と債務の弁済については、同時履行の抗弁権は認められない(最判昭57.1.19)

売買

・相手方が契約の履行に着手していないことを要件とする手付による解除は、任意規定であるから、”履行の着手の有無を問わずに履行が終了するまでは、解約手付による解除権を行使できる”との特約も有効となる(大判昭14.5.26)

・解約手付による解除ではない解除がなされた場合、手付の所持は不当利得となるから、交付者に返還する義務がある(大判昭11.8.10)

・真の所有者が他人物売買を追認したとき、契約時に遡って所有権は移転する(最判昭37.8.10)

・他人の権利の売主をその権利者が相続し、売主としての履行義務を承継した場合、権利者は履行義務を拒否できる(最大判昭49.9.4)

贈与

・不動産の贈与は引渡し、または所有権の移転登記のいずれか一方がなされれば、履行は終わったものと解される(大判明43.10.10)

賃貸借

・賃借人が有益費を支出した建物の増築部分が賃貸借の終了後、建物の返還前に賃貸人または賃借人のいずれの帰責事由にもよらずに滅失した場合、有益費償還請求権も消滅する(最判昭48.7.17)

・無断譲渡の場合、賃借権の譲受人と転借人は、賃貸人との関係において不法占有者となるので、賃貸人は賃貸借契約を解除せずに明渡請求ができる(最判昭26.5.31)

・賃借人が無断転貸または無断譲渡をした場合でも、信頼関係を破壊しない特段の事情があれば、賃貸人の解除権は発生しない(最判昭28.9.25)

・債務不履行によって賃貸借契約を解除する場合、事前に転借人に対して賃料支払の催告をする必要はない(最判昭37.3.29)

・賃貸人の地位と転借人の地位が同一人に帰属した場合でも、転貸借契約は当然には消滅しない(最判昭35.6.23)

・借地の対抗要件は、借地権名義による借地上の建物の登記によってなされるが、それは権利の登記に限られず、表示の登記でもかまわない(最判昭50.2.13)

・登記された建物の地番が錯誤または遺漏によって実際と多少異なっていたとしても、建物の種類や構造、床面積などの記載とあいまって、建物の同一性が認識できれば、対抗要件は備わっていると認められる(最大判昭40.3.17)

請負

・建物完成と同時に注文者に所有権が帰属する旨の特約がある場合、建物完成と同時に注文者に所有権は帰属する(大判大5.12.13)

・請負代金が、建物完成前に完済または大部分支払われている場合、特段の事情のない限り、建物の所有権は建物完成と同時に注文者に帰属するとの特約があるものと推認される(大判昭18.7.20)

・仕事の完成前であっても、目的物が可分であり、完成した部分だけでも注文者にとって利益がある場合、未完成部分についてのみの契約の解除もできる(大判昭7.4.30)

不当利得

・不当利得をした善意の受益者が、利得に法律上の原因がないことを認識した後、利益が消滅した場合、返還義務の範囲は減少しない(最判平3.11.19)

・善意の受益者が、不当利得された財産に、受益者の行為が加わることによって得られた収益は、その範囲の収益が現存する場合に限り、返還される(最判昭38.12.24)

・悪意の受益者が負った損害賠償の責任は、不法行為責任とは異なる特別の責任があるものではない(最判平21.11.9)

・XがYから騙取または横領した金銭によって自己の債権者Zに債務を弁済した場合、その弁済の受領につきZに悪意または重過失がある場合には、Zの金銭の取得は、Yに対する関係においては法律の原因を欠き、不当利得となる(最判昭49.9.26)

不法行為

・不法行為責任による履行遅滞の時期は、不法行為時である(最判昭37.9.4)

・交通事故の被害者が、たとえ平均的な体格ないし、通常の体質と異なる身体的特徴を有していたとしても、それが疾患に当たらないなら、その身体的特徴を損害賠償額を定めるに際して考慮することはできない(最判平8.10.29)

・第一の交通事故によって後遺障害を負った者の損害賠償額を算定するに際し、第二の交通事故によって死亡して免れた死亡後の生活費は控除できない(最判平8.5.31)

・責任無能力者の失火によって第三者に損害が生じた場合、監督義務者に責任能力者の監督について重過失がなかったときは、不法行為責任を免れる(最判平7.1.24)

・不法行為を行った未成年者に責任がある場合でも、監督義務者は一般の不法行為責任を負う(最判昭49.3.22)

・共同不法行為者の一人が被害者に損害を賠償した場合、本来負担すべき責任の割合に応じて、他の共同不法行為者に求償できる(最判昭41.11.18)

親族

婚姻

・内縁夫婦の一方の死亡によって内縁関係が解消された場合、財産分与に関する規定は類推適用されない(最判平12.3.10)

・婚姻意思は婚姻届の作成時及び届出時に存在していなければならない(大判昭16.5.20)

・事実上の夫婦共同生活関係にある者が、婚姻意思を有し、その意思に基づいて婚姻届書を作成したときは、たとえ届書の受理された当時に意識を喪失していたとしても、その受理前に翻意したなどの特段の事情が認められない限り、その届書の受理によって婚姻は有効に成立したとみなされる(最判昭44.4.3)

・離婚意思は、離婚届出をする意思のみで足りる(大判昭16.2.3)

