とある保護者
【公文式のまとめページ】今まで伝えてきたすべて
トモヤ
学研と公文は、まったく違った特徴を持った塾となります。
とはいえ、最低限知っておきたい違いは6つです。以下にまとめました。
- 勉強を教われるかどうか
- 先取り学習の限度
- 月謝
- 勉強できる科目
- 勉強できる内容
- 宿題の枚数
自分は公文と進学塾で働いていた経験上、学研から流れてくる生徒や保護者の方を通じて、学研の評判はよく耳にしていました。
そのため、今回は講師目線から学研と公文の違いが理解できるはずです(`・ω・´)ゞ
- 公文と学研の6つの違いについて
- 選ぶときに見るべき3つのポイント
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【学研と公文の違い】塾講師だった自分が明らかにします【全部で6つ】
それでは順にお伝えさせていただきます。
<1>勉強を教われるかどうかが違う
まず学研と公文では、『講師に勉強を教われるかどうか?』という大きな違いがあります。
結論からいうと、学研の講師は勉強を教えますが、公文の講師は基本的には教えません。
学研教室の指導者:川上聡子さん(仮名)は、学研と公文の違いを次のように話します。
「学校についていくのすら難しい子は公文式では難しいでしょう。
でも学研教室では教えてあげられます。
それがいちばんの違いです」と川上さんは言う。
(『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』175、176ページより)
自分がいた塾業界でも、学研はマンツーマンに近い形で指導することで有名でした。
そのため、川上さんの話は大きく間違ってはいないはずです。
もう1つは、学研教室では「教える」ことがタブーではないということ。
(『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』176ページより)
一方で自分は公文と進学塾で講師をしていましたが、公文では、生徒に勉強を手取り足取り教えることは禁止されていました。
「学習塾なのに教えない」と聞くと、違和感があるかもしれませんが、このことは公文式の指導者研修などでも徹底されています。
ちなみに自分は公文で講師をし始めたばかりの頃、『ついつい生徒に勉強をイチから教えてしまって、後で教室長に怒られる…』という経験を何度かしたことがあります。笑
ですが、『公文は生徒の自主性を伸ばすことを教育の理念の1つとしている』ので、あえてこのような形をとっているわけです。
とはいえ、「そんなやり方で何かが身につくのか?」と思われかもしれませんが、公文で数百人の生徒を見てきた自分の経験上では、身につくことはたくさんあります。
むしろ公文だからこそ身につきやすいことも多いです。
【公文と塾の違い】公文と進学塾で講師だった自分がお伝えします【どっちが良い?】
これらの違いは、学校や一般的な個別指導塾に近いのが学研で、そうではないのが公文という見方もできそうです。
表面的なしくみは公文式に酷似している。
ただし、教材の設計理念に大きな違いが見られる。
一言で言えば、学校準拠か否かである。
(『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』175ページより)
<2>『先取り学習』の推奨度が違う
また学研と公文では、どちらも『先取り学習』をすることができますが、推奨度には大きな違いがあります。
【『先取り学習』とは…】
生徒の学年を越えた勉強をすること。
たとえば、小学1年生が小学4年生の内容を勉強することなどがそう。
まず学研は、公式に『先取り学習』ができることが明言されています。
学年にとらわれずお子さまの学力に合った学習をするのが「無学年方式」です。
この学年だから、この教材をやらなくてはいけない、ということはなく、お子さまの学力に合わせ、一人一人にぴったりの教材・指導で確実に力を伸ばします。
わからないところはつまずいている箇所まで戻ってしっかり学習するので苦手を作らず、理解に応じて先取り学習をすることもできます。
しかしながら、自分が公文と進学塾の講師時代に耳にしていたのは、『学研は公文ほど『先取り学習』は推奨されておらず、できない』という声でした。
公文では、『先取り学習』が進むと、『オブジェ』というトロフィーがもらえる制度があることからも、『先取り学習』は公文式全体で推奨されています。
【公文のオブジェ(トロフィー)は超優秀生の証】公文の元講師の自分が振り返る【天才だと思う】
このさきでお伝えする以下の特徴からも、公文は『先取り学習』をしやすい環境であることは明らかです。
- 1科目に特化して勉強ができる
- 宿題の枚数を変えられる
たとえば、これなら『先取りしたい1科目のみに注力して、早く先取りが達成できるよう、必要に応じて宿題を増やす…』なんてこともできてしまうわけです。
実際にこういったことをされる保護者の方はいましたし、それは公文が『先取り学習』を少なからず推奨している証でもあります。学研にはこのような特徴はありません。
<3>月謝が違う
学研と公文には、月謝面においても大きな違いがあります。
1つの例として、小学校1~6年生を対象とした、学研と公文それぞれの月謝を表にしました。
【学研と公文の月謝比較表】
1科目 | 2科目 | 3科目 | |
---|---|---|---|
学研 | ー | 8,800円 | 13,200円 |
公文 | 7,150円 | 14,300円 | 21,450円 |
