『白雪姫』物語のあらすじ内容を短く簡単に要約【グリム童話】

白雪姫

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名作:『白雪姫』のご紹介です。

あらすじは読み聞かせができるようにまとめています。参考にして下さいませ。

このページでわかること
  1. 白雪姫のあらすじ要約
  2. 考察
  3. 参考文献

『白雪姫』物語のあらすじ内容を短く簡単に要約【グリム童話】

あらすじと作者紹介です。

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物語:美しい白雪姫をめぐるストーリー

白雪姫

そのむかし、あるくに女王じょおうに、ゆきのようにからだしろく、のようにうつくしいほほち、黒檀こくたん*のようにくろかみつお姫様ひめさままれました。

姫様ひめさまは、『白雪姫しらゆきひめ』と名付なづけられます。

ですが、女王じょおうすでくなってしまいました。

その王様おうさまあたらしい女王じょおう結婚けっこんしましたが、その女王じょおう不思議ふしぎかがみっていました。

 

かがみかがみくにじゅうだれ一番いちばんうつくしいかっておくれ」

 

するとかがみこたえます。

女王様じょおうさま、あなたこそが、このくに一番いちばんうつくしい」

女王じょおうは、かがみうそわないことをっていました。

しかし、白雪姫しらゆきひめ七歳ななさいになったとき、かがみつぎのようにいました。

 

白雪姫しらゆきひめは、千倍せんばいうつくしい」

 

女王じょおうはそれをき、白雪姫しらゆきひめねたみます。

ついに女王じょおうりょうかって、白雪姫しらゆきひめころすようにいました。

けれどもりょう白雪姫しらゆきひめのことをかわいそうにおもったので、もりなかがしてあげました。

りょうがイノシシのをハンカチにけて女王じょおうっていくと、女王じょおう白雪姫しらゆきひめんだとしんじました。

 

白雪姫しらゆきひめやまえてげ、やがて一軒いっけんちいさないえつけます。

ななつのベッドに順々じゅんじゅんはいみ、最後さいごのベッドが自分じぶんにぴったりのおおきさだったので、そこでぐっすりとねむってしまいました。

 

そこへかえってたのは七人しちにん小人こびとです。

小人こびとたちは、昼間ひるまやまで、きんぎん仕事しごとをしていました。

そんな小人こびとたちがいえている白雪姫しらゆきひめつけたのは、そのあとのことです。

小人こびとたちは白雪姫しらゆきひめ姿すがたて、そのうつくしさにおどろきました。

 

そしてつぎあさ目覚めざめた白雪姫しらゆきひめから小人こびとたちがはなしきます。

じょう理解りかいした小人こびとたちは、白雪姫しらゆきひめに、「このいえにいてもいいけれど、女王じょおうはすぐにるはずだ。だから、だれいえにはれてはいけないよ」といました。

 

一方いっぽう白雪姫しらゆきひめんだとおもっていた女王じょおうは、あるかがみに「小人こびといえにいる白雪姫しらゆきひめは、まだ千倍せんばいうつくしい」とわれてとてもくやしがります。

そこで女王じょおう老婆ろうば姿すがたけ、昼間ひるまいえ一人ひとりでいた白雪姫しらゆきひめころそうとしました。

白雪姫とリンゴ

しかし、かえって小人こびとたちが、白雪姫しらゆきひめいのちすくいます。

 

けれども白雪姫しらゆきひめ女王じょおうってきたどくのリンゴを一口ひとくちかじってしまったので、いきえてしまいました。

毒リンゴ

小人こびとたちはかなしみ、ガラスのひつぎ*をつくって白雪姫しらゆきひめれました。

そこへとおりかかったのが、あるくに王子おうじです。

王子おうじは、白雪姫しらゆきひめうつくしさにこころうばわれ、ひつぎかえろうとしました。

 

ところが、家来けらいひつぎげたそのしゅんかんです。

白雪姫しらゆきひめくちからどくのリンゴがこぼれち、白雪姫しらゆきひめいきかえしたのでした。

 

その白雪姫しらゆきひめ王子おうじ結婚けっこんすることになり、その婚礼こんれいには女王じょおうまねかれました。

けれど、女王じょおうは、わか花嫁はなよめが、白雪姫しらゆきひめだとはりません。

そのため、披露ひろうえんせきにいた白雪姫しらゆきひめ女王じょおうは、おどろきのあまりにうごけなくなってしまいました。

(おわり)

