『狼王ロボ』あらすじ内容を簡単にご紹介&感想も【シートン動物記】

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名作 【『名作』一覧】童話や文学、戯曲など【海外と日本の有名作品集】

名作:『おおかみおうロボ』のご紹介です。

あらすじは読み聞かせができるようにまとめています。参考にして下さいませ。

このページでわかること
  1. 『狼王ロボ』のあらすじ内容を簡単にご紹介
  2. 読んだ感想
  3. 参考文献

『狼王ロボ』のあらすじ内容を簡単にご紹介【シートン動物記】

あらすじと作者紹介です。

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物語:魔物として人々から恐れられたオオカミの王

オオカミの遠吠え

「オオカミおうロボ*にせんドルのしょうきんがかけられた」

このうわさはアメリカのニューメキシコしゅうぜんひろまった。

カランポーのたに一族いちぞくのオオカミが、毎晩まいばんのようにちくらしているらしい。

 

そのオオカミのれのおうは、『ロボ』とばれていた。

 

オオカミたちはとてもかしこく、うでまんりょう次々つぎつぎとやってきて退たいしようとしたが、ことごとく失敗しっぱいしていた。

わたし友人ゆうじんぼくじょうぬしからロボ退たいらいけ、この土地とちへやってた。

灰色はいいろオオカミのロボのしたとうだけだった。だが、どれもおおきくつよいオオカミだ。

そのなかでもロボはおおきさもつよさも圧倒的あっとうてきだった。

したなかにはしろいオオカミがじっていた。

 

『ブランカ*』とばれるめすのオオカミだ。ロボのい*だろうとわれていた。

 

さっそくわたしはロボ退たいにかかった。

だが、それはのちに、ひゃくにものぼ作戦さくせん実行じっこうすることになった。

 

まずはあらゆる毒薬どくやく使つかってみたのだが、まったく意味いみがなかった。

たとえばこうだ。

人間にんげんにおいがつかないようにちゅうしたエサを、すうしょとしておく。

翌朝よくあさ、エサがなくなっていることによろこびたどっていくものの、さいてんにエサがげられていた。

まるでわたし嘲笑あざわらうかのように、ふんまでかけられていたのだ。

そのあいだもロボたちのやりたい放題ほうだいだった。

 

「あいつらはひつじにくなどめったにべないくせに、そのれにおそいかかって、かたぱしからかみころすんでさあ。先日せんじつなんかはいっぺんにひゃくじゅっとうひつじがやられちまった。本当ほんとうにくたらしい」

 

つぎわたしわな仕掛しかけていったが、それもロボにみなほじりされてしまう。

だが、観察かんさつしたけっ、ブランカをらえることに成功せいこうした。

ブランカはさいながえ*をした。

するととおくからこたえるように、ごえこえた。その一日いちにちじゅう、ロボのとおえがこえた。

「ブランカ、ブランカ!」

まるでそうんでいるかのようだった。

「こんなかなしげなオオカミのこえいたことがない」

カウボーイ*たちはった。

 

その行動こうどうから、わたしはロボが冷静れいせいさをいていることにづく。

そこでわたしはブランカのにおいや足跡あしあとようして、たいりょうわな仕掛しかけた。

するとロボがとうとうわなにかかった。

ロボはひっ抵抗ていこうした。しかし、どうにもならない。

りにしてれていった。

わたしくさりでつながれたロボのまえにくみずいた。

しかし、ロボはそれに見向みむきもせず、ただとおくの草原そうげんつめていた。

 

翌朝よくあさ、ロボはねむるようにんでいた。

わたしはロボのくさりはずし、ブランカのたいとなりならべた。

カウボーイはった。

「おめえがいたがっていたブランカだぞ。また、いっしょになれたんだ」

(おわり)

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よう説明せつめい

*ロボ:スペインで『オオカミ』を意味いみする

*ブランカ:スペインで『しろ』を意味いみする

い:行動こうどうともにするパートナーのことで、ここではつま意味いみしている

ながえ:いぬなどがこえながいてえること

*カウボーイ:ぼくじょうはたらひとのこと

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作者:アーネスト・シートン

作者:アーネスト・シートン(1860~1946年)