※料金はすべて税込
※共に小学1~6年生が対象
※公文は東京都と神奈川県以外の教室が対象
※学研は主要科目の算数のみ、国語のみの1科目受講ができないため、1科目の欄は便宜上、除外した
幼児から小学生は、算数と国語の2教科を合わせて月謝は8000円プラス消費税。
オプションはすべて4000円プラス消費税。
公文式の3分の2と安い。
(『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』175ページより)
補足として、学研は入会時のときのみ5,500円(税込)が月謝とは別にかかる一方で、公文は入会料がゼロとなっています。
しかしながら、それでも上記の表をパッと見た限りだと、『公文高っ!!』と思うかもしれません。笑
それもそのはずで、公文の月謝は他塾と比べると決して安くはありません。
【公文と10の他塾などとの違いまとめ】公文と進学塾の講師だった自分が比較
しかも公文は東京都と神奈川県の教室になると、1科目7,700円とさらに値上がりします。
そのため、月謝の安さだけに注目するのであれば、学研の方が公文よりも良心的です。
学研で2科目勉強しても、公文の1科目分と大きく変わらないですからね。
しかし、学研にも注意点はありまして、それは公文のように1科目のみの受講が原則として認められていないことです。
たとえば、学研では算数と国語は必ずセットで受講することが義務付けられています。
しくみ上の違いといえば、基本的に学研教室の場合、小学生は算数と国語の2教科がセット受講になっていて、英語と理科・社会と読書活用がオプションであることくらい。
(『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』174、175ページより)
つまりここで最低限知っておいていただきたいことは、『月謝が安いのは公文よりも学研だが、学研は2科目セット受講が原則である』ということです。
- 安いのは学研
- でも、学研は2科目セットが原則
安さ”だけ”を塾選びの決め手にするのは危険とはいえ、はじめから複数科目を勉強するつもりがあり、なおかつ月謝を安くおさえたいというだけであるなら、公文よりも学研といえそうです。
一つの参考にして下さいませ。
<4>勉強できる科目が違う
学研と公文は、勉強できる科目にも違いがあります。これも表にまとめました。
見ての通り、学研では主要5科目すべてが勉強可能である一方で、公文は算・英・国の3科目のみしか勉強できません。
『勉強できる科目の自由度』という意味では、両者には違いがあるといえます。
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とある保護者
トモヤ
主要科目以外ですと、学研が『そろばん』や『プログラミング』、『作文』などが勉強できる一方で、公文は『フランス語』と『ドイツ語』などが勉強できます。
自分が公文で講師をしていたときは、主要科目以外だと、『フランス語』が特に人気でした。
社会人の方でも習いに来られていた方もいましたね。
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<5>勉強できる内容が違う
また学研と公文の違いは、勉強できる科目だけではありません。
勉強できる内容にも違いがあります。
たとえば公文では、科目によって勉強できない内容があります。以下のような例です。
- 算数…図形問題と確率問題
- 英語…長文”読解”問題
この理由については、以下のページでまとめているので、ここでは詳しく触れません。
【公文の算数に図形・文章問題がない本当の理由】実は1970年前後に一度、導入されていた
【学研と公文の英語の違い】公文と進学塾の元講師の自分が振り返る【ズバリ3つ】
とはいえ、一方で学研では、公文のように勉強できない内容は基本的にはありません。
学校で習う内容をすべて勉強できるのが、学研の特徴となっています。
表面的なしくみは公文式に酷似している。
ただし、教材の設計理念に大きな違いが見られる。
一言で言えば、学校準拠か否かである。
(『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』175ページより)
1つは、学研教室は学習指導要領に準拠しているため、学校の学習カリキュラムに沿って進められるということ。
たとえば算数・数学の場合、計算だけでなく、4つの領域すなわち「数と計算」「量と測定」「図形」「数量関係」をバランス良く学ぶことを理念としている。
定規の使い方、グラフの読み取り方などのプリントもある。
(『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』176ページより)
ここだけを見ると、学研の方が公文よりも良いと思われるかもしれません。
しかし、公文はあえて特定の勉強内容に特化することで、知識の定着を図るところなので、必ずしも公文がダメというわけではありません。
『公文で思考力(考える力)は伸びないのか?』公文と進学塾で講師だった自分の答え【完全版】
むしろ伸ばしたい内容が公文の勉強内容と合うのであれば、公文はとても良い選択肢です。
<6>宿題枚数が違う
最後は宿題の枚数の違いです。これも学研と公文では以下のような違いがあります。
- 学研…1科目あたり一日1枚で固定
- 公文…1科目あたり一日5枚が基本だが変更可能
プリントへの取り組み方にも両者の理念の違いが表れる。
