『立川宿舎反戦ビラ配布事件』(最判平20.4.11)をわかりやすく

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『立川宿舎反戦ビラ配布事件』(最判平20.4.11)をご紹介させていただきました。

可能な限り、わかりやすくまとめたつもりです。

このページでわかること
  1. 判例の論点
  2. 参考文献

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注:このページの情報は自分独自の考察も元としています。

間違っていないとは言い切れませんので、あくまで一つの参考にして下さいませ。

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『立川宿舎反戦ビラ配布事件』(最判平20.4.11)をわかりやすく

事案:反戦ビラ配布目的の宿舎内無断侵入の処罰

Xらは、「自衛隊のイラク派兵反対」と記載したビラを自衛隊宿舎に投函する目的で、管理者および居住者の承諾を得ずに、同宿舎内に立ち入った。

この立ち入り行為について、住居侵入罪(刑法130条)で起訴された。

>>【裁判所のホームページ】住居侵入被告事件

争点:憲法21条1項の是非

政治的意見を記載したビラの配布を目的とした立入り行為を処罰することは、憲法21条1項に反するか?

結論:違反しない

反しない。

理由:表現の自由は絶対無制限に保障されない

・憲法21条1項は表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、その手段が他人の権利を不当に害するようなときには許されない

・政治的意見を記載したビラの配布は表現の自由の行使ということができるが、本件では表現そのものを処罰することが問題となっているのではなく、表現の手段すなわちビラの配布のために「人の看守する邸宅」に管理権者の承諾なく立ち入ったことを処罰することが問題となっている

・たとえ表現の自由の行使のためといっても、このような場所に管理権者の意思に反して立ち入ることは、管理権者の管理権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するといえる

『立川宿舎反戦ビラ配布事件』(最判平20.4.11)をわかりやすくまとめ

まとめ
  1. 政治的意見を記載したビラ配布を目的とした立入り行為の処罰は、憲法21条1項に反しない
  2. 憲法21条1項は表現の自由を絶対無制限に保障するものではない
  3. その手段が他人の権利を不当に害するようなときには許されない

参考文献

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