イギリス出身の博物学者であり動物文学者であり、動物画家。作家としても有名。

イギリスの港町:サウスシールズに誕生。

しかし、シートンが6歳のとき、父親が事業に失敗したため、シートンはカナダに移り住んでいます。

その後、一家はオンタリオ州のリンゼイで森と農場に囲まれた開拓者の生活を始めましたが、後にトロントへと移りました。

シートンはリンゼイでの大自然のなかの生活がわすれられず、高校生のとき病気になると、リンゼイの知人の農場に静養に出かけた。

(『学習人物事典』201ページ より)

高校卒業後はオンタリオの美術学校で絵を勉強。

それからはイギリスのロンドンにあるロイヤル・アカデミー美術学校に入学しています。

ですが、ここでもまた病気になり、カナダに戻ることとなりました。

その後、シートンはニューヨークへ行き、挿絵画家となった一方、カナダへも行って動物たちを観察。

動物観察記録をつけたり、詩を創作するなどもしました。

1898年には、シートンはそれまで自身が書き溜めていた動物物語をまとめた『わたしの知る野生動物』を出版。

ベストセラーとなり、その後、次々と動物物語を出版することとなりました。

作品:『シートン動物記』

シートンの動物物語集の総称。

シートンの観察と調査にもとづく物語がほとんどで、動物たちへの愛情にみちあふれている。

(『学習人物事典』201ページ より)

本作:『狼王ロボ』も、この動物の生態を描いた『シートン動物記』の一編であり、シートン自身が体験したオオカミ狩りをもとに書かれた創作物語となっています。

ニューメキシコ州を舞台にした、『わたしの知る野生動物』に収録されている巨大なオオカミの物語『オオカミ王ロボ』や『灰色グマの伝記』などのけっ作がある。

(『学習人物事典』201ページ より)

なお、白百合女子大学大学院児童文学専攻(当時)の佐々木 由美子さんは、『動物物語』という言葉の解説のなかで、シートン動物記のことを次のように話されていました。

動物を主人公や題材とした物語の総称である。

人間の言葉を話すか否かによって大きく二つに分類される。

前者は『ピーター・ラビット』(B・ポター)や『たのしい川辺』(K・グレアム)などに代表される。

後者は『シートン動物記』(E・T・シートン)のように動物の生活を中心に展開するものや『ジャングルブック』(R・キプリング)のように人間の成長に焦点を合わせたもの、人間と動物が相互に影響し合う世界を描くものがある。

(『童話学がわかる』165ページ より)

活動:アメリカ=ボーイスカウト団の初代団長

それからはアメリカ合衆国に定住して、年をとってからも森や野山を歩くのが大すきで、インディアンの生活を理想とした。(中略)

そのような生活を子どもたちに教えようとして、かれが始めた運動がアメリカ=ボーイスカウト団のもととなり、50歳のとき、シートンはその初代団長となった。

(『学習人物事典』201ページ より)

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『狼王ロボ』への感想

感想です。

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動物の物語でありながら、共感できる物語でした

『狼王ロボ』は、狼を中心としたあらすじです。

とはいえ、そこで描かれていた狼の生態は、集団で群れ、自尊心を持ち、愛情を持って行動する姿でした。

その生態は、どこか私たち人間にも通ずる部分があった気がします。

そのため、この動物記は動物の物語でありながら、読んでいて人として共感できる物語でもありました。

個人的には、動物愛護の理解にも一役買いそうな物語であるとも感じました。

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『狼王ロボ』あらすじ内容を簡単にご紹介【シートン動物記】まとめ

シートン動物記の一編:『狼王ロボ』は、狼たちの生態はじめ、その知恵深さが印象的に描かれていました。

しかし、そこで繰り広げられていたのは私たち人間にとってもどこか馴染みのある、同じ生き物としての姿だった気がしてなりません。

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参考文献

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