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用語ようご説明せつめい

黒檀こくたん黒色くろいろつやのある

ひつぎくなったひとおさめる容器ようき

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作者:グリム兄弟

グリム兄弟

グリム兄弟の肖像画
(手前が兄:ヤーコプ=グリムで、奥がその弟:ウィルヘルム=グリム)

作者:グリム兄弟(兄:ヤーコプ(1785~1863年)、弟:ウィルヘルム(1786~1859年))

兄弟ともに言語学者、文学者として活躍。

中部ドイツのハーナウ生まれ。

父は法律家でしたが、グリム兄弟が幼い頃に亡くなっています。

そのため、長男だったヤーコプは幼い頃から母を助け、5人の弟や妹を養うために力を尽くしました。

それからグリム兄弟はカッセルの高校を卒業。

ともにマールブルク大学に入学します。大学では父と同じ法律を勉強しました。

一方で、兄弟はブレンターノのような文学者とも交流したことにより、古い時代の文学にも魅了されていきました。

『グリム童話集』の出版後は、兄弟はカッセルの図書館の司書を経て、ともにゲッティンゲン大学で教授となります。

1841年にはプロイセン王フリードリヒ=ウィリヘルム4世に招かれたことで、ここでもともにベルリン大学の教授となりました。

それ以後、グリム兄弟は生涯をベルリンで過ごしています。

作品:『グリム童話集』

『グリム童話集』は、グリム兄弟がドイツ各地から集めた昔話を編集して出版した童話集です。

(前略)ドイツ民族の歴史のなかに流れている民族的なものに愛着をもち、各地を旅行して、古くからつたわる話をできるだけ集めて『子供と家庭のための童話』と題して1812年に出版し、1814年と1822年にその続編を世に送った。

これが世界に知られた『グリム童話集』である。

(『学習人物事典』147ページ より)

この童話集には、全部で250編以上の昔話がふくまれている。

アンデルセンの場合とちがって、ここに集められている話は、すべてグリム兄弟がドイツ各地を歩きまわって集めた古くからつたわる話なので、その土地のことばで語られていたり、ざんこくで子ども向きでない話もそのまま入れてあったりする。

(『学習人物事典』148ページ より)

その他の作品だと『赤ずきん』や『ヘンゼルとグレーテル』、『星の銀貨』などが世界的に親しまれています。

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『白雪姫』の考察

最後は本作:『白雪姫』にまつわる考察などです。

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注:ここからの情報は自分の考察も含まれます。

間違っていないとは断言できませんので、あくまで一つの参考として下さいませ。

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『嫉妬や美しいものへの欲求』by伊藤邦武さん

哲学者の伊藤 邦武さんは、白雪姫で描かれていたことを、次のように考察なされていました。

「白雪姫の継母は嫉妬から白雪姫を殺そうとした」。

「白雪姫は鮮やかなリンゴの色にひかれて、思わずそれを手にとってしまった」。

これらはいずれも、嫉妬や美しいものへの欲求という心理的概念をつかった、登場人物たちの行動の説明である。

それはわたしたちが容易に理解できる、人間の基本的な心理的現象を基礎においた説明であり、このような説明の無数の連鎖のなかで、童話の物語は進行していくのである。

(『童話学がわかる』76ページ より)

誰にとっても理解しやすいことが人気の一端

つまり伊藤さんの考察を解釈すると、白雪姫では、誰にとっても理解しやすい感情などが描かれている側面があるということです。

そしてそれを前提とするなら、自分はその誰にとっても理解しやすい、共感しやすいことこそが、白雪姫が世界中で多くの支持を集めている理由の一端なのかもしれないと考察しました。

子供をも惹きつけた真っ赤なリンゴby如月小春さん

その一つが、さきの例にもあった、”鮮やかな赤いリンゴ”の存在です。

劇作家の如月きさらぎばるさんは、このことを次のように話して下さっていました。

真っ赤なリンゴ。

雪のように白い肌を持つ姫を主人公とする『白雪姫』の物語において、もっとも危険な色として登場してくるのが、血の色、赤である。

(『童話学がわかる』139ページ より)

