【『憲法』の判例一覧】重要判例まとめ【わかりやすい有名判例】
『猿払事件』(最判昭49.11.6)をご紹介させていただきました。
可能な限り、わかりやすくまとめたつもりです。
- 判例の論点
- 『堀越事件』との違い
- 参考文献
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注:このページの情報は自分独自の考察も元としています。
間違っていないとは言い切れませんので、あくまで一つの参考にして下さいませ。
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『猿払事件』(最判昭49.11.6)をわかりやすく
事案:罰金5,000万円の略式命令
北海道猿払村で非管理職の郵便局員(当時は国家公務員)だったXは、衆議院議員選挙の際、日本社会党の候補者のポスターを6枚貼り、計184枚もの掲示を他に依頼。
いずれの行為もXの勤務時間外に行われたものであり、国の施設を利用したわけでもなかったが、結果として国家公務員法等で禁止されている政治的行為*にあたるとして、罰金5,000万円の略式命令が下った。
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*政治的行為
・公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが、観念的なものにとどまらず、現実的に起こり得るものとして実質的に認められる行為のこと
・国民の信頼を損なうような活動に限り、法律で禁止されている
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争点:公務員の政治的行為の是非
Xの行為は、政治的行為にあたるか?
結論:違反
あたる。
理由:優先された行政の中立性
・公務員によるポスター貼りという私的自由と、行政の中立性を比較衡量すれば、公の利益を優先することは当然だから
・公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではないため、行政の中立性を維持する目的での規制は正当
『猿払事件』(最判昭49.11.6)と『堀越事件』の違い
最後は本判例と『堀越事件』(最判平24.12.7)との違いについてです。
行動の背景
本判例と『堀越事件』は、いずれも公務員の政治活動の自由に焦点があてられています。
が、『堀越事件』は本判例と異なり、無罪が言い渡されました。
その理由は、一言でいうと、”公務員により組織された団体の活動の性格を有していたか?”にあります。
つまり本判例の公務員によるポスター貼りはさきの性格を有していた一方で、『堀越事件』では、そのような背景が認められなかったということです。
『猿払事件』(最判昭49.11.6)をわかりやすく&『堀越事件』との違いまとめ
- 非管理職の国家公務員が政党候補者のポスターを貼るなどの行為は政治的行為となり違反