とある学生
トモヤ
結論からいうと、教育心理学のレポートは『4つの書き方の型』に沿って書くのがおすすめです。以下がその型になります。
- 主張
- 理由
- 反論への理解
- 主張の繰り返し
上記は教育心理学の本や教科書でよく言われているレポートの書き方をまとめたものなので、教育心理学のレポートを書くときには参考になるはずです。
また文章術の本として有名な『20歳の自分に受けさせたい文章講義』にも似たようなことが書かれています。
そこで今回は、心理学を大学で勉強していた僕が以下の内容についてお伝えさせて頂きます。
レポートを書くときの参考にして頂ければと思います。
- 実際に書いたレポート例
- 4つの書き方の型の詳細
- 注意点について
注)ここでお伝えする内容は、『教育心理学のレポートのなかでも、自分の考えを求められたときのレポートの書き方』となります。
基本的にはどんなタイプのレポートにも応用できるとは思いますが、前提の話としてご理解下さいませ。
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教育心理学のレポートの書き方を参考に作った例
冒頭でお伝えした通り、教育心理学のレポートは以下4つのポイントに沿って書くことをおすすめします。
- 主張
- 理由
- 反論への理解
- 主張の繰り返し
といっても、理屈だけだとなかなかイメージしづらいかもしれません…。
なのでここでは、上記を参考に、僕が実際にレポートを作ってみました( ・ㅂ・)و ̑̑
ほぼ思いつきで作ったのでお世辞にも良いレポートとは言えませんが…書き方の参考にはなると思います。
テーマ:教育心理学の必要性
まずレポートのテーマは『教育心理学の必要性』にしました。教育心理学をテーマにした方が現実的かと思いましたので。
具体的なテーマは以下の通りとなります。
【テーマ】
教師や講師などの指導者は教育心理学を学ぶべきか?あなたの考えを述べよ。
実際の解答例
それではさっそくですが、実際にさきほどのテーマをもとに僕が作ったレポートはこちらです。
わかりやすいように、型にあたる部分は()にして入れておきました。
(主張)教師や講師などの指導者は、全員が教育心理学を勉強すべきである。
(理由)なぜなら、文部科学省が策定した教職課程コアカリキュラムには、「幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程について、基礎的な知識を身につけ、各発達段階における心理的特性を踏まえた学習活動を支える指導の基礎となる考え方を理解する。」とあり、これは教育心理学で学ぶ領域に他ならないからである。
(反論への理解)一方で、教育心理学の理論は実際の教育の現場では役に立たないという意見があるかもしれない。それについては再現性の問題があるため、否定はできない。しかし、医学の世界が研究の進歩によって発展してきたように、教育心理学も研究が進むことで、より今よりも再現性の高い学問に成長していく可能性は十分にある。よって教育心理学を勉強しないで良い理由にはならない。
(主張の繰り返し)以上のことから、教師や講師などの指導者は、やはり全員が教育心理学を勉強すべきだ。
わかりやすく作ったつもりですが、わかりにくかったらすいません…<(_ _)>
今回は全体像を把握しやすいようにコンパクトにまとめましたが、実際のレポートはこの程度の分量だと足らないことがほとんどなはずです。
そんなときは、『理由』や『反論への理解』の部分を3~4つほどに増やすことで、自然とボリュームが増えます。
そうすればさらに中身のあるレポートにもなるのでおすすめです。
ちなみに実際に書くときは4つの型を箇条書きで埋めてから、あとから接続詞でつなぐなどしても書きやすいとも思います。僕はそうして作りました。
そして参考までに、今回『理由』のところで使わせて頂いた文部科学省の教育課程コアカリキュラムの資料は以下にリンクを貼っておきます。レポートで使った該当部分は14ページ目ですので、興味がある方はこちらも参考にして下さいませ。
教育心理学のレポートの書き方の型【4つ】
ここでは、冒頭でもお伝えした、教育心理学のレポートで使える以下の書き方の型の詳細を順にお伝えさせて頂きます。
- 主張
- 理由
- 反論への理解
- 主張の繰り返し
<1>主張
まず教育心理学に限らず、レポートに一番に書くべきなのは、『主張』です。
『主張というのは自分の考えのこと』になります。
つまり自分がレポートを通して何を伝えたいのかを意思表示するのが『主張』の役目ですので、読んだ相手に真っ先に伝えるという意味で、『主張』は一番はじめに書いた方が親切ということです。
また驚くほどよくある勘違いとして、『『主張』と『感想』の違い』がありますが、これらの違いは『議論などによって〇X(正解か不正解)が決められるかどうか』です。
『主張』は『〇X(正解か不正解)が決められるもの』にあたります。
- 主張…〇X(正解か不正解)が決められる
- 感想…〇X(正解か不正解)が決められない
例えば、『ディズニーランドにいるミッキーは一匹ではない!』というのは『主張』です。
主張:『ディズニーランドにいるミッキーは一匹ではない!』
なぜなら、この問いには必ず決まった答えが存在するからです。
(僕は一匹だと信じていますが…!)