>>形式的意思説

・離婚意思は、離婚届の作成時と提出時の両方で必要となる(大判昭16.11.29)

・受理前に当事者の一方が翻意した場合、離婚は無効となる(最判昭34.8.7)

・生活保護を受けるためだけの協議離婚であっても、その離婚は有効となる(最判昭57.3.26)

・財産分与の請求権の要素に、離婚によって生じた精神的損害に対する慰謝料を含めることができる(最判昭46.7.23)

親子

・生物学上の父子関係が認められないことが科学的根拠により明らかであっても、それによって推定の及ばない子には当たらない(最判平26.7.17)

・認知者が血縁上の親子関係がないことを知りながら認知をした場合でも、認知の無効を主張できる(最判平26.1.14)

・認知者は利害関係人に含まれるので、自らがした認知の無効を自ら主張できる(最判平26.1.14)

・認知者の意思に基づかない届出による認知は、たとえ認知者と被認知者との間に血縁上の親子関係があるときであっても、無効となる(最判昭52.2.14)

・非嫡出子の父が、妻との子として、その子の出生届を提出した場合、その届出には認知届としての効力が認められる(最判昭53.2.24)

・たとえ節税目的でなされた養子縁組であっても、直ちに無効となるわけではない(最判平29.1.31)

・たとえ他人の子を自分たちの嫡出子として届け出ても、それは嫡出親子関係のみならず、養親子関係も生じることはない(最判昭25.12.28)

・非代諾権者が代諾縁組をした場合でも、養子が15歳に達したときには、養子は養子縁組を有効に追認できる(最判昭27.10.3)

親権

・利益相反行為の判断基準は行為の外形から判断すべきであるから、親権者の意図や行為の実質的効果などで判断すべきでない(最判昭48.4.24)

・利益相反行為は無権代理行為となる(大判昭11.8.7)

・共同親権者の一人とのみ利益相反行為となる場合、他方の単独代理は認められず、特別代理人と他方親権者とが共同で代理する必要がある(最判昭35.2.25)

・親権者が第三者のために連帯保証人となるとともに、子を代理して子も連帯保証人とし、子と共有する不動産に抵当権を設定する行為は、利益相反行為に当たる(最判昭43.10.8)

・共同相続人である数人の子を代理して遺産分割協議をすることは、利益相反行為に当たる(最判昭48.4.24)

・負担付きでない子への単純贈与は、利益相反行為に当たらない(大判昭6.11.24)

・親権者が事前に自ら相続放棄をしているか、少なくとも自ら相続放棄をすると同時にその親権を行う子全員の相続放棄をすることは、利益相反行為に当たらない(最判昭53.2.24)

相続

相続人

・欠格事由が相続後に生じた場合であっても、その欠格の効果は相続開始時に遡って発生する(大判大3.12.1)

・遺言書が破棄、秘匿された場合であっても、それが相続に関して不当な利益を目的としたものでなかった場合、欠格事由には当たらない(最判平9.1.28)

・相続人が数人いるときの熟慮期間の起算点は、各相続人が自己のために相続開始があったことを知ったときから、各別に進行する(最判昭51.7.1)

・共有者の一人が死亡して、相続人の不存在が確定したとき、その持分は、特別縁故者に対する財産分与の対象となり、その財産分与がなされなかったとき、他の共有者へと帰属する(最判平元.11.24)

・扶養請求権の権利者たる被相続人が、請求の意思表示をした後に死亡したら、相続人は、その具体的に発生した扶養料請求権を相続できる(大判明37.7.18)

相続分

・可分債権は各共同相続人の相続分の割合に応じ、当然に分割される(最判昭29.4.8)

・預貯金債権は分割承継はされず、遺産分割の対象となる(最大判平28.12.19)

・連帯債務は各共同相続人が相続分の割合に応じて債務を承継し、その範囲内で本来の連帯債務者とともに連帯債務を負う(最判昭34.6.19)

・遺産である賃貸不動産の賃料債権は、相続開始後に遺産分割までに生じた賃料債権を、各共同相続人が各相続分に応じ、分割債権として確定的に取得する(最判平17.9.8)

遺産分割

・共同相続人間で成立した遺産分割協議を、債務不履行を理由に法的解除することはできない(最判平元.2.9)

・共同相続人間で成立した遺産分割協議を、合意解除することはできる(最判平2.9.27)

・特定の遺産を特定の相続人に”相続させる”旨の遺言がなされた場合、それは遺産分割の方法の指定と解されるから、被相続人の死亡のときに、直ちにその遺産は相続人に承継される(最判平3.4.19)

・相続開始時に存在した現金は、遺産分割を経なければならない(最判平4.4.10)

・共同相続人の一人から、遺産に属する特定不動産の共有持分権を譲渡された第三者が、他の共同相続人に共有関係の解消を求めた場合、共有物分割訴訟を経ることとなる(最判昭50.11.7)

遺言

・花押は自筆証書遺言で要求される押印には当たらない(最判平28.6.3)

・撤回された遺言が更に撤回されても、原則として第一の遺言は復活しないが、遺言書の記載から遺言者の原遺言の復活を希望する意思が明白である場合には、第一の遺言は復活する(最判平9.11.13)

参考文献

このページをつくるにあたり、大いに参考にさせていただきました。

ありがとうございました。

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