なお、このことは、何も大人にだけ影響し得る話とは言い切れません。

如月さんは、自身の経験を、次のようにも話して下さっています。

わが家には四歳になる娘がいるのだが、その子が二歳の時に、『白雪姫』の童話を読んでやったら、その直後に、手に赤いボールを握りしめて私のもとにやってきて言った。

「おじょうさん、りんごはいかが」

『白雪姫』の物語のなかで、もっとも劇的緊張の高い場面は、いうまでもなく、継母の魔女が老婆に化けて毒リンゴを売りにくるところである。

幼い子どもたちは皆、物語の複雑な構造や言葉の意味を充分理解できていなくても、なぜか一番面白いところ、劇としての山場はつかみとる力を持っている。

童話でも人形劇でも児童劇でも、それは同様だ。

たぶん子どもたちは、構造や言葉での理解が追いつかない分、音や色や匂いや台詞の響きで劇的緊張を感じとっているに違いない。

(『童話学がわかる』139ページ より)

実社会において赤色は、赤信号や赤ペンなど、世界の多くの国々で、注意をひく共通の色として使用されています。

注意

それらはエビデンスが高いとはいえないものの、色彩心理においては、赤色は警戒色とも呼ばれることがあります。

よって白雪姫に登場する”真っ赤な”リンゴが見た人を惹きつけるということは、特段、不思議なことではない…と見ることもできそうです。

そしてそのことを前提とするなら、以上のことも、白雪姫の物語自体へと人を惹きつける役目の一端を担っている…と見ることもできるのかもしれません。

娘が赤いボールを手にした途端、物語のなかに身体ごと入り込んだのはいうまでもない。

(『童話学がわかる』139ページ より)

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『パロディ』の多種多様さby金原瑞人さん

児童文学研究家の金原瑞人かねはらみずひとさんは、白雪姫の『パロディ*』に着目し、次のように話されています。

(前略)『白雪姫』といえばシガーニ・ウィーヴァー主演の『スノー・ホワイト』というずいぶんシリアスでリアルなパロディ映画もあったし、ディズニーのアニメもあった。

ディズニーのアニメ版童話も、みんなオリジナルと違うところがたくさんあるし、いくつか原作にないエピソードも付け加わっている。

いってみればこれもパロディだろう。

(『童話学がわかる』142ページ より)

*パロディ:他の作品を下敷きにして、新しい作品を制作すること

(個人的に白雪姫といえばディズニーのイメージでしたが、シリアスなパロディ映画もあるとは初耳でした…)

沖縄バージョンの白雪姫がある?by遠藤庄治さん

またこのことは実際に自分が確認できたことではありませんが、沖縄国際大学文学部教授(当時)の遠藤 庄治さんは、白雪姫を思わせる、沖縄県独自の物語の存在を示唆なされていました。

なかでも宮古には、王様が小さい靴を持って歩いて、嫁さんを捜す「シンデレラ」の変化した話型や、王妃が誤って針で指を刺し、その血が雪のなかに落ちたのを見て、雪のように白く、血のように赤い唇の娘を願うと美しい娘が生まれたという「白雪姫」を思わせる話型なども伝えられている。

(『童話学がわかる』108、109ページ より)

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『小人』の歴史by池田美桜さん

白百合女子大学大学院児童文学専攻(当時)のいけおうさんは、本作にも登場する『小人』について、次のように解説して下さっていました。

人間に似た姿形をした、矮小な超自然的存在。

伝承文学から創作文学まで世界各国の文芸作品で語られるが、その属性・機能・起源・大きさ等は多種多様である。

とくにヨーロッパの文芸作品に多くみられ、それらは近代以降の日本人の小人像形成に多大な影響を与えているものの、すくなびこなのみことや一寸法師など、日本でも古くから独自の小人が語られてきた。

現代の作品では『だれも知らない小さな国』(佐藤さとる)、『床下の小人たち』(M・ノートン)他。

(『童話学がわかる』163ページ より)

またその他で小人が登場する有名作品には、『ガリバー旅行記』や『ニルスのふしぎな旅』などが知られています。

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(これも個人的に小人といえば童話の定番的なイメージでしたが、冷静になると、定番というほどでもないのかも…と思ったり)

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『白雪姫』物語のあらすじ内容を短く簡単に要約【グリム童話】まとめ

ディズニー映画になり、世界中で有名となった『白雪姫』のあらすじでした。

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参考文献

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