一方で、『ディズニーランドのミッキーは可愛い!』というのは『感想』です。
感想:『ディズニーランドのミッキーは可愛い!』
ディズニーランドのミッキーを可愛いと思うかどうかは個人の好みの問題なので、正解か不正解かは存在しないためです。
なのでレポートの世界では、議論する価値があるのが『主張』で、そうでないのが『感想』といえるのかもしれません。
とはいえ、繰り返す通り、レポートに書くべきなのは『感想』ではなく『主張』です。
ちなみに事実を求められたレポートの場合は、ここでは主張ではなく事実を書けばそれでOKとなります。
<2>理由
次に『主張』とセットで書くべきなのが『理由』になります。
『理由』というのは根拠とか論拠とか論証、またはエビデンスという言い方もされますが、つまりは『主張』の裏付けとなるものなので、とても大切な役目があります。
例えば、さきほどの例の続きでいくならば、以下の『なぜなら~』の部分が『理由』にあたります。
理由(がある主張):『ディズニーランドにいるミッキーは一匹ではない!なぜなら~』
もし上記の例に『なぜなら~』が無ければ、何の説得力もないただの主張となるだけです。
説得力のあるレポートにするためには、しっかりとした『理由』が欠かせません。
『理由』なき主張はただの暴論です。
個人的には、レポートで一番大切な部分だと思っています。
ちなみに実際にレポートで『理由』として使われる資料には、以下の3種類が代表的です。
- 専門書
- Web上の資料
- 先行研究
どれを使うべきかはレポートの種類や教員からの指示にもよりますが、絶対的にどれが良くてどれが悪いというのはありません。
大切なのは中身であり、『事実と近いかどうか?』です。
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しかしながら一部では、『先行研究こそエビデンスだ!』という声もあるようです。
しかし、研究には再現性の問題や、エビデンスレベルをはじめとした研究自体の質の問題もあるので、研究文献を入れておけばOKというわけではありません。
研究結果=エビデンスになるわけではないです。
しかも教育心理学は認知心理学や臨床心理学などと比べても、研究の質が微妙なことは少なくないので注意が必要です。
なのでこれは異論があるかもしれませんが、少なくとも僕は、研究の良し悪しがわからないうちは、研究結果はレポートの資料として使わない方が無難だと考えています。
繰り返す通り、大切なのは中身です。
研究にこだわらず、事実に近く、レポートの裏付けとなるものを広い視点で探すことが大切だと思います。
ただレポートによっては先行研究を使うことを指定されることもあるので、その場合には自分で先行研究を精査する必要があります。
先行研究を探す場合は、大学の図書館や『日本教育心理学学会』、さらには英語になりますが、海外の研究中心だと『SAGE journals』あたりは教育心理学関連の研究も多いです。
必要な方は参考にして下さいませ。
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<3>反論への理解
続いて書くべきなのは、『反論への理解』です。
これはレポートで伝えたかった『主張』の反論を想定し、その反論への理解を深める部分になります。
『反論への理解』があると、より論理性の高いレポートに仕上がります。
例えば、『ディズニーランドにいるミッキーは一匹ではない!』という『主張』のレポートを例にするならば、以下のような書き方が『反論への理解』となります。
反論への理解:『一方で、「ディズニーランドにいるミッキーは一匹だけだ!」という意見もあるかもしれない。もちろんそういった意見があるのは事実だが~』
つまり自分の『主張』に対する反論を先回りして言及し、その反論のおかしいところを突くことで、自分の『主張』の合理性を強めるのが、『反論への理解』の役目です。
少し難しいかもしれませんが、慣れればスラスラ書けるようになります。
ちなみに『反論への理解』を書くには創造性も必要になるので、『自分の主張に反対する方は、どんなことを思うだろう…』ということを考えることが大切です。
もし思いつかなかったら、周りの友人や知人などに聞いてみるのも手だと思います。
<4>主張の繰り返し