公文式がその子の能力に合わせて毎日取り組むプリントの枚数を調整しているのに対し、学研教室では、教室では各教科1日2枚、家庭では各教科1日1枚と決まっている。
(『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』176ページより)
公文と進学塾で講師をしていた自分の経験上でも、上記の内容に大きく間違いはありません。
つまり宿題の枚数に融通が利かないのが学研で、融通が利くのが公文ということです。
【公文の宿題を減らすのは全然OK】公文で働いた自分の話【注意点アリ】
もちろんこれらの違いをどう捉えるかは人それぞれですが、特徴的な違いであることは事実でしょう。
【学研と公文の違い】塾講師だった自分が厳選した選ぶべきポイント【3つアリ】
とある保護者
トモヤ
いくら学研と公文の違いが理解できても、何を決め手に選ぶべきかで迷う方がいるかもしれません。
そこで最後は、もっと広い視点から、どちらにすべきかの決め手になり得る以下3つのポイントをお伝えさせていただければと思います。
- 『『量』なら公文』で『『質』なら学研』
- 1科目だけ勉強したいなら公文
- 教室長の人柄で決める
〔1〕『『量』の公文』と『『質』の学研』
まずは『『量』の公文』と『質』の学研という違いで選ぶ方法です。
この理由はこれまでお伝えしてきた通り、公文が『繰り返し学習』をはじめとした、量を重視している一方で、学研は質を重視した家庭教師スタイルだからです。
そのため、もし『勉強は量が大事だ!』と思うなら公文で、『いやいや、勉強は質こそ大切!』と思うなら学研という選び方もあるということです。
とはいえ、誤解しないでいただきたいのは、自分はこのような大雑把な選び方をおすすめしているわけではありません。
しかし、両者の違いばかりに気を取られて、『木を見て森を見ず』の状態になるくらいなら、このような選び方も悪くはないということです。
〔2〕1科目だけ勉強したいなら公文
勉強できる科目数で選ぶ方法もあります。
結論からいうと、『『算数だけ』、『国語だけ』といった1科目のみを勉強したい』ときは、学研よりも公文が良いです。
繰り返す通り、学研はセット受講が基本となっているため、公文のように1科目だけの受講は難しいからです。
しくみ上の違いといえば、基本的に学研教室の場合、小学生は算数と国語の2教科がセット受講になっていて、英語と理科・社会と読書活用がオプションであることくらい。
(『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』174、175ページより)
逆にはじめから複数科目を勉強するつもりなら、学研もアリです。「どうせ勉強するなら、はじめからたくさんの科目を習わせた方が…」と考える方もいるでしょう。
ですが、どの塾であれ、科目を増やすことはいつでもできます。
そのため、『はじめはお試しのつもりで1科目から始めてみる』という方が、子供にとっても負担になりすぎません。
例外はあれ、「科目を増やすのは、子供の理解度や能力を見極めながらでも遅くはない」というのは、公文や進学塾で講師をしてきた自分の意見です。
〔3〕教室長の人柄で決める
『教室長の人柄で決める』というのもアリです。
公文と学研はどちらもフランチャイズの塾です。
しかし、それでも教室を運営する教室長個人の考えや指導方針などは、その教室に少なからず反映されます。
【公文の先生が合わない…】解決法を公文で働いた自分が話す【簡単】
またこれはあくまで公文と進学塾で講師をしていた自分の経験上ですが、入塾前に、教室長に対して必要以上に疑いの目を向けていた方は、長く続かない傾向にあった気がします。
そのため、もし教室長に対して、直感的に『(この人なんか嫌だな…)』と思った場合は、注意が必要かもしれません。
もちろん教室長の人柄”だけ”ですべてを決めてしまうことは危険ですし、そもそも人柄を見極めることは簡単ではありません。
ですが、『教室長の人柄』というのは、自分は塾選びをするうえでとても大切なことだと感じています。
【学研と公文の違い】塾講師だった自分が比較まとめ
1980年は、学研が、算数(数学)と国語の2教科体制で運営がスタートされた年です。
一方でこの時期の公文式はというと…ちょうど生徒数が100万人を突破するころでした。
【公文式の歴史年表】黎明期から新時代まで【1956年~2015年の分岐点】
現在では、どちらも日本を代表する教育産業といえるわけですが、両者は多くの違いがある一方で、いくつかの共通点も存在しています。
どちらも本部からのれんと教材と指導ノウハウを提供してもらうフランチャイズ形式である。売上の一部を本部に上納するのも同じ。自宅の1室や貸会場でも開業できる。
子供たちが週2回、好きな時間にやってきて、自分のファイルを受け取り、その場でプリント教材をやる自学自習のスタイルも同じ。
100点満点を取るまでやり直すにも、宿題が日数分出されるのも、学年に関係なく進むのも同じ。
(『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』174ページより)
しかしながら、実際に中身をよく見てみると、学研と公文にはまったく違う特徴があるわけです。
- 勉強を教われるかどうか
- 先取り学習の限度
- 月謝
- 勉強できる科目
- 勉強できる内容
- 宿題の枚数
どちらが絶対に良いということはありません。
『自分にとって』、『子供にとって』、その正解は人それぞれだからです。
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