【『最後の一葉』のあらすじ】道徳の教科書にも載ったオー・ヘンリー不朽の名作【考察と感想も】

蔦の葉と秋

>>名作一覧へ

名作 【『名作』一覧】童話や文学、戯曲など【海外と日本の有名作品集】

名作:『最後のひと』のご紹介です。

あらすじは読み聞かせができるようにまとめています。参考にして下さいませ。

このページでわかること
  1. 『最後の一葉』のあらすじ
  2. 考察と感想
  3. 参考文献

『最後の一葉』のあらすじ

まずはあらすじと作者紹介です。

スポンサーリンク

物語:命を懸けて描いた傑作

ぶどうの葉っぱ

ワシントン・スクウェア*の西側にしがわ

そこには、まずしいげいじゅつたちがんでいるまちがありました。

わか女性じょせい画家がかであるスーとジョンジーも、いつしかれるゆめて、そのまちのアパートにんでいました。

二人ふたりきょうどうのアトリエ*でいており、きなことやしゅおなじだったことから、とても友達ともだちでした。

 

ですが、やがてそんな二人ふたり地区ちくに、肺炎はいえん*が流行はやはじめます。

そのえいきょうで、なんじゅうにんもの牲者せいしゃてしまいました。

そしてある、ジョンジーも肺炎はいえんにかかってしまったのです。

 

ジョンジーを診察しんさつしたしゃから、スーはつぎのことをいていました。

彼女かのじょたすかるかどうかは、彼女かのじょしんの「きたい」という気持きもちにかかっている」

 

スーがジョンジーの部屋へやはいると、ジョンジーはベッドによこたわっていました。

そんなジョンジーはそとながら、「じゅうに、じゅういち、じゅう、く…」と、まどからえる、レンガのかべまえのツタの枚数まいすうかぞえているのです。

なにかぞえているの?」スーはたずねます。

ジョンジーはしずかにこたえました。

 

さい一枚いちまいったら、わたしぬの」

 

「(なんとかジョンジーをすくいたい…)」

そうかんがえたスーは、かんかせぐため、ジョンジーと「わたしあたらしいわるまで、つぶっているように」と約束やくそくをしました。

そしてスーはしたかいんだくれ*の老人ろうじん画家がかベアマンに、のモデルになってくれるようたのみます。

ベアマンは絵描えかきとしては失敗続しっぱいつづき。よんじゅうねんものあいだれることはありませんでした。

スーはそんなベアマンに、ジョンジーの『さいひと』のはなしをします。

 

しかし、ベアマンは「バカバカしい!」とってあざけるのでした。

 

とはいえ、ベアマンはモデルになることはしょうしてくれました。

そのよるは、つめたいあめつづき、つよかぜいていました。

 

つぎあさ、スーはジョンジーの部屋へやき、おそおそよけをけます。

すると、あれだけあめかぜつよかったのに、なんとツタの一枚いちまいだけらずにのこっていたのです。しっかりとえだにしがみついていたのでした。

 

それをたジョンジーは、ぶんがバカげたかんがえにとらわれていたことにづきます。

「スー、わたしはバカだったわ。あそこにのこったさいひとおしえてくれている。「にたい」なんて、つみなことなのね」

それから、スーは段々だんだんげんもどしていったのでした。

 

じつはその『さいひと』は、ベアマンがつめたいあめたれながら、レンガのかべいただったのです。

 

ベアマンはジョンジーのため、つめたいあめり、つよかぜなか、レンガに一枚いちまいのツタのいたのでした。

そしてベアマンはその無理むりによって肺炎はいえんにかかり、そのんでしまったのでした。

 

そのことをったスーは、ジョンジーにはなします。

「ほら、あれはベアマンさんがいた傑作けっさくなのよ」

さい一枚いちまいが、ったよるに…」

(おわり)

ーーーーー

よう説明せつめい

*ワシントン・スクウェア:アメリカのニューヨークにあるひろ

*アトリエ:画家がかなどのげいじゅつたちがごと使つか専用せんようぎょうのこと

肺炎はいえん細菌さいきんやウイルスによってはいえんしょうこること

んだくれ:大酒おおざけみのひとのこと

ーーーーー

スポンサーリンク

作者:オー・ヘンリー

作者:オー・ヘンリー(1862~1910年)

アメリカ出身の小説家。

医者の息子として生まれた後、様々な職業を経験。

銀行のお金を横領した罪で逮捕されたこともあるなど、波乱に満ちた人生を送りました。

短編小説を得意としており、数多くの優れた作品を世に残しています。

本作は1907年に発表されました。

その他の代表作には『賢者の贈り物』や『都会の敗北』など多数。

スポンサーリンク

『最後の一葉』の考察と感想

最後は考察と感想です。

とはいえ、どこまでも自分の考えに過ぎませんので、あくまで一つの参考にしていただければと思います。

スポンサーリンク

意外性の演出

まずこの童話におけるベアマンは、当初、粗暴な人物であるかのように描かれていました。

ですが、個人的にそれはベアマンの本心並びにあらすじの最期に意外性を持たせるため、作者があえてそうしたように思います。

もし元からベアマンが親切で、スーとジョンジーに協力的だったとしたら…この物語はまた違った見え方になり得る気がしますので。

スポンサーリンク

『自己犠牲』が描かれている

また自分はこの童話で描かれていることの一つに、『自己犠牲』があると考えます。

その理由は自分の身を犠牲にしてジョンジーの命を救おうとしたベアマンの存在です。

そのため、この童話が道徳の教科書に載ることがあるのも、そんな自己犠牲の意義を考える教材になり得るからなのかもしれません。

(個人的に命を犠牲にすることは反対ですが)

スポンサーリンク

優しさや思いやりに溢れた作品でした

そして何より、この童話は登場する人たちの深い優しさや思いやりに溢れていました。

悲しいあらすじでもありますが、見た後にどこか温かな気持ちになる作品でした。

スポンサーリンク

『枠物語』の様式が使われている

最後はこの童話には、一部、『枠物語』の様式が使われていたと考察します。

白百合女子大学大学院児童文学専攻(当時)のいけおうさんは、この『枠物語』を次のように解説して下さっています。

伝聞形式や過去回想形式等を用いることで作品中に一つ以上の物語を埋め込んでいる、入れ子型構造の物語形態をいう。枠小説とも。

(『童話学がわかる』168ページ より)

この童話においては、ベアマンがジョンジーのため、レンガに一枚のツタの葉の絵を描いた場面が、この『枠物語』に当てはまり得ます。

白百合女子大学文学部助教授(当時)のつじあけさんは、このような『枠物語』の様式を、次のように解説なされていました。

枠物語とは古くは『千一夜物語』にもさかのぼることのできる、物語の中に物語のある入れ子構造のことであるが、今世紀になってからの枠物語の大半は、C・S・ルイスの「ナルニア国物語」のように、<ここ>に住む主人公たちが、異世界へいざなわれて冒険をし、<ここ>にもどってくるという形をとるようになった。

(『童話学がわかる』147ページ より)

宇宙のファンタジー 『枠物語』とは?代表作品12例からその効果を考察【わかりやすく説明】

スポンサーリンク

【『最後の一葉』のあらすじ】道徳の教科書にも載ったオー・ヘンリー不朽の名作【考察と感想も】まとめ

童話:『最後の一葉』で描かれていたのは自己犠牲でもあり、生きとし生けるものが持っているであろう優しさや思いやりの心だった気もします。

個人的には、道徳の教科書に載る理由がよくわかりました。

スポンサーリンク

参考文献

スポンサーリンク

関連ページ