最後は冒頭で伝えた『主張の繰り返し』をします。
レポートが長くなってくると、読んだ相手は、『あれっ?このレポートって結局何を伝えたいんだっけ??』となる可能性があります。
そういったときに冒頭で伝えた『主張』を最後に繰り返すことで、読み手に伝えたいメッセージをダメ押しする役目が、この『主張の繰り返し』です。
レポートだと、『以上より~』に続けて書くことが多いです。
ここまでお伝えしてきた『ディズニーランドにいるミッキーは一匹ではない!』という『主張』のレポートであれば、以下のようになります。
主張の繰り返し:『以上より、ディズニーランドにいるミッキーは一匹ではない!』
教育心理学のレポートの書き方を実践するうえでの4つの注意点
最後は教育心理学のレポートを書くうえでの注意点についてです。
これまでのおさらいも含んでいますが、とても重要なことになるので、一通り目を通して頂ければと思います。
[1]『である調』で統一する【『ですます調』はNG】
まずこれは教育心理学に限った話ではありませんが、レポートを書くときは何か指定されていない限り、『である調』で統一した方が無難です。
【である調とは…】
文末を『~である』や『~だ』と書くこと。
文末を『~です』とする『ですます調』を使うのは、レポートでは一般的ではありません。
なぜレポートでは『である調』が良くて『ですます調』が良くないのかの理由はよくわかりませんが、とりあえず常識的なことですので、ここでは『ふーん』と思っておけば良いかと思います。
[2]主張は断定すべき
そしてレポートで『主張』にあたる部分は断定して下さい。
『~である』という言い方がおすすめです。
間違っても『~かもしれない』とか『~だと思う』という言い方はダメです。
曖昧な言い方だと、レポートで伝えたいことが伝わりにくくなります。
こういった曖昧な書き方をしてしまう理由は、単に性格的な問題もあります。
しかし、僕の経験だと、どちらかというと、レポートの『理由』となる資料が不足しているときに起こりやすい気もしています。
[3]資料集めがレポートの命
そのため、レポートの『理由』となる資料集めは、レポートの出来を大きく左右すると言っても間違いないです。
ここでいう資料というのは、先行研究や本など、『主張を肉付けする理由』になるものです。
資料が不足した状態でレポートを書こうと思ってもうまく書けませんし、もし書けたとしても、中身がないものになりかねません。
僕も学生時代にこの手のことはよく教員からダメ出しされました…。笑
なのでレポートは文章術などよりも、書く前の準備(資料集め)の方が余程大事なのかもしれません。
[4]研究結果=エビデンスではない
といっても、資料なら何でも良いというわけではありません。
よくあるのが過去に発表された研究結果を資料に使う例ですが、研究結果=エビデンスになるわけではないです。
そもそも研究にはエビデンスレベルをはじめとした質の問題があるので、世に出ている研究結果がすべて信頼できるわけではありません。
しかも誤解を恐れずに言うと、教育心理学は認知心理学や臨床心理学などと比べても、研究の質が微妙なことは少なくありません。
つまり教育心理学の研究は再現性が微妙なものが少なくないため、研究結果だからと言ってレポートの資料に使うのは良くないということです。
これは異論があるかもしれませんが、少なくとも僕は、研究の良し悪しがわからないうちは、研究結果はレポートの資料として使わない方が無難だと考えています。
大切なことなので繰り返しお伝えさせて頂きました。
教育心理学のレポートの書き方まとめ
- 主張
- 理由
- 反論への理解
- 主張の繰り返し
今回は教育心理学のレポートの書き方についてお伝えさせて頂きました。
レポート作成のときは、最低でも上記の型に沿って書いて頂ければ、より論理的な文章が出来上がるはずです。
ちなみにお気付きの方がいるかもしれませんが、上記の型は教育心理学のレポート以外でも使えます。
レポートをはじめとした文章だけでなく、相手に何かを伝えたいすべての場面で使えるようになっているので、知っておいて損にはなりません。
色んな場面で是非ご活用下さいませ。
今回は以上になります。
最後までご覧頂きありがとうございました。
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